有期雇用への転換申請があった場合の対応「まだ方針を決めていない」が多数。賃金制度も未定~『2016年3月 景気定点観測アンケート調査結果』:経済同友会
公益社団法人 経済同友会は、『2016年3月(第116回)景気定点観測アンケート調査結果』を発表しました。
【調査結果の概要】
I.日本経済
(1)景気の現状について
「緩やかに拡大している」が低下(47.9%→24.3%)し、「緩やかに後退している」が上昇(2.5%→11.1%)した。
同友会景気判断指数(※)は前回の23.1から6.6に低下した。
(2)今後の見通しについて
「緩やかに拡大する」が上昇(24.3%→43.0%)し、「緩やかに後退する」が低下(11.1%→8.3%)した。同友会景気判断指数は18.2に上昇した。判断根拠としては、「政府支出」の「増加」の回答割合が上昇(9.8%→14.8%)したほか、「住宅投資」の「増加」の回答割合が上昇(3.4%→12.7%)した。
II.企業業績、設備投資等
(1)売上高および経常利益
・売上高:1-3月期は、製造業は「減収」が上昇(29.0%→31.5%)し、非製造業も「減収」が上昇(14.3%→20.8%)した。
同友会売上高指数は、1-3月期見込み:17.6、4-6月期予想:20.8となった。
・経常利益:1-3月期は、製造業は「減益」が上昇(23.1%→35.2%)し、非製造業も「減益」が上昇(20.8%→22.4%)した。
同友会経常利益指数は、1-3月期見込み:11.7、4-6月期予想:16.6となった。
(2)設備投資
・2015年度の設備投資額は、製造業は「増額」が上昇(47.3%→59.2%)し、一方、非製造業は「増額」が低下(47.3%→38.7%)した。
・同友会設備投資指数は、2015年12月調査時の37.5から35.0に低下した。
(3)雇用
・製造業では「過剰」が低下(15.8%→11.7%)し、非製造業では「不足」が上昇(31.0%→37.7%)した。
・同友会雇用判断指数は、2015年12月調査時の▲17.1から▲22.0となった。
III.トピックス
1.賃金交渉の方針について
・賃金交渉で重視する要素としては、「自社の業績」、「他社の賃金相場」、「景気見通し」、の順で回答割合が高かった。
・一人当たり年収ベース(時間外・定期昇給を考慮しないベース)でどの程度賃金を引き上げるかは、全体では「前年度並みの水準(伸び率は0%)とする」との回答が最も多かった。但し、製造業では、「0%超~1.0%以下の上昇幅とする」との回答が最も多かった。
・ベースアップの方針については、「ベースアップは実施しない」との回答が最も多かった。
・賞与の方針については、「業績連動の仕組みを導入済みであり、当該制度に則り増減する」との回答が最も多かった。そして「前年度並みの水準(伸び率は0%)とする」との回答がそれに続いた。
・賃金引上げ分を何で吸収するかは、「中長期的な生産性上昇で吸収する」、「コストを削減する」、「販売数量の拡大で補う」、の順で回答割合が高かった。
2.有期労働契約の無期労働契約への転換および賃金について
・転換申請があった場合の対応としては、全体では「まだ対応方針を決めていない」との回答が最も多かった。一方、製造業では「会社の要求水準を満たす有期契約労働者のみ無期転換申請が出来るような運用に努める」との回答が最も多かった。
・従来の正社員とは異なる雇用形態で対応する場合、その雇用形態の特徴としては、「勤務地を限定」、「職務を限定」、との回答が最も多かった。
・従来の正社員とは異なる雇用形態で対応する場合、その賃金制度に組み込む要素としては、「まだ決めていない」との回答が最も多かった。そして「賞与」との回答がそれに続いた。
・雇用形態多様化の中で、いかに労働生産性を維持・向上させるかとしては、「教育・研修の充実」、「採用や登用も含めた人事制度や報酬による施策」、「多様な働き方の容認・各自のライフスタイル尊重・各自のスキル把握」、「イノベーションや工夫を通じた生産性向上」、「組織文化の維持・醸成」といった回答がみられた。
(※)同友会景気判断指数:景気の現状を判断する回答について、「拡大している」を1、「緩やかに拡大している」を0.5、「横ばい状態が続いている」を0、「緩やかに後退している」を-0.5、「後退している」を-1として、各回答の比率を積算し合計したもの。(「その他」は考慮せず)
<調査の概要>
調査期間:2016年3月1日~3月10日
調査対象:2015年度公益社団法人経済同友会幹事、経済情勢調査会委員、その他委員会登録の経営トップマネジメント(547名)および各地経済同友会代表幹事(72名) 計619名
集計回答数:243名(回答率=39.3%)〔製造業77名、非製造業166名〕
〔公益社団法人経済同友会会員190名、各地経済同友会代表幹事53名〕
*本調査は年4回(3月、6月、9月、12月)実施
◆ 本リリースの詳細はこちら(PDF)をご覧ください。
(公益社団法人 経済同友会 http://www.doyukai.or.jp/ / 3月16日発表・同会プレスリリースより転載)