インターバル規制導入が努力義務に 休息時間の長さはどうする?
政府が残業時間の上限規制を設けるにあたっての労使合意案で、退社から翌日の出社までに一定時間の休息を設ける「インターバル規制」導入が努力義務として課されることが分かった。働き方改革の一環として、今後は導入企業への補助金の給付も検討し、制度の普及を目指す方針。
すでにインターバル規制導入が進むEU加盟国では、1993年に制定されたEU労働時間指令によって24時間につき連続11時間以上の休息が義務付けられている。日本でも、2012年からインターバル規制を導入しているKDDIをはじめ、昨年から今年にかけて三井住友信託銀行やユニ・チャームが導入を開始。今後はニトリホールディングスやヤマト運輸、ゼンショーホールディングスなどが導入を予定している。
制度導入にあたり、議題の一つとなるのが休息時間の長さだ。朝9時を始業時間としている企業がEUの基準と同じ11時間の休息を義務化した場合、22時以降に残業をした社員は定時に出社することができない。反対に、休息時間を短くしすぎれば、インターバル規制導入の効果が薄れてしまう。
KDDIでは、拘束力の異なる2段階のインターバルを組み合わせる制度を設計している。一つ目のインターバルは、安全衛生管理規程で定めた11時間。この11時間のインターバルは順守の義務はないものの、継続して11時間未満の休息が続く社員には産業医との面談を設ける。二つ目のインターバルは就業規則で定めた8時間で、これを下回る場合には翌日の就業時間を後ろにずらす必要がある。
インターバル制を導入するにあたっては、休息時間の長短を含め、自社に合った形でいかに制度を工夫できるかが重要になるだろう。導入を予定している企業の動向が注目される。
『日本の人事部』編集部