マンパワー雇用予測調査・「人材不足」に関する追加調査結果発表
総合人材サービスのマンパワー・ジャパン(神奈川県横浜市、取締役・代表執行役会長 兼社長: ダリル・グリーン)は、昨年末からの急速な景気後退を踏まえ、1044社を対象 に現在の労働市場における企業の人材不足感および人材不足を感じている職種について、調査を行いました。
調査対象となった55%の企業は、依然として、必要な職種に対して「人材不足を感じている」という回答を得ました。しかし、やはり景気低迷の影響を受け、調査結果は調査開始以来の最低値となると共に、企業の「人材不足感」が明らかに弱まりつつあるといえます。本調査はマンパワー社が、2006年からマンパワー雇用予測調査の追加調査として開始し、企業の「人材不足感」をまとめたものです。今回の調査は、2009年1月に実施し、世界では33ヵ国・地域の約39,000社の企業を対象に行ったものです。
■ 日本では企業の「人材不足感」が55%と調査開始以来の最低値を記録、人材が必要な職種も変化
日本における企業の「人材不足感」の推移としては、2006年の調査開始から2008年までは右肩上がりで上昇してきました。昨年末からの景気低迷に伴い、多くの企業が人員削減や採用抑制を余儀なくされている状況の中、前項で述べた通り、前年に比べ8ポイントの減少となり、調査開始以来の最低値を記録したものの、日本の企業の「人材不足感」は55%と、グローバルの割合(30%)と比べ25ポイント高く、世界的に見れば、人材不足感はま だ強いといえるでしょう。(図1参照)
今回の調査結果の背景には、様々な要因が考えられますが、景気低迷に伴い、企業が、事業縮小による部門の統廃合や人員の配置転換などで、新たに人員を採用しなくても、必要な人材の補填が可能になっていることが最も大きい要因といえるでしょう。企業の「人材不足感」が再び上昇に転じるのがいつであるかは不透明ですが、この先の国内の景気動向に大きく左右されることが予想されます。
さらに、企業が人材不足を感じている職種を詳しく見てみると、その傾向にも変化が現れていることがわかります。(図2、図3参照)
日本において企業が人材不足を感じている職種2009年度の1位から10位は図2のとおりです。また、昨年は10位内に入っていて、今年はランク外となった職種は図3のとおりです。
上図を見ると、2008年から引き続き10位以内に入っている、営業/販売職、事務/秘書、高スキルの職人、IT関連技術者、エンジニアは、景気動向に左右されず、比較的人材の入れ替わりが早く、企業が恒常的に人材不足を感じている職種だといえるでしょう。また、2008年ではランク外だった、看護士、ドライバー、教師、管理職・役員といった職種が新たに10位内に入り、より専門性の高い職種や、採用が難しい職種に関しては人材不足を感じている企業が増えてきていることが推測できます。特に、看護士や教師などの専門職は、給与の待遇面や職場環境などの課題も多く、雇用におけるミスマッチが起きている可能性があります。また、非熟練工といった、高度なスキルを必要としない、いわば軽作業系といわれる単純作業を担う労働者も、新たに10位内に入っており、人材不足を感じている職種が二極化していることも考えられます。
さらに、2008年に10位内に入っていたマーケティング・広報、生産オペレーター、機械工、研究者が今年はランク外となったことも興味深い結果であるといえます。企業が積極的に営業活動や生産を行っていない現状を鑑みると、製造部門や間接部門で必要となる職種においては、企業がそれほど人材不足を感じていないことがわかり、国内の景気後退の影響が反映されているといえるでしょう。
■ グローバルにおいても人材不足を感じている調査対象企業の割合は30%と過去最低値を記録
世界において回答した39,000社のうち30%の企業が、特定の職種への人材不足感を感じていると回答し、前年と比べると1ポイント減となり、2006年に調査を開始して以来の最低値を記録しました。必要とする人材の採用に困難を感じている企業の割合は、ルーマニア(62%)、台湾(62%)、ペルー(56%)、日本(55%)、オーストラリア(49%)、ポーランド(48%)の順で高い数値となりましたが、全世界的に見ると、昨年秋に米国で発生した世界的な金融危機の影響で、減産や人員削減などの対策に伴い、企業の人材不足感が僅かに弱まっているといえます。世界において、今回人材不足感が最も高い地域は、北米・中南米地域で、2008年に比べ8ポイント増の36%となっています。逆に、人材不足感が最も低い地域は、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域で、2008年に比べ7ポイント減の25%となっています。アジア・太平洋地域は、2008年に比べ1ポイント増の32%と、企業の人材不足感が僅かに増加していますがそれほど大きな変化は見られません。
【 調査概要 】
調査時期: 2009年1月14日〜1月27日
調査対象: 東京・大阪・名古屋の次の7業種における企業の人事部門長
(1) 金融・保険・不動産、(2) 製造、(3) 鉱工業・建設、(4) 公共・教育(役所、学校関係)、(5) サービス(情報処理、ソフトウェア、娯楽など)、(6) 運輸・公益、(7) 卸・小売
質問内容:
(1) 雇用形態を問わず、どれほど人材不足を感じていますか?
(2)最も人材不足感があるのはどの職種ですか?
(3)(2)でご回答いただいた職種はどの部門に当てはまりますか?
調査方法: 次のいずれかの方法で回答を収集。
(1) 電話による聞き取り (2) 電子メールによるアンケート
有効回答数:日本国内 1044社、世界33ヵ国・地域では39,000社
調査の歴史:2006年からマンパワー雇用予測調査の追加調査として開始し、年に一度、マンパワー雇用予測調査の全調査対象国において実施します。
今回の調査結果を踏まえ、日本で人材不足を感じている企業の割合が初めて減少したという事実は非常に興味深い結果であるといえます。日本国内での景況感はやや改善しているといわれるものの、設備投資は伸び悩んでおり、失業率も悪化するなど、企業を取り巻く環境は、依然として厳しいといえます。そのような状況を踏まえ、マンパワー・ジャパンでは、企業と求職者の方々における雇用のミスマッチを少しでも解消できるよう、今後もより多くの雇用機会の創出を目指します。
マンパワー・ジャパン http://www.manpower.co.jp/同社プレスリリースより抜粋・7月17日