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ニュース
人事サービス 人事労務・管理
掲載日:2023/04/05

「中小企業対象」賃上げに関するアンケート調査

中小企業の賃上げ、54.6%が実施予定。インフレ手当は「支給しない」が85.1%

採用業務クラウド「採用係長」を提供する株式会社ネットオン(本社:大阪市北区、代表取締役CEO:木嶋 諭、以下ネットオン)は、「採用係長」の登録ユーザーである中小企業の人事・採用担当者を対象に、賃上げに関するアンケート調査を実施しました。

物価上昇と人手不足を背景に、国内主要企業はベースアップや初任給の大幅な引き上げなど高水準の賃上げを予定しています。

しかし、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しく、コロナ禍で落ち込んだ業績の回復が進む一方で、長引く原材料価格の高騰や人材獲得競争の激化、社会保険の適用拡大など、利益確保に苦慮する企業が少なくありません。

中小企業への賃上げの波及が期待される中、2023年度の賃上げについて中小企業はどのように対応していくのでしょうか。

株式会社ネットオンでは、採用業務クラウド『採用係長』の登録ユーザーである中小企業の採用担当者を対象に、2023年度の賃上げ予定に関するアンケート調査を実施しました。

<調査結果>
・54.6%の事業所が賃上げを実施予定。賃上げ率は「2〜3%未満」がもっとも多く、5%未満の範囲で実施する事業所が過半数を占めた
・賃上げ内容は、「定期昇給」が1位で52.5%。2位は「ベースアップ」で51.4%が回答。「一時的な賃金の増額」を大きく上回った
・賃上げをする理由1位は、「従業員の生活を支えるため」。しない理由は「業績の向上(回復)が見込まれていないため」が1位に
・物価高騰に対応するためのインフレ手当(特別手当)については、85.1%が「支給しない」と回答した

<調査詳細>
54.6%が賃上げを「実施する予定」と回答

はじめに、2023年度の賃上げ予定について質問したところ(n=335)、54.6%の事業所が「実施する予定」と回答。僅差で実施予定のない事業所を上回る結果となりました。
前回調査(2022年3月実施/n=192)との比較では、「実施する予定」が0.4ポイント上昇。賃上げ予定の事業所の割合には、大きな変化は見られませんでした。

半数以上が「定期昇給」または「ベースアップ」を実施
続いてQ1の質問で賃上げを「実施する予定」と回答した事業所へ(n=183)、賃上げ内容について質問したところ、半数以上の事業所が「定期昇給」と「ベースアップ」を行うことが分かりました。
企業が一時的な増額よりも、従業員にとって長期的な安定につながる「定期昇給」と「ベースアップ」を優先した点については、2022年度と同様です。
ただし、今回の調査では「ベースアップ」が前回調査(39.4%)から12ポイント上昇しています。「ベースアップ」は長期にわたる人件費増が見込まれますが、その割合が増加した点からは、企業がベースアップの必要性を意識せざるを得ない状況にあることが読み取れるのではないでしょうか。

賃上げ率は「2〜3%未満」が最多。過半数が5%未満の範囲で実施
賃上げ率については、「2〜3%未満」がもっとも多く、20.2%。次に「4〜5%未満(16.4%)」、「1〜2%未満(15.8%)」が続きました。
全体の63.4%が0〜5%未満の範囲で賃上げを実施することが明らかになっています。

56.8%が「正社員と非正規雇用の両方」を対象に賃上げを予定
賃上げ対象となる雇用形態についての質問では、56.8%が「正社員と非正規雇用の両方」と回答しています。
雇用形態に関わらず賃上げを実施する事業所が過半数を占めた一方で、30%以上が「正規雇用のみ」と回答しました。雇用形態による待遇格差が解消されていない現状を示す結果にもなっています。

賃上げ理由上位は「従業員の生活を支えるため」「従業員の定着率向上のため」「物価高騰に対応するため」
賃上げを実施する理由としてもっとも多かったのは、「従業員の生活を支えるため」で、58.5%でした。2位の「従業員の定着率向上(引き留め)のため」も52.5%に上り、半数以上がいずれかを賃上げ理由として選択。3位の「物価高騰による生活費増加に対応するため」も50%に迫っています。
一方、「人材採用のため」「業界の給与水準に合わせるため」「業績が伸びた(回復した)ため」は30%未満に留まりました。

賃上げしない理由は「業績の向上(回復)が見込まれていないため」が最多
Q1で賃上げを実施する予定が「ない」と回答した事業所にも、その理由について質問しました(n=152)。
もっとも多かったのは「業績の向上(回復)が見込まれていないため」。47.4%の事業所が選択しています。2位は「現在の賃金が適切であるため」(37.5%)です。中小企業の厳しい経営状況がうかがえる一方で、現状においては賃上げの必要性を感じていない事業所も少なくないことが分かります。

インフレ手当は、85.1%の事業所が「支給しない」
全事業所へ、物価高騰に対応するためのインフレ手当(特別手当)を支給するかどうかについて質問したところ(n=335)、支給する(「すでに支給した」+「これから支給する」)事業所は14.9%に留まりました。
賃上げを実施する事業所は半数を超えましたが、インフレ手当については大半の事業所が「支給しない」と回答しています。

インフレ手当の支給額は、一時金・月額手当ともに「1~5万円」が最多
Q7でインフレ手当を「すでに支給した」「これから支給する」と回答した事業所へ支給額について質問したところ(n=50)、42事業所から回答が得られました。
一時金、月額手当ともに「1~5万円」がもっとも多く、いずれも過半数を占めています。
その他の支給には、「休日の食事代」「電気料金補助」「決算賞与の増額」などの回答がありました。

<まとめ>
今回の調査では、中小企業における2023年度の賃上げ予定に関するアンケートを実施しました。結果は、賃上げを「実施する予定」の事業所が54.6%でした。1年前(2022年3月)に実施した前回調査との比較では、0.4ポイントのみの上昇です。

賃上げ状況は横ばいではありますが、賃上げ内容については「定期昇給」または「ベースアップ」を実施する事業所がそれぞれ50%以上。特に企業にとって人件費増につながる「ベースアップ」を実施する事業所の割合が前年(39.4%)よりも増加した点は、記録的な物価上昇や激しさを増す人材獲得競争などを背景に、給与水準の引き上げが避けられない状況にあることを示しているのかもしれません。

一方、賃上げを「実施しない予定」の事業所は全体の45.4%です。その半数近くが「業績の向上(回復)が見込めない」ことを理由として挙げており、「賃上げしたくてもできない」という意見も散見されました。
2023年度は大手主要企業が高水準の賃上げを予定しており、中小企業との格差拡大が懸念されていますが、今回の調査結果からは中小企業間における格差の広がりも進んでいることがうかがえます。

コロナ禍以降、中小企業にとって厳しい状況が続いていますが、企業の存続・成長には人材の確保と定着が不可欠であり、そのための持続的な賃上げは最重要課題のひとつです。厳しい状況にある中小企業こそ、適正な価格転嫁を行うための付加価値の向上やDX導入などによる生産性の向上など、経営体質の強化に力を入れる必要があるのではないでしょうか。
株式会社ネットオンは、採用業務クラウド『採用係長』の提供を通じて採用課題の解決に貢献し、中小企業の成長を支援してまいります。


<調査概要>
調査期間 :2023年3月9日(木)~3月16日(木)
調査方法 :インターネット調査
調査対象 :「採用係長」利用事業所の人事・労務担当者様
有効回答数:335

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(株式会社ネットオン/ 3月29日発表・同社プレスリリースより転載)

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