『2023年 ハラスメント実態調査』実施報告
キャリアや就職・転職に特化した匿名相談サービス「JobQ」を開発・運営する株式会社ライボ(本社:東京都渋谷区 代表取締役:小谷匠 以下「ライボ」)の調査機関『Job総研』は、354人の社会人男女を対象に「2023年 ハラスメント実態調査」を実施しました。同調査は属性別を含めたハラスメント被害の経験有無やその頻度及び誰からのハラスメントか、また具体的なハラスメントの内容や相談相手の有無、さらに職場でのハラスメント防止対策の有無とその内容などについて調査しました。
【ハラスメントの実態】
大企業に続き昨年から中小企業でもパワハラ防止法が施行されましたが、未だ労働相談の件数は増加傾向にあります。厚労省の最新のデータでは、相談件数が14年連続で100万件を超え、令和3年度には過去最多の相談件数を更新しています。
昨今はコロナ禍を背景としたリモハラやコロハラなど、新たなハラスメントも問題視されていますが、実際にはどのようなハラスメントが多く、企業ではどのような防止対策をしているのでしょうか。Job総研では354人の社会人男女を対象に、属性別を含めたハラスメント被害の経験有無やその頻度及び誰からのハラスメントか、また具体的なハラスメントの内容や相談相手の有無、さらに職場でのハラスメント防止対策の有無とその内容などについて調査した「2023年 自己都合退職の実態調査」を実施しました。
【TOPICS】
- 全体の65.8%が過去に「ハラスメントを感じた経験あり」を回答
直近1年では51.9% - ハラスメントを感じた経験の年代別では30代と40代が8割越え
男女で差はなし - 全体の48.9%が「月に数回以上」の被害
加害者は「上司」が圧倒的に多く72.5%で最多 - 被害の種類では「パワハラ」が81.5%で最多
誰にも相談できず精神的ダメージが上位回答 - 職場でのハラスメント防止対策「不十分」が69.3%
「ハラスメントが原因で退職」53.6%
【ハラスメント被害の経験有無】
回答者全体の354人に過去職場でハラスメントを感じた経験について聞くと、全体の65.8%が「経験あり」を回答し、「経験なし」は34.2%でした。また過去ハラスメントを感じた経験のある233人に直近1年間でハラスメントを感じた経験を聞くと、「経験あり」が51.9%で、「経験なし」は48.1%の結果になりました。
【属性別で見るハラスメント被害】
ハラスメントを感じた経験を男女別で見ていくと、「経験あり」の男性が66.8%で、女性は63.2%でほぼ差がない結果でした。また同じく「経験あり」を年代別で見ていくと、40代が85.7%で最多回答になり、次いで30代が83.5%、50代が75.7%、20代が37.3%で、20代が最も少なく、他年代は8割前後と高い割合になりました。
【被害の頻度と加害者】
ハラスメントを感じた経験のある233人に被害の頻度を聞くと、「ほぼ毎日」が10.7%、「週に数日」が18.5%、「月に数日」が19.7%で、合算した48.9%がほぼ毎日から月に数日被害を受けていることがわかりました。年に数日は51.1%で最多回答でした。またハラスメントの加害者について聞くと、「上司」が72.5%で最多回答になり、他回答と比較すると顕著な数値でした。次いで多かったのは「先輩」が27.0%、「役員」が14.2%で上位3つの回答結果になりました。回答が少なかったのは「部下」2.1%、「後輩」1.7%でした。
【ハラスメント被害の種類と具体的な内容】
ハラスメントを感じた経験のある233人に被害の種類を聞くと、「パワーハラスメント(以下パワハラ)」が81.5%で圧倒的に多く最多回答になり、次いで「モラルハラスメント(以下モラハラ)」が36.5%、「セクシャルハラスメント(以下セクハラ)」が20.6%で上位3つの回答結果でした。また具体的な内容を聞くと、「個人を否定するような言動」が54.9%で最多回答になり、次いで「能力を否定するような言動」が49.8%、「精神的な攻撃や嫌がらせ」が37.3%で上位3つの回答結果でした。
【被害による影響と相談相手】
ハラスメントを感じた経験のある233人に被害による影響について聞くと、「精神的に負の感情を持つようになった」が51.9%で最多回答になり、次いで「精神的ダメージにより不安定になった」が33.9%、「心身ともに体調を崩した」が27.5%で上位3つの回答でした。いずれも精神的なダメージの影響に関する回答結果になりました。また被害についての相談相手を聞くと、「誰にも相談していない」が45.5%で最多回答になり、次いで「社内の信頼できる人に相談した」が26.6%、「家族または配偶者や親族に相談した」が23.2%で上位3つの回答結果になりました。「直接話した」は12.9%でした。
【職場のハラスメント防止対策】
回答者全体の354人に職場のハラスメント防止対策の有無を聞くと、「ある」が60.5%で、「ない」が16.9%、「有無を知らない」が22.6%でした。また防止対策ありを回答した214人にその満足度を聞くと、69.3%が「不十分な対策である」を回答する結果になりました。
【具体的な防止対策】
防止対策ありを回答した214人に具体的な防止対策を聞くと、「職場で相談窓口を設けている」が56.8%で最多回答になり、次いで「ハラスメントガイドラインの周知」が45.5%、「ハラスメント研修及び教育の実施」が33.9%で上位3つの回答結果になりました。またハラスメントを感じた経験のある233人にハラスメントが原因の退職経験有無を聞くと、「退職経験あり」が53.6%で、「退職経験なし」が46.6%になり、半数以上がハラスメントの影響で退職に追い込まれている結果になりました。
【調査まとめ】
今回実施した「2023年 ハラスメント実態調査」では、約7割がハラスメント被害の経験があると回答し、そのうち直近1年間の被害経験は5割と被害経験者が多いことがわかります。男女別では差が見られないものの、年代別では40代の9割、30代で8割が被害を経験していることがわかります。一方20代は3割強と他年代と比較しすると少ない結果からも、年代で経験してきた働き方や働く環境の違いから、ハラスメントの捉え方も大きく異なっていることが要因の1つとして推測できます。
ハラスメント被害の頻度では「ほぼ毎日」から「月に数回」が全体の5割を占め、加害者として7割が「上司」という回答が得られました。また被害の種類では「モラハラ」や「セクハラ」が上位回答になりましたが、それらの2倍以上の回答を得ているのが「パワハラ」で8割を占めています。このことからも、職務上日々関わることが多く、上司という立場を利用または、気づかないうちにパワハラをしていることが推測できます。ハラスメントの具体的な内容を見ても、「個人を否定する言動」や「能力を否定するような言動」が上位をしめていますが、これには世代間ギャップや立場上の意識も大きく影響していることが要因の一つとして考えられます。パワハラには意図的な言動だけではなく、気づかないうちに何気なくしている言動が相手の捉え方次第で「パワハラ」と認識されているケースも少なくないので、今一度双方の意識のギャップを考え、ハラスメントに対して正しい知識を共通認識として持つ必要がありそうです。
ハラスメントの被害による影響では、精神的に不安定になり体調を崩すといったケースも多く、実際に同調査でも「精神的な面でのダメージ」が上位回答を占めています。それを裏付けるデータとして、5割が「ハラスメントが影響して退職した経験がある」と回答しています。これにはハラスメント被害の対応が大きく影響していることが予測できます。被害者が誰に相談しているかについて「誰にも相談していない」が最多回答になっていることからも、その被害が閉鎖的になり、吐き出すこともできない状態が精神的な面でより大きな負担になっていることがわかります。
一方全体の6割が職場でのハラスメント防止対策があると回答しているものの、そのうち7割が職場での対策が不十分とも回答しています。具体的な防止対策として上位だった回答は「相談窓口を設けている」や「ハラスメントガイドラインの周知」などが占めています。会社側の対応としては定期的にハラスメントに関する社内へのアプローチを増やすなど能動的な対応策が求められていきそうです。ライボでは今後も就職・転職・働き方などに関連する様々な調査を実施し、リアルで透明度の高い情報を発信することで個が活躍する社会の実現を目指してまいります。
【調査概要】
調査対象者:全国 / 男女 / 20~50代
調査条件:1年以内~10年以上勤務している社会人
20人~1000人以上規模の会社に所属
調査期間:2023年3月1日~3月7日
有効回答数:354人
調査方法:インターネット調査
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社ライボ / 3月20日発表・同社プレスリリースより転載)