ほとんどの課長がプレイングマネジャーとして業務を遂行、うち約6割が「プレイヤーとしての活動がマネジメント業務に支障がある」~『第5回上場企業の課長に関する実態調査報告書』:産業能率大学総合研究所
学校法人産業能率大学総合研究所は、従業員数100人以上の上場企業に勤務し部下を1人以上持つ課長を対象に、職場の状況や課長自身の意識などに関するアンケートを実施し「第5回上場企業の課長に関する実態調査」として報告書にまとめました。調査は2019年3月20日から27日までの8日間、調査会社を通じてインターネットリサーチで実施し、714人(男性693人、女性21人)から回答を得ました。
「働き方改革」の中心を担う課長は、職場全体の労働時間の削減や休暇の取得促進だけでなく、職場運営の方向性を明確に示すことや、長期的なキャリアを見据えた部下育成などについても組織から大きな期待がかけられています。しかしながら、「十分な権限を与えられているとは思わない」という認識を持つ課長が約4割に上ります。
また、ほとんどの課長がプレイングマネジャーとして業務を遂行しており、そのうちの約6割が「プレイヤーとしての活動がマネジメント業務に支障がある」と回答するなど、課長を取り巻く状況には厳しいものがあります。
一方、部下の業務遂行における課題について複数回答で尋ねたところ、「報・連・相が不十分である」がトップ、僅差で「仕事の優先順位をつけられない」「PDCAが回せていない」と続きます。そうした中での部下育成の取り組み状況については、「部下が担当する業務の指導」や「部下の成長を考えた仕事の割り振り」のような現在の業務に直接結びつけた部下育成はできているものの、「ジョブローテーション」や「能力開発機会の提供」など業務に直接結びつかない取り組みはできていない状況となっています。
<注目データ>
■最も多く時間を割いている業務は「部下とのコミュニケーション」
課長として最も多く時間を割いている業務を尋ねたところ、1位は「部下とのコミュニケーション」、2位は「資料作成」となりました。「部下とのコミュニケーション」と「上司とのコミュニケーション」には30ポイント近い差があります。
■十分な権限を与えられていると思わない ⇒ 40%
マネジャーとして期待に応えるために十分な権限を与えられていると思うか尋ねたところ、「思わない」と「どちらかと言えば思わない」の合計は37.4%となり、ほぼ4割の課長は十分な権限を与えられていないと思っていることがわかりました。
■98.5%がプレイングマネジャー
現在の仕事におけるプレイヤーとしての割合を、「0%(なし)」から10%刻みで尋ねました。その結果、プレイヤーとしての割合が全くないのはわずか1.5%で、98.5%の課長がプレイヤーとマネジャーを兼務しています。加重平均を算出したところ、49.1%となり、課長の業務のほぼ半分がプレイヤーとしての仕事になっています。
こうした状況の中、プレイヤーとしての役割を持つ課長に「プレイヤーとして活動がどの程度マネジメント業務に支障があるか」を尋ねたろころ、“支障がある”とする回答が59.0%(「とても支障がある」14.5%+「どちらかといえば支障がある」44.5%)となりました。
■部下の課題は「報・連・相が不十分」がトップ
部下の業務遂行における課題について複数回答で尋ねたところ、「「報・連・相」が不十分である」がトップ、僅差で「仕事の優先順位をつけられない」「PDCAが回せていない」と続きました。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(学校法人産業能率大学 総合研究所 https://www.hj.sanno.ac.jp/ /9月4日発表・同社プレスリリースより転載)