転職による幸福度の実態調査
転職後「後悔・失敗したと思ったことがある」59.7% 実態が違ったのは「やりがい」と「成⻑できる環境」〜表層的な条件・うたい⽂句による不幸な転職が明らかに〜
「識学」を使った経営・組織コンサルティングや従業員向け研修を展開する株式会社識学(本社︓東京都品川区、代表取締役社⻑︓安藤広⼤)は、2022年6⽉28⽇(⽕)〜6⽉30⽇(⽊)に転職後の幸福度調査を⾏いました。
調査結果では、転職者の多くが給与アップや会社の将来への不安など、待遇と環境を変えたいと転職した⼀⽅で、転職後に「後悔・失敗したと思ったことがある」が59.7%と、半数以上いることがわかりました。また、転職後に実態が違うと感じたうたい句は「やりがいのある職場」と「成⻑できる環境が整っている」の2つが20%を超えました。
<調査背景>
新型コロナウイルス感染拡⼤による業績の悪化や先⾏きの不安から様々な業界で採⽤活動を停⽌、または縮⼩していましたが、2022年以降は少しずつ採⽤活動の再開が進み、求⼈数が増加し活発化が⾒込まれています。そこで今回、3年以内に転職を経験した20代〜50代の男⼥1,000⼈を対象に、転職活動時に重視しているポイントや転職後に感じた後悔や不満などを調査しました。
<トピックス>
■転職の理由トップ3
1位︓給与を上げたかった 2位︓会社の将来への不安 3位︓会社のビジョン・⽅針が合わない
■「後悔・失敗したと思った」のは59.7%
(理由トップ3)
1位︓給与が思ったより低かった 2位︓組織⾵⼟が合わなかった 3位︓役職・業務内容が異なった
■評価制度の不透明さ、上司のマネジメントに困惑する転職者
■うたい⽂句と実態が違ったのは「やりがいのある仕事」と「成⻑できる環境」
<解決のカギ>定量的で明確な評価制度と機能する組織
<調査結果詳細(一部抜粋)>
77.2%が満足している一方で78.5%が転職後の企業に不満を感じている
過去3年以内に転職をした経験がある20代~50代の男女1,000人に、勤務先の企業に対して満足しているか聞いたところ、「思う」「まぁまぁ思う」と回答したのが全体の77.2%でした。一方で、転職後、勤務先の企業に対して不満を感じたことがあるか聞いたところ、78.5%が「ある」「少しある」と回答していることが判明しました。
59.7%が転職後に「後悔・失敗した」と感じており、評価制度の不透明さや上司のマネジメントが理由に挙がる
59.7%が転職先の企業に入社してから「後悔・失敗した」と思った経験があり、その理由として「給与が思ったより上がらなかったこと」や「組織の風土が合わなかったこと」が挙げられます。具体的な理由としては、評価制度が不透明なことや、上司の頼りなさが理由に挙がっています。
転職サービスを利用した際、うたい文句と実態が違ったのは「やりがいのある仕事」と「成長できる環境」
転職時に多くの方が転職サービス・エージェントサービスを利用する機会があることでしょう。転職サービスを実際に利用した中で、うたい文句と実態が違っていたことは「やりがいのある仕事」、「成長できる環境が整っている」がそれぞれ20%を超えていました。
これらの結果から、やりがいと成長環境がきちんと備わっている企業を見極めることが難しいことが伺えます。数値化できない表面的な条件・うたい文句を基に転職をすることは、もはや“ガチャ”状態と言えるでしょう。
次の転職先選びで重視することは「給与」と「経験やスキルが活かせるか」のほかに、「働きやすい上司」と「職場内での良好な関係」も重視される
次の転職先選びの際に重視することを聞いたところ、「給与が上がるか」「経験やスキルが活かせるか」を重視するほか、「一緒に働きやすい上司がいるか」「職場の人と良好な関係を築くことができそうか」が上位に挙がってきました。転職先の企業に満足できていない20代・30代男女において、「働きやすい上司」と「職場での良好な関係」は特に重視される項目となっています。若手が求める条件として、働くうえでの組織環境がとくに大切です。
<調査結果まとめ>
本調査において、転職することによる給与などの待遇や職場環境への期待に反して、不満や後悔が⼤きく、幸福度は⾼くない結果となりました。
「曖昧な評価制度」と「不必要な恐怖」
まず、転職を検討する理由のトップは「給与」ですが、⽬先の給与ではなく、給与を上げるための仕組みが不透明なことが⼤きな課題の1つです。満⾜度が低く後悔を感じるような会社の多くは給与と連動する評価制度が曖昧であることが分かっています。評価する項⽬が定性的で評価がしにくい、評価する⼈の采配によって左右されるなど、評価制度が曖昧だと、評価を受ける側にとっては⽬標とする⾏動がぼやけてしまい適正な評価を受けにくくなってしまいます。
また、仕事をするうえでの「不必要な恐怖」も転職者の幸福度に⼤きく影響します。不必要な恐怖とは、相談したい⼈が忙しそうにしていて相談しにくい、社内チャットで聞くチャンネルが分からない、特定の⼈に気を使わなければならない等、客観的にみると不必要だが、社内で暗黙のルール化しているような習慣のことを指します。この不必要な恐怖は、リモートワークが主流になりお互いが同じ空間にいないことで察することがより困難になるだけでなく、理解するまでに多くの時間がかかってしまっています。このような「不必要な恐怖」は企業側も認識していないケースも多いため、転職者はルールや⽂化が明⽂化されているかどうかを調べたり、気になっていることとして⾯接時に率直に聞いてみることをお勧めします。
「機能する組織」
企業の多くは事業活動における⽬標と戦略を掲げますが、「機能する組織」であるかどうかも転職者の満⾜度に影響します。社内組織とそれぞれのメンバーの役割が明確になり、その役割を全うしていると、ポジションの認識のずれ=「位置ずれ」が起こることなく組織が機能し円滑に業務を⾏うことができます。しかし、それぞれの役割に求められる業務領域や責任が広かったり不明瞭になってくると「位置ずれ」を起こし、個々がやるべき業務をできていない状態になり不満や後悔につながります。こうした位置ずれをしていない組織を「機能する組織」と定義しています。
“表層的な条件”で選ばざるを得ない転職業界の仕組み
採⽤担当者や⼈材紹介会社の多くは「条件に合致した⼈材の⼊社」が⽬的になり、⼊社後に起こるミスマッチを課題として理解し、対応している企業はまだまだ少ないのが現状です。これは企業側にとってリスクが⼩さい成果報酬型モデルが主流なことで、⽿ざわりの良い⾔葉や可能性レベルの条件(募集要項)によって採⽤をゴールとしてしまい、転職希望者の真の不安や期待に寄り添えていないのが実態です。
【調査概要】
調査名︓転職後の幸福度調査
調査⽅法︓インターネット調査(WEBアンケート)
調査地域︓全国
調査対象︓過去3年以内に転職した経験がある22〜59歳までの会社員
回答総数︓1,000サンプル
調査期間︓2022年6⽉28⽇(⽕)〜6⽉30⽇(⽊)
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社識学/ 9月1発表・同社プレスリリースより転載)