「海外駐在に行ってよかった人とそうでない人の違い」に関する調査
海外駐在、元々望まなかった87.5%が行ってよかった!海外駐在に向く人、向かない人の特徴も明らかに
beyond global Japan株式会社(所在地:東京都千代田区、beyond global group President & CEO:森田 英一)は、海外駐在経験ありの社員(30代~60代男女)を対象に、「海外駐在に行ってよかった人とそうでない人の違い」に関する調査を実施しました。
日本企業の今後の成長を考える上で、人的資本経営が注目されており、日本では2023年3月期決算から上場企業を対象に人的資本情報開示が義務化されました。
また、近年、日本国内の市場は成熟傾向にあるため、各企業は海外市場への新規開拓など、さらなるグローバル展開が急務となっている背景もあり、人的資本情報の中でも、成長を期待される「グローバル人材の強化」を重視している企業が増えてきています。
そこで今回、グローバル人材育成・組織コンサルティングを提供するbeyond global Japan株式会社は、グローバル人材強化に取り組むうえで、海外駐在員制度をどのように活用していくべきか、また、海外駐在員をどのように選抜・支援することが効果的かのヒントを探るために、どんなタイプの人が海外駐在を仕事・プライベート共に充実させられるのか、また、会社としてどのようなサポートがあれば、海外駐在員の活躍を後押しできるのか等について、海外駐在経験ありの社員(30代~60代男女)を対象に、「海外駐在に行ってよかった人とそうでない人の違い」に関する調査を実施しました。
<調査結果詳細>
海外勤務を希望していなかった人も、87.5%が海外駐在に行ってよかったと回答!「視野が広がった」とポジティブ
はじめに、海外駐在に行って思ったことについて「海外での勤務を元々希望していた方」「海外での勤務を元々希望していなかった方」に分けてうかがっていきたいと思います。「海外駐在に行ってよかったと思いましたか?」と質問したところ、以下のような回答結果となりました。
・海外での勤務を元々希望していた方『はい(99.3%)』『いいえ(0.7%)』
・海外での勤務を元々希望していなかった方『はい(87.5%)』『いいえ(12.5%)』
海外での勤務を元々希望していた方のほとんどが、行ってよかったと思ったようです。また、元々希望していなかった方も行ってよかったと思う方が8割以上いることが示されました。
では、海外駐在に行ってよかったと思う理由は何なのでしょうか。
前の質問で『はい』と回答した方に、「海外駐在に行ってよかったと思った理由は何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、以下のような回答結果になりました。
・海外での勤務を元々希望していた方
『日本で仕事していた時よりも、裁量を持って幅広く挑戦できる(55.1%)』
『語学力が向上した(44.9%)』
『異文化をより理解でき、視野が広がった(44.7%)』
『仕事へのモチベーションが上がった(44.3%)』
・海外での勤務を元々希望していなかった方
『異文化をより理解でき、視野が広がった(58.3%)』
『日本で仕事していた時よりも、裁量を持って幅広く挑戦できる(39.9%)』
『仕事へのモチベーションが上がった(38.1%)』
『語学力が向上した(38.1%)』
『生き方や働き方の考えが変わった(36.2%)』
海外での勤務を元々希望していた方は、日本で仕事をしていたときよりも幅広く挑戦できる、語学力の向上、視野が広がったといった理由から、海外駐在に行ってよかったと感じたようです。
一方で、元々希望していなかった方については、視野が広がったといった理由で行ってよかったと思う方が半数以上いることが示されました。さらには、生き方や働き方の考えが変わったという方も一定数いるようです。
チャレンジ精神、新しいことに興味がある人材、柔軟性がある人材が、海外駐在に行ってよかったと思う確率が高い
会社として、元々海外駐在を希望している方か、既に社内で活躍している方からどのような人を海外駐在に抜擢するか適任者に悩まれることも多いかと思います。それを踏まえて、どのような特性の方が、海外に行ってよかったと思う傾向があるのかを分析しました。
「あなたの性格について、当てはまるものを教えてください(上位3つまで選択可)」と質問したところ、海外駐在に行ってよかったと回答した方は『新しいことに興味がある(44.2%)』『チャレンジ精神が高い(42.4%)』『柔軟性がある(40.9%)』と回答した方が多い結果になりました。
一方で、海外駐在に行ってよかったと思わなかった方に同様の質問をしたところ、『内向的(20.6%)』『消極的(20.6%)』『悲観的でネガティブ(17.7%)』『几帳面(神経質)(17.7%)』『保守的(17.7%)』という回答が行ってよかったと思う人と比較すると多い結果になりました。
新しいことに興味を持ち、チャレンジ精神が高く、柔軟性がある方のほうが海外経験を良い経験にできる/楽しめる可能性が高いという結果となりました。
また、逆に、内向的、消極的、悲観的でネガティブ、保守的、几帳面(神経質)な人は、比較的、海外駐在に行ってよかったと思う可能性が低い傾向にあります。
今後の駐在員選抜の一つの参考になる結果かと思われます。
自己成長を感じる点は「異文化の中でも関係構築ができるようになった」一方、現地の人とコミュニケーションが上手く取れなかった方も…
海外での勤務を元々希望していた方に、「海外駐在を通して、ご自身が成長したと感じますか?具体的に、成長したと感じることは何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、『異文化の中でも現地の方との関係構築ができるようになった(48.5%)』と回答した方が最も多く、次いで『語学力が足りなくても、なんとかなると思えるようになった(39.4%)』『相手の意見や現場のルールが途中で変化しても、臨機応変に対応できるようになった(36.7%)』と続きました。
海外での勤務を元々希望していなかった方に同様の質問をしたところ、『異文化の中でも現地の方との関係構築ができるようになった(48.6%)』と回答した方が最も多く、次いで『語学力が足りなくても、なんとかなると思えるようになった(45.0%)』『相手の意見や現場のルールが途中で変化しても、臨機応変に対応できるようになった(32.1%)』と続きました。
海外での勤務を希望していた、していなかった方どちらも、異文化の中でも関係構築ができるようになった、語学力が不足していても何とかなると思えるようになったといった回答が上位となり、海外駐在を通して自己成長を感じている様子がうかがえます。
では、海外での勤務を元々希望していなかった方が、海外駐在に行ってよかったと思わなかった理由とは一体何なのでしょうか。海外での勤務を元々希望していなかった方に、「海外駐在に行ってよかったと思わなかった理由は何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、以下のような回答結果になりました。
『現地の人とコミュニケーションが上手く取れなかったから(38.7%)』
『主に日本人としかコミュニケーションを取らなかったから(29.0%)』
『あまり挑戦的に行動できなかったから(25.8%)』
『現地の文化や生活に上手く馴染めなかったから(22.6%)』
『病気など緊急時に苦労したから(16.1%)』
3割以上が、現地の方とのコミュニケーションが上手く取れなかったと回答したことから、海外での勤務を希望していなかった方はコミュニケーションを取るのが苦手という方が多い傾向が示されました。
特に、『病気など緊急時に苦労したから(16.1%)』については、次に紹介する「海外駐在前に不安な点はありましたか?」との関連も見られました。
行く前の不安点は『病気などの緊急時の対処』『助けてくれる仲間がいるか』
「海外駐在前に不安な点はありましたか?(複数回答可)」と質問したところ、海外での勤務を元々希望していた方は『病気などの緊急事態に対処できるか(18.7%)』『困ったときに助けてくれる知人や仲間ができるか(13.2%)』と回答した方が少数ですが、海外での勤務を元々希望していなかった方は『病気などの緊急事態に対処できるか(25.3%)』『困ったときに助けてくれる知人や仲間ができるか(24.1%)』と多い結果になりました。
海外での勤務を元々希望していなかった方を海外駐在に抜擢する際は、病気にかかったときや緊急時などのサポート体制が大切なのではないでしょうか。
【帰国後の仕事へのスタンス】多くの海外駐在経験者がポジティブになったと回答
さまざまな不安を抱えて海外駐在に行ったみなさんですが、海外駐在後、日本に戻ってきて仕事へのスタンスに変化はあったのでしょうか。
「日本に戻った後、仕事へのスタンスに変化がありましたか?(駐在に行く前よりも、仕事に対してポジティブになったか、ネガティブになったか)」と質問したところ、以下のような回答結果になりました。
・海外での勤務を元々希望していた方
『ポジティブに思うことがほとんど(33.6%)』『ポジティブに思うことが多い(54.7%)』
・海外での勤務を元々希望していなかった方
『ポジティブに思うことがほとんど(16.1%)』『ポジティブに思うことが多い(50.2%)』
海外での勤務を元々希望していた方の8割以上、希望していなかった方も6割以上が日本に戻った後の仕事のスタンスについてポジティブになったようです。
右も左もわからない世界に飛び込むには、ある程度の勇気も必要かと思いますが、海外駐在に行ったみなさんは、総じてポジティブに捉えられることが分かりました。
【まとめ】海外駐在、元々望まなかった人も87.5%がポジティブに。海外駐在の選抜には、チャレンジ精神が高い人材を選ぶことが大切
今回の調査結果を分析した結果、海外駐在員の活躍と成長に寄与する3つの重要なポイントが明らかになりました。
1.海外駐在は、本人の駐在希望の有無に関わらず自己成長につながることが多い
海外駐在員の選定に際し、多くの企業が上司による推薦や自己推薦など、選抜方法に頭を悩ませています。最近では、本人の海外勤務への意欲を重視する傾向がありますが、元々海外勤務を希望していた方の99.3%、元々海外勤務を希望していなかった方の87.5%が駐在経験を通じて多くの挑戦を経験し、視野が広がり、成長を実感していることが分かりました。さらに、元々海外勤務を希望していた方もそうでなかった方のどちらも、日本に戻った後、仕事に対する姿勢がよりポジティブになったと報告されています。これらの結果から、海外駐在は、希望する人だけでなく、そうでない人にとっても人材育成や能力開発の貴重な機会となり得ると言えます。
2.海外駐在に向いているのは、チャレンジ精神が旺盛で新しいことに興味を持つ人
調査結果によると、海外駐在経験が肯定的な影響を与えた人は「チャレンジ精神が高い」「新しいことに興味がある」「柔軟性がある」と自認していることが多い一方で、肯定的でない経験をした人は「内向的」「消極的」「保守的」と自覚している人が多いことが示されました。また、海外勤務を希望していなかった人の中には、現地でのコミュニケーションがうまくいかず、日本人コミュニティに偏る傾向も見られました。
これらの点から、チャレンジ精神が旺盛で新しいことに興味を持ち、柔軟性が高い人を海外駐在に選ぶことが、成功の可能性を高めると言えます。逆に、内向的・消極的・保守的な人は、現地でのコミュニケーションや新しい挑戦に対して苦手意識を抱えている傾向があり、海外駐在で困難に直面する可能性があるので、事前の準備と現地でのケアが重要になります。
3.派遣前の不安解消とサポート体制の整備をしっかりと
海外駐在を希望しない人や内向的な性格の人にとって、海外勤務が必ずしも不適切とは限りません。調査によると、海外勤務を元々希望していなかった人の中にも、現地でのコミュニケーションの難しさや病気などの緊急時の対応に苦労した経験により、海外駐在を肯定的に感じなかった人が一定数います。
海外駐在員の選定にあたっては、まず本人の希望を確認すること。そして、特に希望していない人を派遣する場合は、派遣前に本人が感じている不安を理解し、駐在赴任前研修(異文化理解、駐在ミッションの明確化、生活面での不安解消など)の実施や、語学力向上支援、現地での生活サポート、緊急時の対応、信頼できる現地の連絡先の提供、駐在赴任後研修など、準備と赴任後のサポートを徹底することが重要です。また、駐在中に日本人コミュニティに偏らないよう、現地の人々とのコミュニケーションを促進する仕組みを整えることも大切です。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(beyond global Japan株式会社 / 3月14日発表・同社プレスリリースより転載)