クレイア・コンサルティング
ビジネスパーソン1000名を対象とした意識調査
〜上場企業の正社員の約4割が社内で「閉塞感」を感じている〜
組織・人事コンサルティングサービスを提供するクレイア・コンサルティング(本社:東京都港区、草間徹・代表取締役)は、毎年実施しているビジネスパーソン1,000名を対象としたインターネットの意識調査を本年も実施しました。上場企業(東証一部上場企業、東証マザーズ、大証ジャスダック)に勤務する社員を対象に、当社が提供している従業員満足度調査の項目に沿って意欲や満足の状態を聞くとともに、特に社内の「閉塞感」をテーマにした質問を加えて調査を行いました。その結果、経営が比較的安定している上場企業においても37.1%の社員が社内で「閉塞感」を感じていることが判明しました。
【 調査の背景と問題意識 】
現在の日本経済は、先行きが不透明な状況を反映して閉塞感が蔓延しています。長引く不況から回復しようとしている日本企業において、企業成長の原動力であるビジネスパーソンが会社や職場、仕事に対してどのような意欲や満足を持っているかということは、一企業だけでなく、今後の日本経済の行方を大きく左右する重要な鍵といえます。このような背景のもと、当社では「企業の内部でも閉塞感が蔓延しているのではないか」との問題意識に立って調査を行いました。
【 調査結果サマリ 】
経営が比較的安定している上場企業においても、社内で閉塞感を感じる社員が約4割にのぼることが明らかになりました。閉塞感を抱えた社員は将来に対して希望を感じることが出来ず、新たなことにチャレンジしようという前向きな意欲が阻害され、転職への意向も高いことが判明しています。また、閉塞感が生まれる背景要因として、低成長下における将来のキャリアへの不透明感や歪んだ人員構成などに起因するポスト不足、職場内のタテヨコのコミュニケーション不足があることが明らかとなりました。
【 調査結果ハイライト 】
■ 上場企業社員の37.1%が「閉塞感」を実感
今回の調査において、上場企業に勤務する正社員のうち、4割近くが社内で「閉塞感」を感じていることが明らかになりました。
■ 閉塞感による社員意識への影響
閉塞感を感じる社員と閉塞感を感じない社員の意識の特徴を見ていくと、閉塞感が社員の意欲低下に影響を与える構図が明らかになりました。
(1) 希望の喪失
閉塞感を感じる社員の64.1%が、将来の生活や仕事への希望を抱けず
会社の将来性への不透明感が増し、閉塞感が高まる中、将来の生活や仕事に対する希望が失われてきており、目先の仕事に優先的に取り組まざるを得ない事態が起こっています。
(2) チャレンジ意欲の減退
閉塞感を感じる社員の72.8%が、チャレンジ意欲を持てず
閉塞的な状況が続いていく中で、社員が本来持っている新しいことへ挑戦する気持ちや、新しいものを生み出そうとする意欲が失われていることが明らかになりました。加えて、そもそも新しいテーマにチャレンジする機会自体が減っているという結果も出てきており、会社全体としてリスクをとろうとしない傾向が想定されます。
(3) 転職意向の増大
閉塞感を感じる社員の47.5%が、転職を考えている
回答者全体では4人に1人(25%)が転職の意向を示していますが、特に閉塞感の高い人はほぼ半数が転職意向を示しており、企業にとっては危機的な状況といえます。将来への希望が失われ、自社で思ったような挑戦も出来ずに挑戦する意欲を失うほど閉塞感が蔓延している組織では、社員の多くが転職意向を持ち始める傾向にあるようです。
■ 閉塞感を生み出す構造的要因
以上のような希望とチャレンジ意欲を失わせるような閉塞感が、企業内でどのように形成されていったのか。会社を取り巻く外部環境や会社の内部環境に着目すると、閉塞感が生み出される構図が浮かび上がってきます。
(1) 将来のキャリアへの不透明感とポスト不足
69.5%が中長期的なキャリアを描けず、65.2%が昇進・昇格機会の減少を実感
閉塞感を作り出す構造的要因の一つに、企業業績の停滞があります。景気の停滞などの影響でここ数年業績の伸びが鈍化している企業では、より閉塞感が強まる傾向にあります。
企業成長の鈍化のため、会社がリアリティのある長期のビジョンや経営・事業計画を描きにくい状況が続いており、結果的に社員が将来の中長期的なキャリアを描けない事態となっていると推測されます。また、企業成長の鈍化はポストの不足を招いており、昇進・昇格の機会を減らしていると推測されます。以前からの組織のフラット化によりポストがかなり削減された上に 将来のキャリアを描くことが困難な中、先の見通しが全く立たない状態で今の職位・役職に滞留してしまう人が増加しており、社員の中に閉塞感が醸成されていると思われます。
(2) 職場内のコミュニケーション不全
約6割がヨコの、約5割がタテのコミュニケーション不全を指摘
第一に組織をまたがった社員同士のヨコのコミュニケーションが取れなくなってきています。これは職場別・個人別の目標達成のみに注力してしまい、組織の縦割り化が進んだことが背景として考えられます。第二に上司からの指示命令によるタテのコミュニケーションにも不満が高まっており、上司が多忙な中、明確な指示命令を部下に与えることが出来なくなっていることが想定されます。タテとヨコの両方向のコミュニケーションの不活性化が社員に閉塞感を感じさせてしまう一因になっていることが見て取れますが、これらのコミュニケーション不全は、日本企業に広く浸透した成果主義人事制度の副作用(縦割組織化、管理職のプレイングマネージャー化)ともいえます。
■ 調査概要
調査期間: 2010年8月7日〜8日
調査方法: インターネットによる調査
回答方法: 多肢選択式
対象者��: 東証一部、東証マザーズ及び大証ジャスダックの各市場に上場している企業の正社員計1,000名
◆ 本リリースの詳細はこちらをご覧下さい。
クレイア・コンサルティング http://www.creia.jp/ /同社プレスリリースより抜粋・11月8日