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ニュース
人事サービス 人材育成・研修
掲載日:2025/12/01

「職場の尊厳に関する意識調査」を実施

職場で尊厳が保たれていると回答したのは約6割。2割以上が尊厳が損なわれていると回答。意図せず相手の尊厳を傷つけている可能性も

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑 淳 以下、当社)は、20代から50代の会社勤務正社員を対象に「職場の尊厳に関する意識調査」を実施しました。

相対的に雇用環境が保護されている正社員であっても、職場において尊厳(人間として尊重され、その人格や価値が認められること)が損なわれ得ることを鑑み、その実態を明らかにしたいと考え、20代から50代の正社員を対象に各年代、性別、職種、勤務先の従業員規模に偏りが生じないように調査を行いました。

今回の調査を通して、尊厳が保たれている状態だけでなく、損なわれている要素を排除することの重要性が見えてきました。


【エグゼクティブサマリ】

  • 「尊厳」に関する5つの尺度で、職場では尊厳が保たれていると回答したのは約6割。「侮辱」の尺度では2割以上が職場で尊厳が損なわれていると回答
  •  尊厳が損なわれた際に「特に何もしなかった」と回答した人が約3割。「特に何もしなかった」と回答した人の約7割が「何をしても解決にならないと思ったから」と回答。被ハラスメント経験は「尊厳」の棄損に繋がる
  • 働き方やキャリアに関して、主体的に選択する機会を提供する個人選択型人事制度が導入されていると認識している人の方が尊厳が保たれていると感じている
  • 上司の倫理的態度、周囲のサポート、評価の手続きの公正さは、「尊厳」「侮辱」と関係している
  • 「尊厳」「侮辱」いずれも高い場合には、職場で期待される成果を上げていても、情緒的消耗感、孤独感、離職意向が高い

1. 調査担当のコメント
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
組織行動研究所 主任研究員
藤村直子

弊社機関誌RMS Message vol.80(2025年11月発行)では「尊厳ある職場を考える」をテーマに特集を組み、調査を実施しました。職場における尊厳(人間として尊重され、その人格や価値が認められること)の実態を把握し、職場環境との関係や本人の心的コンディションへの影響を探索的に検討することを目的としました。

調査の結果、「職場で尊厳を損なわれていると感じることがある」と答えた人は2割以上に上りました。尊厳が損なわれた経験に関する自由記述内容では、明らかなハラスメントだけでなく、無意識にやっていたり、よかれと思ってやっていたりすることに起因する内容も見られました。意図せず相手の尊厳を傷つけている可能性についても意識する必要があることに気づかされました。

本調査では、尊厳が保たれている「尊厳」、損なわれている「侮辱」の両面から職場の尊厳を測定しました。報告のとおり職場環境の各変数との関係が確認されましたが、追加の重回帰分析では、「尊厳」「侮辱」のいずれにも有意に関係しているのは「ソーシャルサポート十分度」「個人選択型人事制度導入の選択数」「職務重要性」でした。一方、「上司の倫理的リーダーシップ」は「尊厳」に、「上司の不正放置」は「侮辱」にそれぞれ関係するなど、両者で影響する変数が異なることも明らかになりました。

また、「尊厳」が高くても「侮辱」も高い状態の人は32.4%存在し、適応感は高いものの、内心では孤独感や離職意向を抱えていることがうかがえました。「静かな退職」との関係も見られ、尊厳を高めるだけでなく、尊厳を損なう要素の排除が重要であることが認識されました。

ハラスメントの防止、職場ぐるみの不正につながる上司の態度の改善、働き方に関する人事制度の整備・周知などを通じて、社員の尊厳を損なわないようにすることが解決の糸口となることが示唆されました。その上で、上司の倫理的リーダーシップ、職場のソーシャルサポート、評価制度における手続き的公正、キャリアや学びに関する主体的な選択機会の整備、自律的で仕事を任せてもらえる環境づくりなどにより、尊厳を保つ職場環境の構築が求められるでしょう。

さらに、尊厳が損なわれた経験をしてもあきらめや自責の念に陥ることがないよう、声を上げやすい組織風土への改善と、気軽に相談できる環境の整備が不可欠です。

今回の調査が、社員一人ひとりが人として大切にされ、個が生かされることの一助となれば幸いです。


2. 調査の結果

「尊厳」に関する5つの尺度で、職場では尊厳が保たれていると回答したのは約6割。「侮辱」の尺度では2割以上が職場で尊厳が損なわれていると回答

  • 「尊厳」に関する5つの尺度(「敬意のある交流」「能力と貢献」「平等」「固有の価値」「全般的尊厳」)の項目例(「私は職場の人たちと接する時、尊重されていると感じる」など)に「非常にそう思う」と回答したのは1割に満たなかった。「ややそう思う」まで含めると約6割が職場では尊厳が保たれていると感じている。
  • 一方、「侮辱」の尺度の項目例(「私の尊厳は職場で損なわれている」)では、2割以上が職場で尊厳が損なわれているという回答になった。
  • 回答者属性による違いを見ると、「尊厳」は管理職の方が高く、「侮辱」は一般社員の方が高い。年代別の統計的な有意差としては、「尊厳」について40代および50代は20代に比べて低く、50代は30代に比べて低い。

⇒50代は尊重され認められる経験が少ないこと、本人の期待値の高さから回答傾向が低くなることなどが解釈として考えられる​。年代だけで断定的に捉えることは避けるべきだが、尊厳が損なわれている対象の存在を考慮する必要がある。
 

尊厳が損なわれた際に「特に何もしなかった」と回答した人が約3割。「特に何もしなかった」と回答した人の約7割が「何をしても解決にならないと思ったから」と回答。被ハラスメント経験は「尊厳」の棄損に繋がる

  • 尊厳が損なわれた経験として自由記述で回答のあった200件について、「不満・疎外」「軽蔑・排除」「使い捨て・消耗」に関するコメントが確認された。 ・尊厳が損なわれた際の対処法として「1.職場の同僚」「2.上司」「6.家族や社外の知人・友人」という身近な人への相談が相対的に多かった。内容に応じて、「3.人事」「4.会社が設置している相談窓口」「5.医師やカウンセラー、弁護士などの専門家」へ相談したというケースもあった。
  • 一方、約3割は「10.特に何もしなかった」と回答。その理由として、約7割は「1.何をしても解決にならないと思ったから」を選択している。
  • また、4人に1人は「2.身近に相談できる人がいなかったから」を選択した。「3.社内に相談できる窓口や担当部署がなかったから」「5.どうしたらいいか分からなかったから」という回答も一定数あった。

⇒自分が傷ついたとき、困ったときに、身近に相談できる人がいない状況や、組織的な支援を得られないことが、さらなる尊厳の棄損につながることが懸念される。

  • 被ハラスメント経験の有無別に「尊厳」「侮辱」の得点を示した。全体の3人に1人は現在の勤務先で何らかのハラスメントを受けた経験を有していたが、ハラスメント経験がない職場(「13.あてはまるものはない」)では「尊厳」が高く、「侮辱」が低い傾向が、ハラスメント経験がある職場では、総じて、「侮辱」が高い傾向が確認された。

⇒サービス職では、カスタマーハラスメント(カスハラ)を受けた経験有の方が「尊厳」が有意に低く、カスタマーとの接点が仕事の中心を占めるサービス職においては、カスハラが尊厳に影響を及ぼすことが示唆される。尊厳が損なわれた経験においてもハラスメントに関する記載が散見されたように、ハラスメントを受けた経験は職場の尊厳に関する意識と関係している。
 

働き方やキャリアに関して、主体的に選択する機会を提供する個人選択型人事制度が導入されていると認識している人の方が尊厳が保たれていると感じている

  • 働き方やキャリアに関して主体的に選択する機会を提供する個人選択型人事制度の会社への導入有無を尋ね、制度の導入有無が職場の尊厳に関係するのかを確認した。「尊厳」の得点差が大きい5つの施策は、「11.人事や社外の専門家に/12.面談などで上司にキャリアについて相談できる制度」「10.管理職・専門職を行き来できる等級制度」「8.新規事業や業務改善などを会社に提案できる制度」「9.希望する研修や講習を受講できる制度」であった。

⇒施策があると認識している人は「尊厳」の値が高く、尊厳が保たれている・個として大切にされていると感じているようだ。いずれの施策も導入されていないという認識の場合には「尊厳」の値は低い。

  • 一方、「侮辱」の得点差が大きい上位5つの施策は「13.育児のための/14.介護のための/15.育児や介護以外の休暇・休職制度」「12.面談などで上司にキャリアについて相談できる制度」「9.希望する研修や講習を受講できる制度」である。

⇒育児・介護に関する休暇・休業制度は法的に労働者の権利であり、そうしたライフキャリア全般において職場で大切にされているという意識をもてないことは、尊厳が損なわれる状態につながることが示唆される。
 

上司の倫理的態度、周囲のサポート、評価の手続きの公正さは、「尊厳」「侮辱」と関係している

  • 職場環境として、直属の上司の倫理的態度、周囲のサポート、評価の手続きの公正さ、職務特性を挙げ、「尊厳」「侮辱」との関係について確認した。相対的に得点差が大きかった項目として、「尊厳」については「3.ソーシャルサポート十分度」「4.手続き的公正」「1.上司の倫理的リーダーシップ」の高群の方が高く、「侮辱」については「2.上司の不正放置」の高群、「3.ソーシャルサポート十分度」の低群の方が高い。また「6.職務相互依存性」が高いと「尊厳」「侮辱」共に高い。

⇒自分の仕事が他のメンバーの仕事と関連し合い、互いに依存しながら進める程度が高い場合、関係性が良いと尊厳を高める機会になる一方、摩擦や対立によって尊厳を損なうやり取りが発生する可能性も増えるのかもしれない。仕事上での必要性があると接点をもたざるを得ないため、尊厳が損なわれることがあってもその状況を回避しづらいという難しさがあるのではないかと考えられる。
 

「尊厳」「侮辱」いずれも高い場合には、職場で期待される成果を上げていても、情緒的消耗感、孤独感、離職意向が高い

  • 「尊厳」が高く「侮辱」が低い「尊厳H侮辱L」(48.0%)の割合が最も多いが、「尊厳」「侮辱」共に高い「尊厳H侮辱H」(32.4%)が次に多い。「尊厳H侮辱L」は「適応感」「協調的幸福感」が最も高く、「孤独感」「離職意向」が最も低い。「尊厳」「侮辱」のいずれも高い「尊厳H侮辱H」は、「適応感」「協調的幸福感」は「尊厳H侮辱L」の次に高いものの、「情緒的消耗感」の選択率が最も高く、「孤独感」「離職意向」同程度に高い傾向にあった。

⇒「尊厳」「侮辱」いずれも高いという認識には、さまざまなケースが考えられる。例えば、“総じて尊厳が保たれている職場であっても、特定の場面や人との間に大きく傷ついた経験がある”、“成果や能力を評価され公正に扱われていると感じるが、個別の属性に対して差別的な発言があった”、“職場内の一定の価値観に自分が共感できているときは尊厳が保たれるが、そこから外れることが同調圧力となる”、“上司や同僚から尊重されているが、経営が従業員を大事にしていないと感じることがある”などである。「尊厳」が保たれている状態だけでなく、「侮辱」の面にも目を向けて、尊厳が損なわれている要素を排除することが重要であるといえる。


調査概要
調査期間:2025年8月22~26日
調査方法:インターネット調査
調査対象:20代から50代の会社勤務正社員
有効回答数:1338名

◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。

(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ /2025年11月20日発表・同社プレスリリースより転載)

この記事ジャンル 組織風土改革

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