半数弱の企業がテレビ会議を導入。テレビ会議の効果「移動時間の短縮・効率化」~『イノベーションへの対応状況調査』(企業調査)『イノベーションへの対応に向けた働き方のあり方等に関する調査』(労働者調査):JILPT
労働政策研究・研修機構(JILPT)では、「イノベーションへの対応状況調査」(企業調査)「イノベーションへの対応に向けた働き方のあり方等に関する調査」(労働者調査)を実施しました。このほど、調査結果がまとまりましたので公表いたします。
●企業:半数弱の企業がテレビ会議を導入。テレビ会議の効果で、「移動時間の短縮・効率化」「移動交通費の減少」「出張数の減少」が上位
●労働者:職場のAI(人工知能)導入により、「仕事のほとんどが代替可能だと思う」は、5.4%と少数。「一部代替が可能だと思う」が6割、「代替はほとんどない」も3割
<調査結果のポイント>
1.テレワークの状況<企業調査:テレワークの効果で、「従業員の移動時間の短縮・効率化」「定型的業務の効率・生産性の向上」「仕事と育児・介護など家庭生活の両立支援」が上位>
・企業調査では、テレワークについて、テレワーク実施企業(「会社の就業規則に記載があるなど会社の制度として認めている」(4.5%)、「会社の制度はないが、上司の裁量や習慣として実施している 」(7.7%)の合計)は12.2%となっている。 テレワーク実施企業が認めているテレワークの種類(複数回答)は、「在宅勤務(SOHO含む)」が52.0%、「モバイルワーク」が57.6%などとなっている。
・企業調査において、「テレワークを実施した効果」(複数回答)としては、「従業員の移動時間の短縮・効率化」が50.3%ともっとも多く、次いで、「定型的業務の効率・生産性の向上」(46.1% )、「仕事と育児・介護など家庭生活の両立支援」(30.6%)などとなっている。
2.テレビ会議の状況<企業調査:テレビ会議の効果、「移動時間の短縮・効率化」「移動交通費の減少」「出張数の減少」が上位 >
・企業調査では、テレビ会議(WEB会議や音声会議等を含む)の導入状況は、「導入している」が46.8%となっており、半数弱の企業で導入がなされている。
・テレビ会議の利用の用途は、「本社・支店・営業所等間の会議」「定例会議や個別テーマでの会議」「従業員同士の打ち合わせ」が上位にきており、労働者調査でも同様の傾向がみられる。
・企業調査での「テレビ会議を実施した効果」(複数回答)としては、「移動時間の短縮・効率化」が82.3%ともっとも多く、次いで、「移動交通費の減少」「出張数の減少」「業務の効率・生産性の向上」「会議・打ち合わせ時間の短縮・効率化」などとなっている。
3.AI(人工知能)の状況<労働者調査:職場のAI導入により、「仕事のほとんどが代替可能だと思う」は、5.4%と少数。「一部代替が可能だと思う」が6割、「代替はほとんどない」も3割>
・企業調査において、職場でのAI(人工知能)導入状況では、AIが「すでに導入済み」とする企業が0.8%、「現在、導入を検討中」が3.8%、「現時点で導入予定なし」が94.9%となっている。「導入・導入検討中」計(「すでに導入済み」「現在、導入を検討中」の合計)は4.6%である。
・労働者調査において、AI(人工知能)の知識・スキルを習得するための対応・準備状況では、「すでに対応・準備をしている」が1.7%、「対応・準備をしたい」が28.1%、「特段に何もしない」が68.2%となっている。
・職場に導入(検討)されているAIの役割・機能(複数回答)は、企業調査・労働者調査いずれも、「既存の業務効率・生産性を高める役割・機能」「既存の労働力を省力化する役割・機能」「既存の業務の提供する価値(品質や顧客満足度など)を高める役割・機能」などが上位にきている。
・企業調査において、AI導入による従業員数の変化について、正社員数と非正社員数の増減を比較すると、正社員数に比べ非正社員数のほうが「減少・計」(「減少する」「やや減少する」の合計)の割合が高い。正社員のうち管理職、技術職、営業職・事務職の従業員数の増減の変化について、職種ごとにみると、「減少・計」の割合は、「営業職・事務職」がもっとも割合が高く、次いで、「技術職」「管理職」の順となっている。
・労働者調査において、AIによる業務の代替に対する認識については、「仕事のほとんどが代替可能だと思う」は、5.4%と少数である一方、「一部代替が可能だと思う」が61.7%あり、「代替はほとんどない」は30.5%となっている。「代替あり・計」(「仕事のほとんどが代替可能だと思う」「一部代替が可能だと思う」の合計)を職種別にみると、「事務職」の割合がもっとも高い。
・AIの活用が一般化する時代に従業員に求める能力(複数回答)については、企業調査・労働者調査 いずれも、「コミュニケーション能力やコーチングなどの対人関係能力」「チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質」「企画発想力や創造性」が上位にきている。
4.副業 の状況<企業調査 :副業禁止が8割。禁止理由は「業務に専念してもらいたい」「疲労による業務効率の低下防止」が上位>
・企業調査では、従業員の副業について、「禁止している」が83.4%と8割強を占め、次いで、「容認している」が16.1%、「推進している」は0.1%となっている。
・企業調査において、従業員の副業の「推進・容認企業・計」(「推進している」「容認している」の合計)について、副業の推進・容認理由(複数回答)は、「特に理由はない」が24.3%でもっとも多く、次いで、「賃金低下の補助」「優秀な人材の確保・定着のため」などとなっている。
・従業員の副業を「禁止している」企業の禁止理由(複数回答)は、「業務に専念してもらいたい」が81.9%ともっとも多く、次いで、「疲労による業務効率の低下防止」「業務上の秘密保持」「企業秩序を乱すから」などとなっている。
◆ 本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(独立行政法人労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/ /7月10日発表・同機構プレスリリースより転載)