マイナビ、「2013年度 就職戦線総括」を発表
~ アベノミクス効果による景況感の改善により、企業の採用意欲は高まる。
企業は採用数増・質確保を目指し、学生は大手志向から徐々に軸足を中小企業に移行 ~
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中川信行)は、2014年春卒業予定学生を対象とした、企業の採用状況と学生の就職活動状況、内定状況、今後の見通しをまとめた「2013年度就職戦線総括」を発表しました。概要は以下の通りです。
※「2013年度 就職戦線総括」の詳細はこちらで公開しています。
<調査結果の概要>
【企業の採用活動状況】採用数増・質確保を目指して前倒しで活動(参考:図1)
2014年卒の大卒採用予定数について文系の採用数を「増やす」と回答した企業は21.3%で「減らす」の7.3%を上回り、理系の採用数を「増やす」と回答した企業も23.8%と「減らす」の6.2%を上回った。「増やす」と回答した企業の割合を前年調査と比較すると、文系で前年比4.2pt増、理系で前年比4.7pt増といずれも前年を上回った。文系では4年連続の増加となり、リーマンショック直前の状況に近づいた。前年比でみると、さらに増加傾向が強く、上場企業に比べて非上場企業の、製造業に比べて非製造業の採用予定数が増加傾向にある。
①【企業】新卒に対する採用意欲
2014年卒の大卒採用予定数について文系の採用数を「増やす」と回答した企業は21.3%で「減らす」の7.3%を上回り、理系の採用数を「増やす」と回答した企業も23.8%と「減らす」の6.2%を上回った。「増やす」と回答した企業の割合を前年調査と比較すると、文系で前年比4.2pt増、理系で前年比4.7pt増といずれも前年を上回った。文系では4年連続の増加となり、リーマンショック直前の状況に近づいた。前年
比でみると、さらに増加傾向が強く、上場企業に比べて非上場企業の、製造業に比べて非製造業の採用予定数が増加傾向にある。
②【企業】採用予定数平均と対入社予定数増減率
2014年卒採用予定数を2013年卒入社予定数と比較すると13.8%増加しており、全体的に採用数を増やそうという傾向が見られる。特に「金融」「小売」は採用予定数が入社予定数を上回る率が高く、採用意欲が高いと言える。従業員規模別では、全てのカテゴリーで採用予定数が入社予定数を上回り、増減率では100人未満の28.0%増が最高値となっている。また、製造業全体の2014年卒採用予定数を見ると、2013年卒入社予定数に対する増減率は11.5%増だが、「建設・住宅・インテリア」が38.7%増と際立った増加率を示しており、この業種を除くと増減率は0.9%増で、ほぼ前年並みとなる。「電子・電気機器」「機械・プラント」「印刷・事務機器関連」などは前年より採用を増やす傾向が強いが、「食品・農林・水産」「繊維・化学・薬品・化粧品」「自動車・輸送用機器」などは前年より減らす傾向が表れた。
③【企業】インターンシップ実施状況
インターンシップ実施企業の割合は増加し、『マイナビ2014』のインターンシップ情報掲載社数は前年比37.8%増の1,144社となった(2012年8月17日時点)。前年の採用活動において学生の業界・仕事への理解不足を感じることが多かったことも増えた原因の一つと考えられる。業界別では、2014年卒で初めてインターンシップを行う企業の割合が最も高いのは小売業界となったが、最も低い商社でも約5%の企業が初めて実施すると回答しており、どの業界においても概ね増加傾向にあると言える。
【学生の採用活動状況】活動量は前年よりやや増、大手志向も増加に転じる(参考:図2)
2014年卒の学生の就職活動は、インターンシップの参加割合及び社数が増加に転じたところから始まった。エントリーや個別企業セミナー参加、エントリーシート提出などの各フェーズにおいて、活動量は概ね前年並みか、やや増加する傾向が見られた。選考受験社数については女子を中心に大きな増加を示した。
①【学生】大手志向回帰と、中小企業に軸足を移す状況
5年連続で減少していた大手志向が2014年卒で上昇に転じ、やや大手志向回帰の傾向がうかがえる。ただし、上昇の幅は小さく、比率は2年前の2012年卒と同程度となった。2014年卒の学生が大手企業と中小企業のどちらを中心に活動しているかについては、12月の段階では「大手企業中心」寄りの回答をした学生が全体の6割以上になったが、毎月2%~4%程「中小企業中心」に軸足を移す学生が増えている。
②【学生】インターンシップ参加状況
インターンシップの参加率は、前年比4.4pt増の32.8%と微増となった。文理男女別では、理系男子の伸びが前年比7.8pt増の32.3%と大きい。一方、1人当たりの平均参加社数は2013年卒では1.4社だったが、2014年卒では1.7社と0.3社増加した。特に文系男子の伸びが大きく、1人当たりの平均参加社数が2社を超えた。
③【学生】エントリー後すぐに個別企業セミナーに参加
学生1人当たりの延べエントリー数は前年をやや上回るペース(前年比7.9%増の79.1件)で進んだ。ただし、12月上旬の就職情報サイトオープンから、エントリー受付を開始する企業が増加した分、企業1社当りのエントリー平均は、前年をやや下回る傾向となった。個別企業セミナーへの延べ参加社数も前年を上回るペース(前年比9.5%増の28.9件)で進んでおり、参加時期もやや早くなっていて、1月時点で既に9割弱の学生が実際に参加したと回答した。
④【学生】OB・OG訪問の活用
学生がOB・OG訪問を行った割合は1月以降、前年より増加した。国公立私立別地域別で見ると、関東国公立や関西国公立の学生のOB・OG訪問を行った割合は比較的高く、リクルーターからの声掛けがあって訪問が行われていることも推測される。実際、企業側も採用手法として「リクルーター制」を導入している率が上場企業で前年比4.1pt増の17.0%と高まった。
【6月末までの選考結果】内々定状況、4月は前年並み、5月・6月は大幅増
上場企業・大手企業の選考開始と内々定出し開始は4月に集中した。ただし、4月末時点での学生の内々定率は34.6%(前年同月比1.1pt増)と、企業の採用予定数の対前年入社予定数比が13.8%増だったことを考えると、やや物足りない結果となった。一方、3社以上の内々定を獲得する学生の割合が増加する傾向も見られた(前年同月比4.5pt増の15.2%)。大手企業の選考結果判明を受けて「中小企業中心」に就職活動の軸足を移す学生が見られた5月末時点での内々定率は49.0%(前年同月比6.5p増)と、前月より大きく数字を伸ばす結果となった。なお、6月末時点では56.1%(前年同月比5.8pt増)と、さらに数字が伸びている。
①【選考結果】4月末の内々定獲得学生の傾向(参考:図3)
4月に内々定を得た学生については、前年よりも活動を終了する割合が増加した。活動を終える学生には、内々定先1社で活動を終える「本命即決タイプ」と、複数社から内々定を得て決断する「複数選択肢タイプ」が存在する。「本命即決タイプ」の方が理系の割合が高く、3月以前の早期に内々定を得た割合も高い。「複数選択肢タイプ」の学生は、今年度は特に割合が増えており、内々定の数に比例して活動量も多い傾向がある。「活動継続タイプ」については、内々定先に不満である割合は2割ほどで、中小企業にも視野を拡げ、社風を重視しながら企業を選択する傾向が高い。
②【選考結果】インターンシップと4月末内々定の関係(参考:図4)
広報活動開始前の活動調査(2012年11月)でインターンシップに参加したと回答した学生と不参加と回答した学生について、その後4月末時点までに内々定が獲得できた率に差が出るかどうか見てみた。結果、参加した学生の内々定率は42.1%、不参加だった学生の内々定率は33.6%となり8.5ptの差が生じた。インターンシップの参加率は関東・関西圏の国公立の学生が他の学生より高いので、在籍大学の割合の差がこの内々定率の差に影響していないか調べるため、国公立私立別地域別に分類してそれぞれ内々定率を算出した。結果、その他私立を除くすべての分類でインターンシップに参加した学生の方が内々定率が高いことが分かり、インターンシップの参加と4月時点での内々定率は相関があると言える。
【2015年卒の展望】ますます厳しくなる採用戦線に備えて
2015年卒の新卒採用マーケットは、より競争が激化することが予測されている。世界経済が比較的安定しているという見通しなどにより、国内の経済環境は当面堅調に推移すると予測されているため、企業側は今のところ2014年卒を上回る高い採用意欲で臨むことになりそうだ。
①【展望】インターンシップ実施企業のさらなる増加
2015年卒のインターンシップについては、『マイナビ2015』の最新の数字(7月26日時点)で、掲載企業数が1,976社(前年同時期の1.83倍)、掲載コース数が2,593コース(前年同時期の1.9倍)と、前年より大きく増加している。また、2年前に倫理憲章がインターンシップを「5日以上の職業体験を伴うもの」と定義した際、一旦減少した短期間(1日または2日~3日)のプログラムが再び増加した。
【2016年卒の採用時期変更】政府要請による就職活動時期変更の影響
安倍首相から経済三団体に要請された、新卒学生の採用活動について「広報活動を3月に、採用選考活動を8月以降に開始」というスケジュールが、実際に実施された場合どのような影響を及ぼすのか。当初の目的である「海外大学等に留学していた学生に十分な就職活動を行う機会を与える」という点においては状況が改善される一方、懸念される要素がいくつか挙げられている。具体的には、就職活動期間との時期重複に起因する「理系学生の研究期間阻害」「公務員試験・教育実習とのバッティング」、時期の後ろ倒しにより就職活動開始から卒業までの期間が短くなることに起因する「既卒未就労者の増加」などである。
①【2016年卒の採用】未就労で卒業する学生が増加する可能性
選考活動開始が8月となった場合、学生は一部の層を除いて、特に早く活動を開始しようとはせず、2カ月後ろ倒しになった際と同様、企業の採用スケジュールに合わせて後ろ倒しの就職活動を行う可能性が高い。また、学生動向をシミュレーションしてみると、卒業後の進路で未就労のまま卒業する学生数は、少なくとも文部科学省の学校基本調査で示されている13万人(2012年実績)を超えると予測される。2013年卒と同様の内々定率で推移した場合、12月末で未内定若しくは内々定先に不満な学生の合計が25万人。この1/4にあたる7万人の学生はこの時点で次年度に再度活動することを選択する可能性が高い。その後の内々定率の進捗にも拠るが、既卒若しくは就職留年を選択する学生の増加が予想される。
②【2016年卒の採用】理系学生のスケジュール(参考:図5)
理系の学部生の場合、3月には研究室が決まり、4年は研究テーマに沿った実験や研究室の手伝い等で時間が割かれる。また、これまでは企業の選考と並行して修士進学の併願が可能だったが、選考活動の開始が8月となると併願は相当難しくなる。院生の場合、修士2年生になると、年に数回ある学会発表の準備、修士論文に向けた実験と論文作成で忙しくなる。これまでは4月に就職先を早々に決めて研究に集中していたが、8月選考開始となると就職活動を行える環境を維持する事は難しい。結果、理系学生の個別企業セミナー参加社数やエントリーシート提出枚数は大幅に減少すると予想される。
◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社マイナビ http://www.mynavi.jp/ /7月31日発表・同社プレスリリースより転載)