シニアのアルバイト求職に関する調査レポートを発表
【本調査のポイント】
- 直近2カ月間にアルバイトを探したシニアの8割以上が「元気なうちはできるだけ働き続けたい」。「アルバイトをすることが楽しみ」という声も
- 直近2カ月間でアルバイトを探したシニアの45.5%が「今後スキマバイトをしたい」。「時間の融通性」に対するニーズが高い傾向
- シニアがバイトに求めるのは「無理なく働けること」が61.7%で最多。仕事をする上での不安は「人間関係」「体力面」が上位
- シニアを雇用する企業の6割以上がミスマッチを経験。要因は「体力面」が最多
【個人調査】
■シニア求職率推移
- 2025年上半期のシニアのバイト求職率は高水準
2025年上半期のシニア(60歳以上)のアルバイト求職率を見ると、2025年3-4月は2020年の調査開始以来最高の8.7%となった。直近2カ月にあたる2025年5-6月は7.5%(前年同期比0.9pt増)と高水準で推移しており、シニアの高い就業意欲がうかがえる。
■求職・就業意欲
- 直近2カ月間にアルバイトを探したシニアの8割以上が「元気なうちはできるだけ働き続けたい」
- 直近2カ月間にアルバイトを探したシニアの半数以上が「アルバイトをすることが楽しみ」
就業意欲について
直近2カ月間(2025年5-6月)にアルバイトの求職活動をしたシニアに、仕事・アルバイトに関する考え方を聞いたところ、「元気なうちはできるだけ働き続けたい」とした割合は84.2%(あてはまる+ややあてはまる)にのぼり、「アルバイトをすることが楽しみ」は57.2%と半数以上となった。
時間・収入について
また、「空いた時間があればできるだけアルバイトにあてたい」は65.3%、「アルバイトでできるだけ多く収入を得たい」が71.6%となり、就業意欲にあふれ生き生きと働こうとするシニアの様子がうかがえる。
■スキマバイトの経験・興味
- 直近2カ月でアルバイトを探したシニアの45.5%が「今後スキマバイトをしたい」
- スキマバイトをしたい理由は「自分の好きな時間帯で働ける」が最多。「時間の融通性」に高いニーズ
スキマバイトの仕事探しの経験・興味
直近2カ月でアルバイトの求職活動をしたシニアのうち、「これまでにスキマバイトの仕事を探したことがある」とした割合は34.7%。対して、「今後スキマバイトをしたい」割合は45.5%となった。
今後スキマバイトをしたい理由
今後スキマバイトをしたい理由は「自分の好きな時間帯で働ける」が60.4%で最も多く、次いで「自分の好きな日にちで働ける」が51.5%となり、時間の融通性に対するニーズが高いことがわかった。
■アルバイトの仕事に求めること
- シニアがアルバイトに求めるのは「無理なく働けること」が61.7%で最多
直近2カ月間にアルバイトの求職活動をしたシニアに、アルバイトの仕事に求めることを聞いたところ、「体力面で無理なく働けること」が61.7%となり、他の項目に比べて高かった。
■アルバイトの仕事をするうえでの不安
- シニアのアルバイトをする上での不安は「人間関係」「体力面」「時間帯」が上位に
直近2カ月間にアルバイトの求職活動をしたシニアに、バイトの仕事をするうえでの不安を聞いたところ、「人間関係(一緒に働くメンバーと良い関係を築けるか)」が50.0%で最も多く、次いで「体力面(体力的な適性があるか)」が49.6%、「時間帯(希望する時間帯で働けるか)」が38.7%と続いた。
シニアのアルバイトの仕事においては、業務の負担や仕事の時間に対する不安を感じる人が多いことがうかがえる。
【企業調査】
■アルバイト雇用の今後の方針
- シニア人材のアルバイト雇用「拡大する」が19.2%。「製造」「医療・福祉」「建設」が特に高い
- シニアアルバイト雇用を拡大する理由は「人手不足を補うため」が68.7%で最多
シニア人材のアルバイト雇用に関する今後の方針
企業の採用担当者に、シニア人材のアルバイト雇用に関する今後の方針を聞いたところ、全体では「拡大する」が19.2%となった。業種別では「製造」「医療・福祉」「建設」が他の業種と比べて「拡大する」の割合が高い。
シニア人材のアルバイト雇用を拡大する理由
シニア人材のアルバイト雇用を拡大する理由は「人手不足を補うため」が68.7%で最も多く、次いで「採用がしやすいため」が36.8%、「コストを抑えられるため」が28.2%と続いた。
■シニアアルバイト雇用のミスマッチ経験
- シニアを雇用する企業の6割以上がミスマッチを経験。ミスマッチの要因は「体力面」が最多
シニアのアルバイト雇用で雇用ミスマッチを感じたことがあるか
アルバイトでシニアを雇用したことがある企業の採用担当者のうち、「雇用のミスマッチを経験したことがある」とした割合は61.8%となった。
シニアのアルバイト雇用によるミスマッチ要因
シニアのアルバイト雇用によるミスマッチの要因は、「体力面(仕事の体力面でのミスマッチ)」が55.7%で最多となり、次いで「能力適性(仕事の向き不向きのミスマッチ)」が40.4%、「精神面(仕事の精神的負荷・ストレス面でのミスマッチ)」が31.2%で続いた。
求職側の不安として見られた「体力面」は、雇用側の企業にとってもシニア採用を行う上での課題となっており、雇用に際しては十分な調整を行う必要がありそうだ。
■スキマバイト雇用の今後の方針
- スキマバイト雇用「拡大する」が8.4%。「建設」「商社」「医療・福祉」が特に高い
- スキマバイト雇用を拡大する理由は「人手不足を補うため」が最多
スキマバイト人材のアルバイト雇用に関する今後の方針
企業の採用担当者に、スキマバイト人材のアルバイト雇用に関する今後の方針を聞いたところ、全体では「拡大する」が8.4%となった。業種別では「建設」「商社」「医療・福祉」などが他の業種と比べて「拡大する」の割合が高かった。
スキマバイト人材のアルバイト雇用を拡大する理由
スキマバイト人材のアルバイト雇用を拡大する理由は、「人手不足を補うため」が66.2%で最も多かった。
■スキマバイト雇用のミスマッチ経験
- スキマバイトを雇用する企業の約4割がミスマッチを経験
- ミスマッチの要因は「能力適性」「精神面」など
スキマバイト人材の雇用で雇用ミスマッチを感じたことがあるか
スキマバイト人材を雇用している企業の採用担当者のうち、雇用のミスマッチを経験したことがあるとした割合は43.0%となった。
スキマバイト雇用によるミスマッチ要因
スキマバイト人材の雇用によるミスマッチの要因(複数回答)では、「能力適性(仕事の向き不向きのミスマッチ)」が35.6%で最も多く、次いで「精神面(仕事の精神的負荷・ストレス面でのミスマッチ)」が30.4%となった。
スキマバイト雇用の文脈においては、担当してもらう仕事に対して能力面・精神面で適性がマッチしているかをより重視する傾向がうかがえる。
調査者コメント
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、2025年4月にハローワークに申し込んだ65歳以上の新規求職者数は過去最高水準となりました。今回の調査の結果でも、シニアのアルバイト求職率は2025年に入ってから高水準で推移し、シニア人材が採用市場で活発に動いている様子がうかがえます。
今回の調査で特徴的だったのはシニアの就業意欲の高さです。働くことに前向きで、限りある時間とエネルギーの中で効率良く収入を確保したいというニーズがうかがえました。スキマバイトをはじめとした新たな働き方を含めて、今後ますますシニア人材の働くニーズは広がりを見せる可能性があります。
一方、シニア雇用のミスマッチの課題が生じており、求職側のシニアの不安も見えました。企業側がシニア人材を受け入れる際は、労働時間や業務負担について双方の意見を並べ、丁寧にすり合わせながら、活躍の場を整えることが重要と考えます。
マイナビキャリアリサーチLab研究員 宮本 祥太
調査概要
内容:マイナビ シニアのアルバイト求職に関する調査レポート
調査期間:2025年7月1日(火)~ 2025年7月10日(木)
調査対象 :
<個人>
全国の15-69歳の男女(中学生を除く)
このうち、学生を除く60-69歳をシニアと定義し、集計を行った。
<企業>
従業員数10名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員のうち、自社の非正規雇用労働者の採用方針について把握しており、直近2カ月以内に採用活動を行ったまたは新規採用を行った人
このうちシニアのアルバイトを雇用したことがある人で集計を行った。
調査方法:インターネット調査(外部調査会社)
有効回答数:
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高齢者活用
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