職場のパワーハラスメントの現状について
中小企業のパワハラ防止措置義務化から約1年
防止策の実施率は12.4ポイント上昇するも、パワハラ被害率は65.2%の現状
総合転職エージェントの株式会社ワークポート(所在地:東京都品川区、代表取締役社長 CEO:田村高広)は全国のビジネスパーソン508人(20代~40代・男女)を対象に、職場の「パワーハラスメント」の現状についてアンケート調査を実施しました。
■【パワハラの現状】直近で被害を受けた人は65.2%と前回調査からほぼ変化なし 減らないパワハラ問題
2022年4月からパワハラ防止措置の義務化が中小企業にも適用され、まもなく1年を迎えます。職場の防止策は進んでいるのか、どれぐらいの働き手が直近でもパワハラ被害にあっているのかなど、実態を調査し、昨年実施した調査の結果と比較しました。
はじめに、対象者全員に現在の勤務先(または直近の勤務先)で、パワハラを受けたことがあるか聞いたところ、65.2%の人が「受けたことがある」と回答し、前回調査の66.6%から大きな変化は見られませんでした。
■【パワハラの被害例】暴言・侮辱など言葉の攻撃が76.1%と圧倒的多数 続く陰湿なパワハラ
直近の職場でパワハラを受けたことがあると回答した人に、具体的にどんなパワハラを受けたか聞いたところ、「暴言・侮辱(言葉の攻撃)」が76.1%で最も多い結果となりました。次いで、「能力を過小評価する・成果を認めない」が43.2%、「過剰な業務・過酷な業務を強制する」が42.0%でした。上位を占める被害内容は比率も含めて前回調査に近い結果となり、引き続き証拠に残らない陰湿なパワハラが多い傾向が読み取れました。
■【パワハラの対処法】転職・退職が70.1%で1位 職場を頼れない現状変わらず
続いて、パワハラを受けたときにどうしたか聞いたところ、「転職・退職を考えた(転職・退職をした)」が70.1%、次いで「誰にも相談せず我慢した」が36.3%でした。また、「上司に相談」は24.2%、「職場の相談窓口(部署)に相談」は13.6%と、前回と同様で職場に頼れる人が少なく、被害者の多くが泣き寝入りしているという実態が明らかになりました。
■【職場のパワハラ防止策】実施率は47.4%で前回から12.4ポイント上昇 主に窓口設置・社内研修実施
次に、対象者全員に現在の勤務先(または直近の勤務先)で、パワハラ防止に関する取り組みが行われているか聞いたところ、「はい」と回答した人は47.4%で、前回調査と比較すると12.4ポイント上昇していました。
具体的な取り組みの内容を聞いたところ、「相談窓口の設置」が最多の81.7%、次いで「社内研修の実施」が59.3%でした。その他の意見では、「e-learning・アンガーマネジメント」、「トイレにパワハラ/セクハラに関する案内の張り紙設置」といった教育・周知の取り組みや、「加害者側への指導、被害者側へのヒアリング」などパワハラ発覚後の対応も挙がりました。
■【パワハラ防止策の満足度】61.0%が不満 実施率は上昇したが満足度変わらず 大多数が「効果なし」
直近の職場はパワハラ防止に取り組んでいると回答した人に、取り組みにどの程度満足しているか聞いたところ、「まったく満足していない」(26.6%)、「あまり満足していない」(34.4%)が合わせて61.0%でした。この約1年で実施率は12.4ポイント上昇したものの、6割以上がその取り組みに不満を抱えており、状況は改善されていないようでした。
取り組みに満足していない理由を聞いたところ、「理解度調査・事実調査がなく、形骸化しているから」、「形式的に窓口を設置しただけで、機能していないから」(など、取り組みに実効性がないとする意見が大半を占めました。また、「研修を行っている上司がパワハラしていたから」、「通報で不利になる可能性が高いから」といった意見も多く挙がっており、職場の防止策を活用することでかえって状況が悪化するリスクを感じている人も多いことがわかりました。
■【パワハラの改善状況】改善されていないとの意見が34.2% 約1年経っても「変わらない」が半数
最後に、対象者全員に中小企業のパワハラ防止措置義務化でパワハラが改善されたと思うか聞いたところ、「あまり改善されていない」(10.6%)、「まったく改善されていない」(23.6%)が合わせて34.2%となり、「変わらない」が47.2%と約半数を占めました。
前回調査では、パワハラ防止措置の期待度として7割以上が「改善は期待できない」と回答しました。そして今回、「とても改善された」(3.5%)、「やや改善された」(15.0%)とする人は合わせて18.5%と全体の2割以下に留まっており、多くの人の予想にたがわずパワハラ問題の改善が進んでいない現状が読み取れる結果となりました。
パワハラ問題はいまだ根絶には至っておらず、現在も職場でのパワハラに悩む人が多くいることがわかりました。また、防止策の実施率はやや上昇したものの満足度や改善状況には変化がないという結果から、職場のパワハラ対策にはまだ課題が多いことも浮き彫りになりました。企業がこの現状を認識し、より実態に即した対策をとらない限り、職場におけるパワハラの改善は進まないのではないでしょうか。
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(株式会社ワークポート / 3月15日発表・同社プレスリリースより転載)