平成26年 民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要(人事院)
~直近5年間で総労働時間短縮に向けた取組を行っている企業の割合は70.8%
失効した年次有給休暇の積立制度がある企業の割合は37.2%~
人事院は、国家公務員の勤務条件等を検討するに当たっての基礎資料を得ることを目的として、平成26年10月1日現在における民間企業の正社員の労働時間、休暇、福利厚生、災害補償法定外給付、退職管理の諸制度等を調査した。本調査は、常勤従業員数50人以上の全国の企業41,631社のうち、産業別・規模別に層化無作為抽出した7,233社を対象として実地及び郵送により調査を実施したもので、回答のあった企業のうち、規模不適格なものを除いた4,226社について集計した。
集計結果の概要は次のとおりである。
1.総労働時間短縮(効率的な働き方の実現)に向けた取組
(1)直近5年間の総労働時間短縮に向けた取組の状況
直近5年間で総労働時間短縮に向けた取組を行っている企業の割合は70.8%となっており、その取組の内容(複数回答)をみると、「時間外労働(残業)の削減」が87.7%、「年次有給休暇の取得促進」が37.3%、「労働時間の弾力化、勤務体制(シフト)の見直し」が15.6%、「勤務場所の弾力化」が1.7%となっている。
(2)時間外労働の削減のための取組の内容
「時間外労働(残業)の削減」を行っている企業について、具体的な取組の内容をみると、「従業員への働きかけ、残業削減の取組の周知」が71.7%、「業務の見直し・効率化」が63.6%、「残業する際のルール・手続の設定」が55.6%となっている。
(3)時間外労働の削減に最も効果を上げている取組
時間外労働削減の取組に削減の効果があったとする企業について、最も効果があった取組の内容をみると、「従業員への働きかけ、残業削減の取組の周知」が24.1%、「業務の見直し・効率化」が20.8%、「残業する際のルール・手続の設定」が19.0%となっている。
2.失効した年次有給休暇の積立制度
(1)失効した年次有給休暇制度の導入状況
失効した年次有給休暇の積立制度がある企業の割合は37.2%となっている。
(2)失効した年次有給休暇の累積日数
失効した年次有給休暇の積立制度がある企業のうち、累積日数について上限がある企業の割合は93.0%で、累積日数について上限がある企業の割合を上限日数別に見ると、「10日超20日以内」が31.5%、「30日超40日以内」が31.1%となっており、平均日数は38.0日となっている。
(3)失効した年次有給休暇の使用事由
失効した年次有給休暇について、使用事由の制限がある企業の割合は56.7%で、使用事由の内容は、「私傷病」が96.5%、「介護」が52.3%、「子の看護」が38.8%となっている。
3.社宅の状況等
(1)社宅の有無
1)保有形態別割合
社宅を有する企業の割合はは46.%であり、保有形態別では、自社保有社宅を有する企業の割合は20.0%、借上げ社宅を有する企業の割合は37.0%となっている。
2)用途別割合
社宅を用途別にみると、世帯用社宅を有する企業の割合は31.5%、独身用社宅を有する企業の割合は42.9%となっている。
(2)世帯用社宅の平均月額使用料
入居者が最も多い代表的な世帯用社宅の平均月額使用料を専有面積別にみると、「借上げ社宅」の使用料が「自社保有社宅」の使用料を上回っている。
4.業務災害及び通勤災害に対する法定外給付制度
(1)業務災害又は通勤災害に対する法定外給付制度の有無
民間企業の従業員が、業務災害又は通勤災害により死亡し、あるいは障害が残った場合等には労働基準法による災害補償や労働者災害補償保険法による保険給付が行われるが、これらとは別に企業独自に給付を行う場合がある。この法定外給付の制度を有する企業の割合は、業務災害による死亡で58.7%、通勤災害による死亡で52.4%、業務災害による後遺障害で48.8%、通勤災害による後遺障害で44.3%となっている。
(2)給付額の決定方法
法定外給付制度を有する企業について、給付額の決定方法をみると、「一律」かつ「定額」としている企業が最も多い。
(3)給付額
法定外給付制度を有する企業のうち、給付額の決定方法を「一律」かつ「定額」としている企業の平均給付額をみると、業務災害による死亡で1,633万円、通勤災害による死亡で1,331万円、業務災害による後遺障害(第1級)で1,801万円、通勤災害による後遺障害(第1級)で1,407万円となっている。
5.従業員の退職管理等の状況
(1)定年制の状況
事務・管理職種(部門)がある企業のうち、定年制を有する企業の割合は99.7%で、そのうち60歳定年制とする企業の割合は87.4%となっている。
(2)継続雇用制度の状況
1)定年制を有する企業のうち、定年後の継続雇用制度を有する企業の割合は97.0%であり、そのうちいったん定年退職した従業員を再び雇用する再雇用制度を有する企業の割合が96.3%、定年年齢に達した従業員を退職させることなく引き続き常勤の従業員として雇用する勤務延長制度を有する企業の割合が7.5%、特殊関係事業主(子会社等のグループ会社)において継続雇用する制度を有する企業の割合が2.0%となっている。
2)再雇用制度を有し、平成25年度に定年退職し再雇用された者がいた60歳定年企業におけるフルタイム再雇用者の状況をみると、全員(100%)フルタイムで再雇用している企業が87.6%となっている。
3)再雇用制度を有し、平成25年度に定年退職し再雇用された者がいた60歳定年企業における再雇用者の勤務形態別の人数割合は、フルタイム再雇用者が92.0%、短時間再雇用者が8.0%となっている。
4)再雇用制度を有する企業における平成25年度に定年退職し再雇用された者のうち、再雇用者の配置について1つの選択肢のみ選んだ企業の割合は、管理職級では74.0%、非管理職級では79.7%であった。これらの企業における配置状況は、管理職級で定年退職した者を同格のライン職又はスタッフ職へ配置した企業が50.1%、また、非管理職級で定年退職した者を同格のライン職又はスタッフ職へ配置した企業が63.2%となっており、いずれも同格へ配置する企業が最も多い。
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(人事院 http://www.jinji.go.jp// 9月30日発表・報道発表より転載)