マングローブ通信Vol.2
〜経営者が抱える三重苦。その背景と解決策は?〜
組織人事コンサルティングを行うマングローブ(東京都千代田区)は、当社代表取締役社長 今野誠一(いまの・せいいち)からのメッセージを「マングローブ通信」として発信しています。
第二回目のテーマは、『経営者が抱える三重苦。その背景と解決策は?』です。
企業にとって重要な経営資源である「ヒト、モノ、金、情報」の中でも、「ヒト」は他の経営資源とは異なり、“生き物”であるため、置かれる環境次第で変化する非常にデリケートな資源と言えます。それゆえ、どのような人材を採用し育成するか、すなわち人材マネジメント次第だといっても過言ではありません。ところが、いざ企業に目を向けると、人材に関して様々な課題が立ちはだかっています。では、一体、企業を取り巻く環境がどのように変化し、新たな課題を抱えるようになったのでしょうか。
組織人事および人材育成の第一線に携わる弊社代表:今野誠一よりレポートをご紹介させていただきます。
私は、組織人事コンサルティングの仕事をするかたわら、『MG-NET+(マグネット・プラス)』というベンチャー・中小企業の経営者コミュニティーサイトを運営しています。その中の一つに、経営者のインタビュー記事を連載するコーナーがあり、お会いした経営者の悩みで圧倒的に多いのが、社員の採用と定着の問題です。具体的には、「社員が長続きしない」「社員が採用できない」「社員が育たない」の三重苦です。このような背景には、以下の三つが考えられます。
■ 【 個人の価値観の移り変わり 】
いま、転職市場が一つの大きな産業として成り立つようになり、ビジネス雑誌やネット上において、他社の企業情報が洪水のように押し寄せる環境となっています。自分の会社と見知らぬ他社を常に比べ、突然他社を選んで移るという事態が当たり前のように起こってしまう時代となり、社員は「自分にとって価値のある企業かどうか」という価値観が強固になっています。つまり、企業が社員を選ぶ時代から、企業が「選ばれる時代」に移り変わっているのです。
■ 【 1対1のマネジメント受難の時代 】
一方、組織内のマネジメントに目を移してみると、結論として1対1のマネジメントが機能しにくくなっていると言えます。以前は一人前になるにはおよそ10年を要し、「10年選手が見習いを仕込む」という感覚でした。これは、事業や商品のライフサイクルが10年という長いタームであったから言えたことであり、今ではビジネスサイクルがどんどん短縮化され、それがまったくといっていいほど通用しません。マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズ95」が登場し、IT(情報技術)時代の到来の声を聞いたあたりから、10年が1年になり、今ではそれが1ヵ月となっています。経営サイクルも年次決算から月次決算が当然になり、企業によっては日次決算にまで辿り着いています。こうしたスピード経営に加えて、いまだ誰も思いつかなかったようなビジネスモデルをいち早く創出した企業だけが生き残る時代になってしまっているのです。これは、ベテランが経験則で未経験者を教えることができない、誰も経験したことのない試行錯誤の時代に入っている表れと言えます。
■ 【 管理職の役割の変化 】
現代のような変化の激しい時代には、経営ではなく、現場こそが何かを変え、事業を動かしていく原動力となります。これまでの管理職が「命令・指導・統制」していく組織は過去の遺物となり、これからは「社員が主体的に取り組む」組織が不可欠となるでしょう。管理職には「社員に主体的に働いてもらう環境づくり」という大きな役割が加わったと考えることが必要です。
加えて、その前提となる「社員の才能への見方」を変えなければなりません。経験以上に、新たな発想も必要でスピードについていくことが求められる時代には、これまでの教育のあり方も見直す必要があります。会社が社員をマスで捉え、「必要なこと」を詰め込んでいく教育は機能せず、また「不足している点、欠けている点の能力開発」という発想も10年20年タームの事業では遺物となってしまいます。社員への見方を「強み」や「やりがい」の発見にシフトしなければならないのです。
前述のこうした「社員が主体的に取り組む環境作り」と「社員の強みとやりがいの発見という人材観」が必要な時代になって来ていると言えます。
私は、数百名の経営者へのインタビュー経験を通じ、上記のような「三重苦」を解決し活力ある経営を実践するためにはその企業に合った「組織風土デザイン」が必須であると確信しています。
次号「マングローブ通信vol.3」以降では、その「組織風土デザイン」の方法について、具体的な事例を挙げながらご紹介いたします。
マングローブ http://www.manglobe.com/ /同社プレスリリースより抜粋・10月23日