社外役員実態についてコトラが調査・分析
~これまでの属性・兼任状況調査と今後の独立社外取締役につき考察
人材ソリューションカンパニーの株式会社コトラ(東京都港区 代表取締役 : 大西利佳子)は有報提出4,000社(非上場会社を含む)を対象に、直近1年間の「役員の状況」を集計・分析して、これまでの社外取締役や社外監査役について調査しました。その上で、これからの独立社外取締役(東証ベース)について考察しました。本日4月15日(水)より、ダウンロードサイトからご入手いただけます。
『株式会社コトラによる社外役員実態報告』 ~これまでの社外取締役/社外監査役の属性・兼任等の状況と、今後の独立社外取締役(東証ベース)の選任についての調査・考察~(以下、「本調査」という)は、有価証券報告書の「役員の状況」に基づき役員の経歴等を集計・分析しました。社外取締役、社外監査役の判別は、 「役員の状況」中の脚注をプログラム解析する方法によりました。つまり、本調査における「社外役員」とは、有価証券報告書で社外取締役あるいは社外監査役と記載されている人を指します。
コーポレートガバナンス・コードの適用開始後は、社外役員の兼任状況は開示情報として扱われ、上場会社のステークホルダーからどのように評価されるかという点がクローズアップされることが予想されます。
まず、株主総会へ出席可能かが論点になり得ます。本調査によると、決算期の重複についてはあまり顧慮されていない実態が浮き彫りになりました。原則論に立ちかえると、兼任にあたって同じ決算期の企業の決算は回避すべきなのではないかという点も議論となる可能性がありそうです。
次に、取締役会や監査役会へ出席可能かも論点になり得ます。特に取締役会については、他の上場会社の社外取締役を兼任する社外取締役が出席できない場合には、その兼任(社数)が合理的か否かに疑義が生じる(Cf.補充原則4-11)ことが容易に予想されるからです。また、出席率が低い社外役員について再任に反対するといった基準を設ける機関投資家の動きも見られていることも看過できないところです。
最後に、本調査によると、特に社外取締役において、現状においてすら同一業種内での兼任は回避されている現状が浮き彫りとなりました。今後は同一業種内での兼任は一層難しくなる可能性があると言えます。
最も興味を抱くのは兼任の社数の「合理性」でしょうか。本調査では、社外取締役で2社まで、社外監査役で3社までと言う兼任社数が多く見られました。今の段階で何とも言えませんが、今後この数字が増えるのか減るのか注視したいところです。
取締役会に実効性が求められ(Cf.原則4-11)、専門家を社外役員に選任する動きが活発となる事態も予想されますが、本調査では社外取締役だけでなく社外監査役にも弁護士が数多く選任されている実態が確認されています。顧問弁護士も居るなか、複数の弁護士を役員として選任する場合のそれぞれの弁護士に期待する役割をどのように説明すべきかという課題も今後顕在化していく可能性があります。また、大株主から選任された社外役員や、社内役員の親族からの社外役員選任については反対するといった基準を設ける機関投資家の動きも見られています。間接的に、社外役員に専門家を選任する動きを促進する影響を与える可能性があります。
ところで、原則4-11からは、社外役員に業界ないし自社事業への深い理解を求める動きも起こり得ます。そのような理解が実効的な議論に資すると考えることもできるからです。一度に2人の独立社外取締役を選任する場合、一方を専門家に、もう一方を業界通にというようなセットで検討する企業が現れてもおかしくないでしょう。
さらに、これまでダイバーシティの中核の一つと言われつつも、未だ低迷している女性の活躍の場の提供について、今回のコーポレートガバナンス・コードの対応に際し、上場会社の中で1社でも多くの企業が女性役員の選任を進められるかも注目されるところです。
最後に、独立社外取締役を複数名選任した場合の取締役会の規模はどうなるのでしょうか。取締役会の適正規模が言われて久しいことに鑑みると、独立社外取締役を選任した分を相殺するため既存役員の削減等による入れ替えが行われるかもしれません。現状の社外役員には、独立性の要件を充たさない者も多数含まれていることが予想されるため、独立社外取締役が足りないという問題の裏面として、独立性基準を満たさない社外役員の大量離職と言う事態が進行する事態も予想されます。
◆『株式会社コトラによる社外役員実態報告』ダウンロードサイト
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社コトラ http://www.kotora.jp/ 4月15日発表・同社プレスリリースより転載)