勤務先として魅力ある企業を世界共通基準で測る「エンプロイヤーブランド・リサーチ」の最新版を発表
~雇用主のコロナ禍対応が長期的な人材の定着やエンゲージメントに影響を及ぼし、雇用の安定とワークライフバランスは報酬と同じくらい重要という結果に~
ランスタッドの日本法人で総合人材サービスを展開するランスタッド株式会社(本社:東京都千代田区、CEO 兼 代表取締役会長 ポール・デュプイ)は、勤務先として魅力ある企業を世界共通基準で測る「エンプロイヤーブランド・リサーチ」の最新調査結果を発表しました。日本全国5,695名からの回答の結果、2021年全体の転職者は減りましたが、コロナにより会社の業績が悪化したと答えた回答者の転職意向が、影響を受けない人よりも大幅に高まるという結果となりました。
この1年間で労働世界は大きく変化し、労働年齢に達している成人(以下、成人労働者)の過半数が、雇用主を選ぶ際に、仕事の安定性やワークライフバランスを報酬とほぼ同じくらい重要視するようになりました。これはランスタッド・エンプロイヤーブランド・リサーチの最新版で得られた重要な調査結果の一つです。
今年の第1四半期に行われた本調査は、世界の成人労働者に対して行われる最も包括的なエンプロイヤーブランド・リサーチであり、34か国で約19万人の所感を調査しています。全体としては、企業のコロナ禍対応によりエンプロイヤーブランド(企業魅力度)が改善されるかたちとなり、68%の人が雇用主に対してよりエンゲージメントを強め、わずか6%の人がこれまでのエンゲージメントが削がれたと感じているという結果になりました。また、この調査は世界の労働人口にとって雇用の安定が重要であることを示しており、調査対象者の4分の1が2021年に職を失うのではないかと不安視していることが分かりました。
雇用主の経営状況は、成人労働者とのエンゲージメントに直接的な影響を与え、魅力的な業界の雇用主の特徴として最もよく挙げられるものです。また、コロナ禍で影響を受けた職種に就いている成人労働者は、影響を受けていない人に比べて新しい職を探す傾向が2倍以上であると言います。
主な調査結果は以下の通りです:
- ワークライフバランス(58%)と雇用の安定(56%)が魅力的な給与と福利厚生(62%)とほぼ同じくらい重要である。
- コロナ禍の企業対応により、回答者の68%が、雇用主に対しこれまでよりもエンゲージメントを感じるようになり、6%がエンゲージメントを削がれたと感じている。
- コロナ禍で世界の労働人口の40%が雇用状況の変化による影響を受けた。
- 成人労働者の26%が2021年に職を失うかもしれないと不安視している。
- コロナ禍で真っ先に影響を受けた職に就いていた成人労働者は、影響を受けていない人よりも転職する傾向が2倍以上である。
ランスタッドのCEO兼会長であるジャック・ファン・デン・ブルック(Jacques van den Broek)は次のようにコメントしています。
「この1年半で労働世界は大きく変化しましたが、人材登用の基本は同じであることが最新の我々の調査で分かっています。スキルギャップに直面している企業は、世界中の19万人以上の成人労働者の声から我々が得た知見を最大限利用していただくことができます。こうした企業は、お探しの人材が求めている財政的、非財政的な要求を優先させることで、人材獲得の新しい戦いに勝つための入念な準備ができるようになります。」
■モチベーションとなるものの変化 - 上位には、雇用の安定性、ビジネスレジリエンス(回復力)、ワークライフバランス
魅力的な給与と福利厚生は世界のどの地域でも人材を惹きつけるもっとも重要な要因となっていますが、成人労働者は、金銭面以外の要因にも雇用主を選ぶ際に重要な要素となるものがあると述べています。コロナ禍により、仕事時間と家庭時間の境界線が曖昧になり、調査対象者のうち58%が重要な要素に適切なワークライフバランスを挙げ、56%が雇用の安定性を挙げました。
人材を惹きつける上位3つの要因は昨年から変わっていませんが、今年のデータには地域差があることが分かりました。例えば、南米では出世は魅力的な給与や福利厚生よりもずっと上位に位置しています- 金銭的報酬が最上位のモチベーションにならない唯一の地域です。北米とAPACでは、2位にはワークライフバランス(それぞれ60%、54%)が位置していますが、CIS地域では雇用主の経営状況がとても重要視されています(77%)。ヨーロッパでは働きやすい雰囲気が2番目に重要な要因に位置し(64%)、南米では2位には給与と福利厚生が位置しています(69%)。
■雇用主のコロナ禍対応が人材のエンゲージメントや定着に強力な影響をもたらす
コロナ禍において企業がどう従業員をサポートし、どう対処したのかが従業員のエンゲージメントやエンプロイヤーブランドの強さに影響しています。3分の2以上の回答者が雇用主のサポートにより会社に対するエンゲージメントが増したと答えています。調査回答者の68%が雇用主に対するエンゲージメントが増したと答えたのとは対照的に6%の人はエンゲージメントが下がったと回答しています。
北米、南米、APACの回答者は雇用主に対してこれまででもっともエンゲージメントが高まったと回答していますが(平均72%)、これとは対照的に、CIS地域では雇用主に対して大幅にエンゲージメントが下がったと回答しています(20%)。
しかしながら、全世界の回答者の40%がコロナ禍による雇用状況の変化の影響を受けており、実際に影響を受けた人は、この経験がキャリア選択に大きな影響を与えたと述べています。また、経済的低迷の煽りを受けた労働者は、そうでない人に対し、次の6か月間で新たな職を探す可能性が2倍以上高くなっています。
■ITと通信はもっとも魅力的な業界という地位を確立。しかし大きく順位を伸ばしたのは農業
コロナ禍は労働世界に多くの不確実性をもたらしましたが、一つ明確になったことはデジタル化が加速したことです。企業、労働者、消費者が、働き方や生活様式に画期的な方法をフルに取り入れたことにより、ツールやアプリの需要は急速に拡大しました。これにより、裏を返すと、ITと通信業界が世界中でもっとも魅力的な業界であるという地位を維持することができました(回答者の57%がそう答えています。 )
2020年の調査でも、IT・通信業界は最も魅力的なセクターとして選ばれていましたが、今年は技術的な要素の少ない業界が魅力度において飛躍しました。昨年5位だった農業が2位に大躍進しています。自動車産業は前年からの3位を維持しています。
農業は働くには魅力的な業界であると回答する一方で、その他ほとんどの業界の仕事と比べた場合、自己評価としてこの業界で働けるだけのスキルがあると答えた回答者はより少数でした。トレーニングや再教育を行うことにより農業で働けるだけの能力を労働者に身につけてもらうことが今後強固な人材プールを築く方法の一つかもしれません。
■ ランスタッド・エンプロイヤーブランド・リサーチとは
「勤務先としていま最も魅力のある企業」を第三者機関であるKantar(本社イギリス)に委託する調査によって選定しています。2000年にベルギーで初めて発表して以来、世界共通基準のもと各国で毎年実施され、「エンプロイヤーブランド(企業魅力度)」を測る世界最大級の調査として高く評価されています。日本では2012年から開始し、今回で10回目の実施です。
今回の日本の調査では、18歳から65歳までの男女5,695名に対し、調査対象の212社について「社名を知っているかどうか」と「その企業で働きたいかどうか」を問い、企業毎の評価を明らかにしました。
また、勤務先選択の際に重視する指標についての調査も実施しました。同様の調査は、世界34の国と地域で行われ、各国にて順次結果発表が行われています。
<国内調査実施概要>
調査対象: 18歳から65歳までの日本人男女5,695名
調査期間: 2021年1月~2月
調査方法: インターネットによるWebアンケート形式。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(ランスタッド株式会社/7月6日発表・同社プレスリリースより転載)