IT部門以外のIT人材育成の必要性認識が高まる。半数以上が、業務部門においても「新たなデジタル技術の教育が必要」と回答~国内企業のIT人材に関する分析結果を発表:IDC Japan
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1-13-5、代表取締役社長:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、国内企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)実現に向けた人材の状況や課題に関する調査結果を発表しました。これによるとIDCでは、DXの実現にはIT部門だけでなく、事業部門、間接部門など業務部門(非IT部門)におけるデジタル技術知識/スキルの習得が重要度を増していると分析しています。
DXとはデジタル技術、データを活用してビジネスの変革を行うことであり、IT部門と業務部門の協業に基づく全社的な取り組みが必須となります。その場合、IT部門が自社ビジネスを理解したり、変革方法を学んだりすると同時に、業務部門がデジタル技術をどのように自らの業務変革に結び付けるかの知識も必要となります。
●国内企業においては、IT部門、業務部門(非IT部門)ともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の本格化にあたって、業務部門のデジタル技術教育の必要性を認識
●一方、IT部門では、既存のシステム担当者とDX担当者との間でモチベーションの二極化も見られる
●ITベンダー、システムインテグレーターは、顧客企業のIT部門、業務部門双方に対してIT教育のサービスを実施し、企業のDX化を人材育成の側面から支援すべき
IDCでは、今回正社員数300人以上の国内企業のIT部門マネージャー、および非IT部門マネージャーの計434人に、DXに向けた社内IT人材の状況や課題などについてのアンケート調査と、5名に対して直接取材を行いました。これによると、IT部門においては71.0%、業務部門においても51.0%の回答者が、業務部門においても「新たなデジタル技術の概要教育が必要」または「新たなデジタル技術を、業務部門で導入できる程度まで教育が必要」と回答しており、いずれも回答者の半数を上回りました。業務部門におけるデジタル技術、新たなIT教育の必要性が企業全体で感じられていることがわかりましたが、さらに両部門とも「概要教育が必要」と回答した割合(IT部門で32.1%、業務部門で21.0%)よりも「業務部門側で導入できる程度まで教育が必要」とした割合が高かった(IT部門で38.9%、業務部門で30.0%)ことは興味深い結果です。今後ますます業務部門のDX関与が強まっていくことを示唆しています。
一方、IT部門の中には「IT部門人材が既存システムの開発、運用で多忙なため、新しいことを行う時間がない」ことを、課題に挙げた回答者も多く存在します。IT部門マネージャーを対象に行った取材においては、社内のIT部門で「既存システムを担当する人材」と「DXプロジェクトに関わる人材」の間で、モチベーションの二極化が進んでいるといった回答が見られました。DXを成功に導くためには、既存システムを担当しているIT部門人材の再活性化も必要となるとIDCではみています。
今後DXが企業内で本格的に進められていく中で、ビジネスを理解したIT部門と、ITを理解した業務部門との協業が組織の成功の鍵になるとIDCではみています。IDC Japan リサーチ第3ユニット グループディレクターの寄藤 幸治は「顧客企業のDX実現のために、ベンダー、SIerは人材育成の面からも支援するべきである。そのためには、IT部門における新たなデジタル技術へのスキル転換、業務部門におけるDX教育プログラムの提供を行っていく必要がある」と述べています。
今回の発表はIDCが発行したレポート「2017年 国内企業における人材育成の現状:デジタルトランスフォーメーションを支える社内IT人材」(JPJ41776917)にその詳細が報告されています。本レポートでは、DX時代における企業の社内IT人材の課題や方向性について分析しています。
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(IDC Japan 株式会社 http://www.idcjapan.co.jp/ /6月28日発表・同社プレスリリースより転載)