現状で残業時間上限を超えている企業は13%。うち、規制をすべてクリアできる見通しがない企業が46.2%~『中小企業における残業時間上限規制について』:大阪シティ信用金庫
大阪シティ信用金庫は「中小企業における残業時間上限規制について」の調査結果を発表しました。
政府が進める働き方改革の柱と位置付けられる残業時間の上限規制は、基本的に月 45時間、年 360時間とされるが、実質的に重要となる、一時的な業務量の増加がやむを得ない特定の場合(繁忙期)の上限について、骨子となる4項目が固まった(巻末参照)。しかし、「1ヵ月上限 100時間」などの内容に対し、それぞれの立場から異論が出ている。それでは中小企業の残業の現状や上限規制をクリアする見通しなどはどうか、アンケート調査で探ってみた。
<調査結果>
1.残業時間の現状
-「長時間の残業が発生している」が 4割超
はじめに、自社の時間外労働の現状はどうか、すべての企業に聞いた結果が第1表である。
全体として見ると、「(1)短時間の残業が発生している」と答えた企業が39.6%あった。また、「(2)
長時間の残業が発生している」と答えた企業は43.0%と 4割を超え、そのうち「長時間の残業が
恒常的に生じている」と答えた企業が 6.1%(全企業に対する割合)あった。一方、「(3)残業は基
本的にない」と答えた企業が17.4%あった。
業種別に見ると、「(2)長時間の残業が発生」は建設業が 59.5%で最も多いほか、運輸業も59.0%と多い。
2.上限規制項目の超過状況
-上限を一つでも超えている企業は13.0%
次に、今回固まった繁忙期などにおける上限規制4項目それぞれの制限について、現状で超えている項目があるか聞いた結果が第2表である。
全体では、「(1)月45時間超は年6ヵ月以内」の上限規制を8.2%の企業が超過している。また、「(2)年間720時間以内」の規制については5.9%が超過している。このほか、「(3)2~6ヵ月間のいずれの平均も 80時間以内」については4.5%が超過、「(4)1ヵ月 100時間未満」は3.6%が超過という結果である。
また、上限規制 4項目の制限について、1つでも「超えている」と答えた企業は13.0%(169社)で、このうちとくに運輸業が22.9%と多い。
3.上限規制クリアの見通し
-「クリアできない」が46.2%
前項で、現状において上限規制 4項目の制限について、一つでも超えていると答えた企業(169社、13.0%)に対し、規制をすべてクリアできる見通しについて聞いた結果が第3表である。
全体として見ると、「(1)クリアできる」と答えた企業はわずか5.9%だった。また、「(2)難しいが努
力すれば何とかクリアできると思う」と答えた企業が 47.9%だった。これに対し、「(3)クリアできな
い」と答えた企業が46.2%あった。
4.残業が発生する主な原因
-「仕事量に波がある」が47.8%
最後に、前項1.で短時間ないし長時間の残業が発生していると答えた企業(1,075社、82.6%)に対し、残業が生じる主な原因はどこにあると思うか聞いた結果が第4表である。
全体として見ると、「(1)仕事量に波があること」と答えた企業が47.8%で最も多い。また、「(2)人手不足」と答えた企業が32.9%あった。一方、「(3)仕事のやり方、効率に問題がある」とする企業は18.8%だった。「仕事量の波」はどんな企業でもあろうが、とくに下請け体質が主な中小企業で顕著に見られる特性といえる。
業種別に見ると、「(2)人手不足」と答えた企業は運輸業では50.0%と多い。
<調査概要>
■ 調査時点:2017年 4月上旬(3~7日)
■ 依頼先数 : 1,400社
■ 調査対象:大阪シティ信用金庫取引先企業 有効回答数 : 1,302社
(大阪府内) 有効回答率 : 93.0 %
■ 調査方法:聞き取り法
◆本リリースの詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(大阪シティ信用金庫 http://www.osaka-city-shinkin.co.jp//4月26日発表・同社プレスリリースより転載)