2019年度の国内データ分析関連人材規模は63,400人の見込、2022年度には116,000人に達すると予測~『データ分析関連人材規模に関する調査』:矢野経済研究所
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、データ分析関連人材規模を調査し、現況やデータ分析関連人材職種別の動向、および将来展望を明らかにした。
1.市場概況
各種センサーやスマートデバイス等の普及により膨大なデータを収集できる環境にあるなか、収集したデータを整理・分析することで、これまでにない知見を含めた課題解決方法への期待が高まっている。現下、データ分析関連人材が注目されており、なかでもデータサイエンティストは最も重用される人材ともいわれる。
こうしたなか、データ分析関連人材を取り巻く環境整備が進んでいる。制度面では、営業秘密などの産業データやパーソナルデータの保護・活用に向けた法環境が整ってきている。また、教育面においては、人材の輩出に向けて大学の教育改革や小中高において新たな教育指針を打ち出すなど、短期・中長期的な教育環境の変革が進みつつある。
企業の動向については、現在、早急にデータ分析関連人材の体制を構築すべく、中途採用の動きも活発化しているものの、当該人材そのものは全般的に不足している。そのため社内のシステムエンジニアや理系人材を中心に、リカレント教育を通じて人材育成する動きが活発化している。
また、その希少性から年収が高騰し、人材獲得が難しいとされるデータサイエンティストを中心に、IT事業者やユーザー企業を問わず、新卒採用に向けた動きも出始めている。
2.注目トピック
データ分析関連人材の育成に向けて積極的に研修を実施
IT事業者や分析専業事業者は、社内向け研修としてデータ分析などに向くプログラミング言語である「Python(パイソン)」研修をはじめとした、さまざまな研修の整備を進めている。また、分析専業事業者を中心に社外向け(ユーザー企業向け)研修サービスも提供している。事業者によっては地方でのデータサイエンティストの育成に力を入れており、地方で育成した人材を地元の中小企業の支援につなげるなど、地方創生を基軸にした体制構築に向けた動きも始まっている。
一方、製造業や小売業をはじめとしたユーザー企業は、「データサイエンティストの育成」と「全社的なデータ分析に基づく意思決定の浸透」という目的別の研修を従業員に提供する傾向にある。前者は独自研修や分析専業事業者の提供する研修などを活用し、Pythonの研修やモデリング研修などを行うものであり、後者はデータに基づく意思決定を全社に浸透させるべく、主に業務の知見を持った現場社員に対して簡単なデータ分析などの独自研修を実施するものである。
3.将来展望
2022年度の国内データ関連人材規模(人数ベース)は116,000人に達すると予測する。
データ関連人材の職種別(分析コンサルタント/データサイエンティスト/分析アーキテクト/プロジェクトマネージャー)においては、AI やIoTなど分野を問わず、データ分析案件が増えており、いずれの職種も伸びていくと考える。
現在、データモデルの構築などを含めて、データの分析自体に価値を見出す傾向にあるものの、徐々にデータの活用戦略の策定段階(フェーズ)に重要性が増すものと考えられることから、今後は分析コンサルタントの需要が高まっていくとみる。
■調査要綱
1.調査期間:2019年4月~6月
2.調査対象:国内におけるIT事業者、分析専業事業者およびユーザー企業等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
<データ分析関連人材規模とは>
本調査におけるデータ分析関連人材とは、データ分析プロジェクトに携わるチームを構成する、①分析コンサルタント(分析案件におけるデータ活用戦略などの策定に関与)、②データサイエンティスト(データ収集やプログラミング言語を用いた分析に基づくモデルの開発などに関与)、③分析アーキテクト(データサイエンティストが開発したモデルをシステムに実装するフェーズに関与)、④プロジェクトマネージャー(データ分析案件の統轄)という4 人材を対象とし、その合計を人数ベースで算出している。
<市場に含まれる商品・サービス>
①分析コンサルタント、②データサイエンティスト、③分析アーキテクト、④プロジェクトマネージャー
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(株式会社矢野経済研究所 https://www.yano.co.jp/ /7月25日発表・同社プレスリリースより転載)