男性育休に関する意識調査 第2弾
男性育休取得での不安1位は、男女ともに「収入」で、職場環境を上回る
管理職は3日以内取得なら8割以上が賛成、4カ月以上取得には半数が反対
転職サービス「doda」などを提供するパーソルキャリア株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:峯尾 太郎、以下パーソルキャリア)は、男性育休に関する意識調査第2弾の結果をまとめましたので、お知らせいたします。第11では、男性の育休取得の意識と実態を明らかにしました。第2弾では、男性に加え、周囲(女性、管理職、同僚)にも焦点を当て、男性育休に対する意識のギャップやそれぞれの考え方を明らかにします。なお本意識調査は、パーソルキャリアが男性社員の育休取得をさらに推し進めていくにあたり、人々の男性育休への考えを理解するために実施しました。
【調査結果サマリー】
①女性(※1)と男性(※2)の意識と実態
◆将来、配偶者(夫)に育休を取得してほしい女性は68.9%に対し、将来育休を取得したい男性は80%で、その差は10ポイント以上
◆男女ともに取得に対して最も不安なことは「収入が減るかもしれない」(女性 48.8%、男性 40.9%)であり、職場環境を上回る
②管理職・同僚と男性のギャップ
◆期間の長さに関わらず、半数以上が取得に賛成の一方、子どものいる男性で取得経験のある人は15.4%で、周囲の「賛成(※3)」の声と男性の育休取得率に隔たりがある
③管理職と同僚のギャップ
◆管理職、同僚ともに、取得期間が長くなるにつれ「賛成できない(※4)」という回答が増えていく。
3日以内の取得には85%以上の管理職が「賛成」の一方で、4カ月以上の取得になると約半数が「反対」と回答
①女性(※1)と男性(※2)の意識と実態
■将来、男性育休の取得希望は女性が68.9%、男性が80.0%で男女で10ポイント以上の差
68.9%の女性が、将来配偶者(夫)に育休を「取得してほしい」と回答(「必ず取得してほしい」と「できれば取得してほしい」の合計)したのに対して、80.0%の男性が将来育休を「取得したい」(「必ず取得したい」と「できれば取得したい」の合計)と回答。男女間で、10ポイント以上の差があることがわかりました。
■男女ともに、男性育休で最も不安なことは「収入が減るかもしれない」
将来の男性育休の取得について心配なことを聞いたところ、男女ともに最も多かったのは「収入が減るかもしれない」で、ともに4割を超えています。
男性育休の推進にあたっては、経済的サポート以上に、国の法改正や企業の制度の見直しなど、環境整備に重きが置かれている傾向にあります。今回の調査から、男性育休の取得にあたって、1番のネックは「収入」であるため、収入面のサポートの必要性が明らかになりました。
②管理職・同僚と男性のギャップ
■管理職・同僚は男性の育休取得に「賛成(※3)」している一方で、男性育休の取得率は低い傾向に
取得期間に関わらず、管理職、同僚ともに男性の育休取得に対して半数以上が賛成していますが、、子どものいる20代~50代の男性(学生を除く)で育休を取得したことがある人は15.4%に留まります。周囲の「賛成」の声に対して、実際に取得している男性が少ない実態が明らかになりました。
■管理職・同僚ともに、取得期間が長くなるにつれ「賛成(※3)」が減っていく
管理職・同僚ともに、取得期間が長くなるにつれ、賛成の割合が減っていき、両者を比較してみると、管理職のほうがその傾向が強いことがわかります。3日以内の取得においては、管理職、同僚ともに85%以上が「賛成」の一方で、4カ月以上の取得になると、管理職は約半数が「反対」と回答。同僚は、約40%が「反対」と回答しています。管理職は実際に、業務の分担や管理をする立場にいるからこそ、同僚以上に男性社員の育休取得を負担に感じていると考えられます。
<解説>
男性育休に関する意識調査の第1弾では、80%の男性が将来育休を取得したいと思っているものの、子どものいる男性で育休を取得した人は15.4%に留まることなどが明らかになりました。第2弾調査では、男女間で将来の男性育休の取得希期間に差があること、大多数の管理職、同僚が男性育休の取得に賛成しており、実態とのギャップが明らかになりました。周囲の賛成の声に反して、実際の取得率が低い傾向にあるのには、2つの可能性が考えられます。
1つ目は、企業の風土改革、働き方改革の遅れが、男性育休を取得しにくい職場環境を作ってしまっている可能性です。男性社員が育休を取得する際の、業務の再検討や再配分などを負担に感じている管理職も存在し、それが取得のしにくさに影響している可能性が考えられます。子どもが生まれた際に育休を取得しなかった男性が、3番目に多く挙げた理由は「当時の業務状況では休暇取得が難しかった」でした。管理職の男性育休への理解の促進を通じ、管理職自らが男性部下に取得を促すことができるような体制作りや業務調整のサポートを、会社全体で取り組んでいく必要が生じています。
2つ目は、収入が減少することへの対策が進んでいないことです。男性育休の取得推進にむけて、国は法改正を行い、企業は制度の見直しや仕組み作りを行うなど、取得しやすい環境づくりへの対策が進んでいます。しかし本調査からは、職場の環境面以上に「収入」をネックに感じている人が多くいることがわかりました。実際に、「生活費や住宅ローンの支払いなど金銭面のことを考え、育休取得は諦めざるを得なかった」という男性の声が多く聞かれます。環境の整備に加え、経済的に安心して育休が取れる環境を整えることも、世の中から求められているようです
本調査から明らかになったように、現在、育休を取得する男性はまだまだ少数です。国や会社の制度や仕組みといった対策は進みつつありますが、男性育休への意識と取得の実態の差は大きいと言わざる負えません。これまでの組織構造や人材育成、さらには業務の在り方を見直す絶好の機会と捉え、性別に関係なく社員が育休を取得しやすい雰囲気を作り、出産・育児の後でも安心して仕事を続けられる環境を会社全体で整えていく。そうした取り組みや姿勢を推し進めることが、結果的に社員の働く意欲や満足度の向上へと繋がり、他社との差別化も図れるのではないでしょうか。
※1:現在妊娠中、または将来子どもがほしいと回答した学生以外の20代~50代女性
※2:配偶者が現在妊娠中、または将来子どもがほしいと回答した学生以外の20-50代男性
※3:「業務は調整したり、他のメンバー/自分を含めた他のメンバーで負担したりするので、積極的に取得すべきである」と「業務の調整や他のメンバー/自分の負担について気になるものの、どちらかというと取得には賛成である」と回答した人の%の合計
※4:「業務の調整や他のメンバーの負担を考えると、/自分に負担がかかるのであれば、あまり取得には賛成できない」と「業務上の調整が必要になったり、他のメンバーに負担をかけてまで、取得すべきではない」と回答した人の%の合計
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルキャリア株式会社 / 1月18日発表・同社プレスリリースより転載)