『2023年 ハラスメントの境界線調査』を実施
中間管理職を襲う“ハラハラ” 曖昧な境界線に神経使う8割
~言動に敏感6割も世代で意識の差 コミュニケーションにも影響~
キャリアや就職・転職に特化した匿名相談サービス「JobQ」を開発・運営する株式会社ライボ(本社:東京都渋谷区 代表取締役:森宏記 以下「ライボ」)の調査機関『Job総研』は、354人の社会人男女を対象に「2023年 ハラスメントの境界線調査」を実施しました。同調査はハラスメントの境界線の理解度や、ハラスメントに対する感応と、仕事上のコミュニケーションへの影響度、また配慮への意識及び、配慮する具体的な内容など、それぞれ属性別集計を含め調査しました。
【ハラスメントの境界線に対する意識】
ハラスメントの境界線は厚労省で定義していますが、実際には職場で怒鳴る・無理な要求を押しつけるなどハラスメントに当たる行為か否かの境界線には、指導する側もされる側も判断が難しいことがあります。3月にJob総研で公開した「2023年 ハラスメント実態調査」では、ハラスメントに対する境界線が年代別で違う傾向が見られ、20代の被害意識が他年代と比べて低い結果が出たことから、ハラスメントに対する境界線の意識が年代ごとに変わってきている可能性もあります。
そこでJob総研では354人の社会人男女を対象に、 ハラスメントの境界線の理解度や、ハラスメントに対する感応と、仕事上のコミュニケーションへの影響度、また配慮への意識及び、配慮する具体的な内容など、それぞれ属性別集計を含め調査した「2023年 ハラスメントの境界線調査」を実施しました。
【TOPICS】
- 全体の28.0%が境界線を「正しく認識している」と回答
年代別では30代が29.4%で最多 - ハラスメントに対して「敏感になっている派」61.6%
男女別では男性が65.1%で最多 - 「敏感になっている派」の年代別では50代が67.6%で最多
職別では課長クラスが76.1%で最多 - ハラスメント意識がコミュニケーションに「影響する派」88.9%
「神経使う」は78.0% - 「神経を使う派」の年代別では50代が91.9%で最多
役職別では課長クラスが95.7%で最多
<調査結果詳細(抜粋)>
【ハラスメントの境界線認識】
回答者全体の354人にハラスメントの境界線を正しく認識しているかを聞くと、「認識しているつもりだが正しいかは曖昧」が53.1%で最多回答になり、次いで「正しく認識している」が28.0%、「何となく認識している」が17.2%、「全く把握していない」が1.7%でした。また年代別で「正しく認識している」の回答を見ていくと30代が29.4%で最多になり、「正しいかは曖昧」は50代が59.5%で最多でした。
【ハラスメントの判断】
回答者全体の354人にハラスメントと判断する境界線に対する意識を聞くと、「とても敏感になっている」15.3%、「敏感になっている」22.9%、「どちらかといえば敏感になっている」23.4%を合算した61.6%が“敏感になっている派”の回答をしました。“敏感ではない派”の回答は38.4%で、内訳は「全く敏感ではない」6.2%、「敏感ではない」13.0%、「どちらかといえば敏感ではない」19.2%でした。
また“敏感になっている派”を男女別で見ていくと男性が65.1%で、女性が54.8%になり、男性の方がハラスメントに敏感になっている結果になりました。
【年代と役職別のハラスメント判断】
前出したハラスメントと判断する境界線に対する意識を年代別で見ていくと、“敏感になっている派”の回答は「50代」が67.6%で最多になり、次いで「40代」が62.3%、「20代」が60.5%、「30代」が60.0%でした。またこれを役職別で見ていくと、“敏感になっている派”の回答は「課長クラス」が76.1%で最多回答になり、次いで「係長クラス」が71.4%、「部長クラス」が66.7%、「主任クラス」が65.5%、「一般社員」が59.0%と続き、最も低い回答だったのは「役員」の40.0%でした。
【コミュニケーションへの影響】
回答者全体の354人にハラスメンに対する意識が仕事上のコミュニケーションでどの程度影響しているかを聞くと、「とても影響する」31.6%、「影響する」31.9%、「どちらかといえば影響する」25.4%を合算した、88.9%が“影響する派”の回答をしました。また仕事上のコミュニケーションでハラスメントに神経を使っているかを聞くと、「とても神経を使う」16.7%、「神経を使う」26.8%、「どちらかといえば神経を使う」34.5%を合算した78.0%が“神経を使う派”の回答をしました。
【年代と役職別のコミュニケーション】
前出した仕事上のコミュニケーションでハラスメントに神経を使っているかを年代別で見ていくと、“神経を使う派”の回答は「50代」が91.9%で最多になり、次いで「40代」が82.7%、「30代」が79.8%、「20代」が69.5%と、年代が上がるごとに仕事上のコミュニケーションに神経を使っているという結果になりました。またこれを役職別で見ていくと、“神経を使う派”の回答は「課長クラス」が95.7%で最多になり、次いで「主任クラス」が93.2%、「係長クラス」が85.7%、「部長クラス」が83.4%、「一般社員」が75.4%と続き、最も低い回答だったのは「役員」の60.0%でした。
【調査まとめ】
今回実施した「2023年 ハラスメントの境界線調査」では、3割がハラスメントの境界線について正しく把握していると回答し、年代別でもほぼ差はない結果になりました。また全体の6割がハラスメントに対して敏感になっている結果になり、女性よりも男性が敏感になっていることがわかりました。年代別ではほぼ差は見られなかったものの50代が最も敏感になっている結果でした。役職別では課長クラスが7割強で最も敏感になっていて、係長クラスでも7割を超えたことから、部下を持ち普段から直接指導または管理する中間管理職は、年代や性別問わずコミュニケーションする機会が多いことから、ハラスメントと受け止められないように敏感になっていることが推測されます。この裏付けとして9割が前述したハラスメントに対する意識で、仕事上のコミュニケーションに影響が出ていると回答していて、8割が神経を使ってコミュニケーションをとっているという回答からも見えてきます。
これを年代別で見ていくと、20代から年代が上がるごとにハラスメントを気にしてコミュニケーションに影響が出ているという回答が高くなり、最も影響があると回答したのは50代で、同じく役職別で見ると一般社員と役員以外の中間管理職が突出して高くなる傾向が見られたことから、指導や管理する側とされる側でハラスメントに対する意識にギャップがあることがわかりました。
神経を使う場面では、役職差や世代差及び異性とのコミュニケーションでハラスメントにならないようにしているという回答が顕著で、こういった意識が強いのが中間管理職で、一般社員との意識のギャップが見られる結果になりました。
昨今ハラスメントに対する意識が日本全体で上がってきている傾向はありますが、年代や役職でその意識に差があり、仕事上のコミュニケーションで神経を使って接しなければならない状況にあることがわかります。ハラスメントの境界線は受け止める側の意識が重視されていますが、がそれを気にしすぎるあまりコミュニケーションに影響が出てしまう中間管理職へのフォローも、企業として今後は取り組みが必要になっていくかもしれません。ライボでは今後も就職・転職・働き方などに関連する様々な調査を実施し、リアルで透明度の高い情報を発信することで個が活躍する社会の実現を目指してまいります。
<調査概要>
調査対象者:全国 / 男女 / 20~50代
調査条件:1年以内~10年以上勤務している社会人
20人~1000人以上規模の会社に所属
調査期間:2023年3月1日~3月7日
有効回答数:354人
調査方法:インターネット調査
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社ライボ / 4月3日発表・同社プレスリリースより転載)