企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】ハカセサイヨウ 博士採用

「博士採用」とは、大学院博士課程の修了者に限定した採用活動のことです。従来、日本企業は、博士号取得者に代表される“高学歴人材”の採用に積極的ではなく、その高度な専門知識やスキル、学術的なプロセスの中で鍛えられた思考力などが、ビジネスシーンで十分に活かされてはいませんでした。しかし近年はダイバーシティの観点から、あるいはビッグデータや人工知能、IoT(モノのインターネット)などの先端技術分野において、開発の競争力を高めるために、博士採用を強化しようという動きが広がりつつあります。
(2015/12/25掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

博士採用のケーススタディ

「博士」人材の活用に日米企業で大きな差
専門性よりも鍛え抜かれた思考能力に期待

学校教育法では、大学院の博士課程を修了した者、もしくは大学院の博士論文の審査に合格し、かつ大学院の博士課程を修了した者と同等以上の学力を有する者に対し、博士の学位を授与すると規定しています。この博士号を取得するには、学士過程修了後最低でも5年かかり、その間、多額の税金も投入されるわけですが、そうしてお金と時間をかけ、高度な教育を付与された高学歴人材を、現在の日本企業は充分に活かしきれていません。博士課程修了者の中で企業に就職する人は2割程度。博士人材を定期的・積極的に採用していない企業が、圧倒的多数を占めるのが現実です。日ごろ学生と接する機会の多い企業の採用担当者にとっても、「博士」はけっして身近な存在とは言えないでしょう。

なぜ、日本企業は「博士採用」に積極的ではないのか。その原因は、新卒一括採用で“まっさら”な状態の学生を集め、入社後の一律年次管理と社内教育で戦力化することに重点を置く、日本企業の伝統的な雇用慣行にあります。博士課程まで修了し、ある程度の年齢を重ねた人材には、「専門分野に固執しすぎて視野が狭い。そのくせ、入社時の年齢が高く、配属や管理で扱いにくい」といった印象が根強いのです。逆に「博士採用」に積極的なのが、欧米の先進企業やグローバル企業。とくに新しい価値を創出する研究開発部門では、学士や修士より博士を優先して採用する企業が多く、初任給の金額や入社後の昇給率にもその評価が反映されます。

国内ではこれまで、わずかに外資系企業や一部のITベンチャーが、イノベーションを進める人材として博士採用に力を入れてきましたが、最近はその動きが少しずつ広がりつつあります。先月26日、国内ポータル最大手のヤフーが、博士号を持つ新卒者と、博士号取得後に任期制で大学の研究室に在籍し研究を続けている「ポスドク」(博士研究員)の採用枠を新設すると発表しました。自然言語処理、機械学習など11分野のビッグデータ研究を推進するためで、17年春入社から毎年20人程度を採用する方針です。ディー・エヌ・エーも、AI(人工知能)を活用したゲーム開発向けの人材として、17年春から博士採用を実施します。また総合商社の三井物産も、博士課程修了者に絞った採用活動を始めました。同社人材開発室では、学術的な専門知識より、そこで鍛えられた思考能力を重要視。「とことん突き詰めて頭を使ってきた人たちは多様性の観点からも面白いのでは」と期待しています(朝日新聞デジタル15年11月27日)。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

ポスドク
「ポスドク」とは、ポストドクターの略。博士号(ドクター)を取得しながら、大学などで正規のポストに就けず、非正規の立場で研究活動を続けざるを得ない任期付き研究者のことです。博士研究員とも呼ばれます。主に数年間の研究プロジェクトごとに雇用されますが、その後の地位の保証はありません。2009年の調査による...
スクラム採用
「スクラム採用」とは、全社員が一丸となって取り組む採用方式のことをいいます。スクラムとは、ラグビーにおいて両チームのフォワード選手がボールを間に肩を組み押し合うこと。転じて、全員が共通のゴールに向かって力を発揮することを意味するようになりました。採用売り手市場が続く中で、人事だけでなく全社員で候補者...
ダイレクトリクルーティング
「ダイレクトリクルーティング」とは、採用において、企業が自ら能動的に活動し、採用する手法のことです。人材の募集活動を求人広告媒体や人材紹介会社など第三者にアウトソーシングして、求職者の応募をただ「待つ」のではなく、企業側が人材データベースやSNSなどさまざまなツールを活用して、求める人材を自ら探し、...

関連する記事

「新卒採用コンサルティング」とは
採用コンサルティングは、テクニカルな業務レベルでのサポートだけでは不十分だ。クライアントの企業理念や経営戦略などを十分に踏まえた、「戦略的な採用の提案」を行うことが求められる。
2011/01/31掲載人事支援サービスの傾向と選び方
厳選採用時代の中途採用に必要な「企業の意識」 ~厳選採用のもう一つの顔
企業が「厳選」されることもある。一部の優秀人材に企業の内定が集中!?
2011/02/07掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
採用成果を上げている企業は「勝つためのプランニングができている」「社内の協力体制は十分である」「PDCAサイクルは十分に機能している」割合が高い
「自社の採用チームは、採用において十分な成果を上げている」という項目に対して「当てはまる」企業は11.2%、「どちらかというと当てはまる」企業は49.4%。このような「成果を上げている」企業は、「採用市場において勝つためのプランニングができている」「採用活動に...
2017/06/30掲載人事白書 調査レポート

関連するQ&A

【2010年度入社】 新卒の採用単価について
2010年度新卒採用における一人当たりの採用単価の相場はどのくらいでしたでしょうか? また2名採用の場合、どんな採用手法が適切でしょうか? よろしくお願いいたします。
新卒採用を行うメリットとは
当社では現在中途採用のみ行っております。 新卒採用は行っていないのですが「新卒採用を行うメリット」や最近の動向・データなどをお教えください。
採用アウトソーシングについて
採用のアウトソーシングを受託したいと考えているのですが、他企業の採用を代行する際、採用決定までアウトソーシング会社がおこなってよいのでしょうか? また、行ってはいけない行為はどのようなことがありますでしょうか?
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 採用 ]
新入社員研修の種類や企業事例、「新入社員研修」サービス

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

ボブ・パイク 参加者主体の研修テクニック 働くパパママ育休取得応援奨励金

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ


「2020年度 新入社員育成」ソリューション特集

新入社員研修の種類やカリキュラム例、企業事例、おススメの「新入社員研修」サービスをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


尻込み、指示待ち、評論家……<br />
ひそかに進行する20代社員の“ゆでガエル化”現象とは

尻込み、指示待ち、評論家……
ひそかに進行する20代社員の“ゆでガエル化”現象とは

ゆっくりと進行する危機や環境の変化に対応する難しさを戒めた、いわゆる「...