人手不足に対する企業の動向調査(2020年1月)
2019年の人手不足倒産は前年比20.9%増の185件となり、4年連続で過去最高を更新するなど、人手不足が企業活動に与える影響は鮮明になっている(帝国データバンク「人手不足倒産」の動向調査(2019年1~12月)」)。また、2020年4月からは働き方改革関連法が本格的に中小企業にも適用されるため、長時間労働の是正がより一層求められている。そのため、企業は生産性の向上による業務の効率化などが急務となっている。
そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年1月調査とともに行った。
■調査期間は2020年1月20日~31日、調査対象は全国2万3,665社で、有効回答企業数は1万405社(回答率44.0%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2020年1月の結果をもとに取りまとめた
■本調査の詳細なデータは景気動向オンラインに掲載している
<調査結果>
- 正社員が不足している企業は49.5%(前年同月比3.5ポイント減)となった。1年前より減少したものの、半数近い企業で人手不足を感じている。業種別では「放送」(76.9%)が最も高く、「情報サービス」(74.6%)も7割を超え高水準となった。以下、「建設」「運輸・倉庫」「自動車・同部品小売」「医療・福祉・保健衛生」など8業種が6割台となり、上位10業種がすべて6割以上となった。規模別では「大企業」は60.2%、「中小企業」は46.9%、「小規模企業」は42.7%となり、すべての規模で1年前から減少した
- 非正社員では、企業の29.2%で人手が不足していた(前年同月比5.2ポイント減)。業種別では「飲食店」の76.9%(同7.2ポイント減)が最も高い。また、「各種商品小売」「旅館・ホテル」が6割台で続く。規模別では、「大企業」は同6.0ポイント減の32.1%と大きく減少し、「中小企業」「小規模企業」も減少した
- 人手不足の回答別に2020年度の正社員における賃金改善の具体的内容を分析したところ、「不足計」においてベースアップを実施する見込みの企業は50.9%、賞与(一時金)では31.1%となり、「適正」や「過剰計」を上回っている。人手不足を感じている企業ほど、賃金改善に積極的な傾向がみられた
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(株式会社帝国データバンク /2月21日発表・同社プレスリリースより転載)