がんサバイバー
がんサバイバーとは?
「がんサバイバー」とは、がんと診断されて治療中、あるいは治療後の人々のことをいいます。「survive(=生き残る)」が語源になっていることから、元がん患者という意味で使われるケースが多いようです。がんは今や治せる病気であり、がんサバイバーが社会生活をすこやかに送っていくために、さらなるサポートが期待されています。企業にとっては、社員ががんに罹患した場合に仕事と治療の両立をどうサポートするのかが重要な課題となっています。
合併症や再発リスク、就労問題、精神的・身体的問題など
治療終了後も、がんと共に生きていく
2017月6月、乳がんにより帰らぬ人となったフリーアナウンサーの小林麻央さん。34歳で生涯を終えたショッキングなニュースは日本中を駆け巡りました。自身が闘病生活を赤裸々につづったブログは国内外ともに大きな反響を呼び、英国BBCの「社会に影響を与えた100人の女性」の一人に選出。さまざまなメディアでがんの特集が組まれ、社会現象とも言えるほど社会的にがんへの関心が高まりました。
これまで、がんと生きる人のサポートは、病を宣告されてから治療を終えるまでの「がん患者」へのケアにフォーカスされてきました。しかし、医療の進歩でがんが治療可能な病気となったことで、「がんサバイバー」として生きていく際のQOLにも、社会の関心が高まっています。治療を終えた後でも、合併症や再発への恐怖、人間関係、育児への不安、就労問題、経済的問題など、がんサバイバーは取り組むべきさまざまな課題を抱えながら生きていくことになるのです。
2012年6月に施行された、厚生労働省の定める「第2期がん対策推進基本計画」の中には、“がんになっても安心して暮らせる社会の構築”として、がん経験者の就労問題も含めた社会的な課題が挙げられています。2013年4月には、国立がん研究センターに「がんサバイバーシップ支援研究部」が設立されました。それでも、日本のがんサバイバーシップは、社会的認知や支援体制において遅れていると言われており、厚生労働省の研究班によると、がんに罹患した人の30%が自主退職し、4%が解雇されているといいます。がんサバイバーのウェルビーイングは、今後さらに社会全体で取り組むべき課題と言えるでしょう。
企業による、社員の「仕事とがん治療の両立」支援の動きも活発化しています。大手商社の伊藤忠商事では、がんの予防と治療のため、民間企業として初めて国立がん研究センターと提携。対象者のがん検診の無償化、高度先進医療保険の会社負担などを打ち出しました。両立支援コーディネーターを各カンパニーに配置し、仕事と治療の両立をサポートしていくとしています。
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