2021年3月卒「新規学卒者決定初任給調査結果」の概要
一般社団法人 日本経済団体連合会は11月17日、『2021年3月卒「新規学卒者決定初任給調査結果」』を発表しました。
Ⅰ.調査の基本事項
調査目的:新規学卒者の初任給の実態と動向を把握し、今後の初任給対策の参考とするために 1952 年より毎年実施(東京経営者協会との共同調査)
調査対象:経団連企業会員および東京経営者協会会員企業 2,059 社
調査時期:2021 年6月 30 日~8月 31 日
回答状況:集計企業数 473 社(有効回答率 22.9%)
(製造業 49.0%、非製造業 51.0%、従業員 500 人以上 73.2%)
Ⅱ.調査結果の概要
1. 初任給決定にあたって最も考慮した判断要因
「世間相場」(27.9%)が最も多く、これに「在籍者とのバランスや新卒者の職務価
値」(22.9%)が続いている傾向に変わりはない。
一方、「人材を確保する観点」(14.4%)と「賃金交渉の結果による配分」(9.8%)
は2年連続で減少し、「企業業績を勘案」(8.9%)が 2019 年(4.3%)から倍増する
などの変化もみられる。
2. 初任給の決定状況
「前年の初任給から引き上げた」と回答した企業は 29.9%(前年比 12.7 ポイント
減)となり、3年連続で低下したものの、約3割に上っている。
初任給を「引き上げた」企業の内訳をみると、「求人賃金として前年の初任給を示
したが、賃金改定後引き上げた」との回答(77.9%)が最も多く、「求人賃金として
前年の初任給より高いものを示した」が 22.1%、「求人賃金として前年の初任給より
高いものを示し、賃金改定後さらに引き上げた」との回答はなかった。
3. 初任給水準と引上げ率
学歴別の初任給の引上げ額は、大学卒・技術系 1,117 円(前年比 68 円減)が最も
高く、次いで、高校・技術系 1,106 円(同 294 円減)、短大卒・技術系 1,074 円(同
173 円減)の順となっている。
引上げ率は 0.34%(大学院卒事務系)~0.64%(高校卒技術系)となり、全学歴、
事務系・技術系・現業系とも、前年(0.55%~0.83%)より低下した。
初任給の推移をみると、2014 年~2019 年は業績の回復・拡大によって増加傾向に
あったが、2020 年から減少に転じている。2021 年調査では、対前年引上げ率が、8
年ぶりにすべての学歴で 0.5%を下回る水準となった。
4.学歴別・規模別の初任給
「3,000 人以上」規模の初任給額を 100 としてみると、学歴別では、短大卒(事務
系)においてすべての規模で 100 を上回っている。
規模別にみると、総じて規模が小さくなるほど水準も下がっているが、「100 人~
299 人」では逆転している個所が多く見られる。
5.産業別の初任給
全産業平均(219,402 円)を 100 とすると、製造業では 10 産業のうち3産業(「化
学・ゴム」(103.8)、「石油・石炭製品」(109.3)、「新聞・出版・印刷」(105.0))で 100を超えている。
一方、非製造業では7産業のうち4つの産業(「鉱業」(100.2)、「土木建設業」(103.9)、「卸売・小売業」(101.5)、「サービス業」(101.5))で 100 を上回っており、非製造業の方が製造業より総じて高くなっている。
◆本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(一般社団法人 日本経済団体連合会/11月17日発表・同法人プレスリリースより転載)