高まる人材の不足感。経営と人事・人材育成の連動に課題~『第37回 当面する企業経営課題に関する調査「日本企業の経営課題2016」』調査結果(速報):日本能率協会
一般社団法人日本能率協会(会長:中村正己、JMA)は、企業が抱える経営課題を明らかにし、これからの経営指針となるテーマや施策の方向性を明確にすることを目的に、1979年から、企業経営者を対象に、企業経営課題に関する調査を実施しています。
今年度は2016年9月に実施し、211社からの回答を得ました。調査結果の主要なポイントは以下のとおりです。
<調査結果のポイント>(一部抜粋)
1. 現在の経営課題、「収益性向上」が第1位に
2. イノベーションの成果が出ていない企業が4割~『KAIKA』度の高い組織がイノベーションで成果
3. 高まる人材の不足感 ~ 経営と人事・人材育成の連動に課題
今後、事業を展開していくうえで必要な人材の充足度について尋ねたところ、量的な観点では51.1%が、質的な観点では74.4%の企業が「不足している」(「不足している」「やや不足している」の合計)と回答した。
組織・人事領域で重視する課題においても、「優秀人材の獲得」が前回調査(2014年度)よりも、15.6ポイント増えて、第3位に挙げられており、企業における人材の不足感が大きく高まっていることがうかがえる結果となった。
人材の確保に関連して、人事戦略や人材育成・採用計画と、経営戦略や事業計画との連動の状況について尋ねたところ、「十分に連動している」とする企業は10.9%にとどまり、61.1%は「ある程度連動している」と回答した。
また、人材開発部門が経営戦略や事業計画を実行していくうえで必要な人材の育成に、どの程度期待に応えられているかを尋ねたところ、「十分に応えられている」は2.8%にとどまり、「ある程度応えられている」が45.5%、「あまり応えられていない」が14.7%という結果となった。
少子高齢化に伴い生産労働人口の減少が見込まれる中、企業にとって人材の確保は、今後も大きな課題となるものと思われる。経営戦略や事業計画と連動した人材の獲得・育成に向けた取組の一層の強化が求められるのではないか
4. 求められる変革型ミドルマネジャーの育成
組織・人事領域における課題として、前回調査(2014年度)に引き続き、「管理職層のマネジメント能力の向上」が第1位に挙げられた。
また、ミドルマネジャーを対象とした研修の実施状況を尋ねたところ、10年前に比べた現状として、「より強化した」企業が55.9%、今後(1~3年後)の方針として、「より強化する」企業が55.0%となり、管理職層のマネジメント能力向上に向けて、半数以上の企業が研修の強化に取り組んでいることがわかった。
さらに、ミドルマネジャーに求められる役割や要件の重要度と、自社の管理職層の期待充足度の関係について、以前より重要度が高まったとされた上位6項目をみると、「会社方針に基づいて、適切に部門の目標設定を行う」「目標達成のために効果的な計画を立案する」については、「期待を上回っている」とする比率が高いものの、重要度が高まったとする比率が最も多い「現状にとらわれずに変革を推進する」については、「期待を上回っている」が30.8%であるのに対し、「期待を下回っている」が63.5%となった。また、「絶えず新たな目標に挑戦する」についても、「期待を下回っている」とする比率が高くなっており、現状にとらわれずに新たな目標にチャレンジし変革を推進する「変革型マネジャー」の育成が一層期待されていることをうかがうことができた。
5. 経営者育成には意図的な取組が必要
6. 「女性活躍推進」「働き方改革」への意識高まる
組織・人事領域で重視する課題として、前回調査(2014年度)に続いて、「女性活躍・ダイバーシティの促進」が上位の課題として挙げられた。また、前回よりも「残業時間の適正管理・削減」が4.7ポイント増加、「多様な働き方の導入(テレワークなど)」が7.0ポイント増加しており、政府が推進している「働き方改革」について、産業界の意識が高まっていることをうかがうことができた。
一方で、「女性活躍推進」に関しては、85.7%の企業が「重視している」(「重視している」「ある程度重視している」の合計)と答えたものの、36.9%が「順調に進んでいない」(「順調に進んでいない」「あまり順調に進んでいない」の合計)としており、実行には課題があることがわかった。
7. 今後、重視する海外事業展開先のトップは「中国」
8. AI・ビッグデータ・IoTの事業への活用は、まだ様子見?
9. 事業継続計画(BCP)の策定が広がるものの、実行体制には課題
※各トピックスの詳細は全文PDFをご覧ください。
「2016年度(第37回)当面する企業経営課題に関する調査」概要
調査時期:2016年9月1日~20日
調査対象:一般社団法人日本能率協会の法人会員ならびに評議員会社 計1,256社の経営者
調査方法:郵送調査法(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答)
回答数・回収率:回答数211社・回答率16.8%
【本件に関するお問合せ先】
一般社団法人日本能率協会 KAIKAセンター JMAマネジメント研究所 (担当:近田)
〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-2-2 住友商事竹橋ビル14F
TEL:03-3434-6270 FAX:03-3434-6330
◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(一般社団法人日本能率協会 http://www.jma.or.jp/ /11月2日発表・同社プレスリリースより転載)