人材不足の深刻化で企業は従業員の離職・定着を懸念
昇給:企業と会社員の期待値にギャップ
グローバル人材の転職を支援する人材紹介会社のロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社 (本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:ジェレミー・サンプソン)は1月17日、日本を含めた、世界約31ヵ国、数千職種の給与相場を無料検索できるオンラインツール「給与調査2023」の公開しました。それに合わせ、首都圏、関西圏を中心に国内で働く会社員864人と、国内196社が回答を寄せたアンケート調査結果などをもとに、国内の採用・給与動向を発表しました。
【転職】66%が1年以内の転職を視野に入れており、うち半数は転職活動中
66%の会社員が、1年以内に転職を検討していると回答しました。また、そのうちの約半数はすでに新しい転職先を見据え転職活動を始めていることが分かりました。一方、回答企業の76%が、従業員の離職・定着率が懸念事項であると認識しています。
では実際に企業は従業員の定着へ向け、どのような取り組みをしているのでしょうか?企業が従業員の定着率向上対策として行っている施策内容は、1位「ハイブリッド・ワーク制導入」(63%)、2位「トレーニングやスキルアップ支援向上」(62%)、3位「ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み」(44%)でした。
企業は高齢化社会による人材不足の中、離職者数が増えることは企業の存続問題にも関わることから、従業員の定着へ向けた取り組みをさらに強化していく必要があると言えそうです。
【昇給】企業回答と会社員の期待値にギャップ
昇給に対して、企業回答と会社員の期待値に乖離があることが分かりました。調査対象企業のうち、74%が今年中に従業員に対して昇給を行うと回答したのに対し、昇給が期待できると回答した会社員は44%にとどまりました。これは、ポスト・パンデミックの時代に突入しても、従業員が「COVID-19の企業への影響を考慮する」(従業員に「昇給交渉をしない理由」を尋ねたところ19%でトップ)のに対し、現実には、企業が経済状況の改善とともに昇給できる状態にあると考えていることの表れと思われます。また、「昇給よりも雇用の安定性をより重要視しているため」(16%)、「昇給交渉のやり方がわからない」(15%)など、昇給への期待が低い理由も挙げられており、企業と従業員間で、給与に関する期待値に齟齬を生まないようコミュニケーションの改善が必要であることが明らかになりました。
【インフレ】物価上昇に対する昇給・ボーナスアップ
2022年12月に総務省が1981年以降で最も高い消費者物価指数の上昇率を示すデータを発表したことから、会社員は、物価上昇が給与に及ぼす影響を懸念しています。しかし、74%の会社員は、企業側が物価上昇を昇給やボーナスに反映させるとは考えていないようです。これとは対照的に、企業に逆の質問をしたところ、企業の85%が、給与交渉の際に物価の上昇は影響してくると考えています。
ロバート・ウォルターズ・ジャパン代表取締役社長のジェレミー・サンプソンは次のようにコメントしています。「2023年、コロナ禍により生活スタイルがニューノーマルへと変化したこと。そして、81年以来の記録的な物価上昇に伴い、転職を希望するグローバル人材は、企業に対して、給与だけでなく企業の価値観、文化、福利厚生等のEVP(フレックスタイム、充実した仕事など)をより重要視するようになってきています。高齢化社会、人口減少、非正規雇用の増加等により、あらゆる産業における人材不足の影響は、かつていないほど深刻になっています。そのため、よりよい環境を求め、転職を検討する会社員の割合は高くなっています。この状況を打破するために、企業は人材の定着へ向けた施策内容の再評価、昇給・賞与システムの明確化、そして企業文化の訴求に力をいれていく必要があるでしょう。」
調査期間:2022年 10 月~11 月
対象:国内企業、外資系の日本法人 n=196 社、当社に登録のある国内で働く会社員 n=864 人
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社 / 1月17日発表・同社プレスリリースより転載)