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【ヨミ】アスリートシャイン アスリート社員

「アスリート社員」とは、企業に社員として籍を置きながら競技に打ち込むアスリートのことで、本業とスポーツとの両立を図り、双方での成果と実績をもって自社に貢献できる人材を指します。厳しい勝負や練習を通じて培われたメンタルタフネス、チームワークや礼節を重んじる気持ちなど、スポーツ選手ならではの優れた資質をビジネスにも生かせるのがアスリート社員の強みです。企業スポーツを取り巻く環境は依然として厳しいものの、一方で単なる“広告塔”や社会貢献目的ではなく、純粋に戦力としてアスリートを雇用しようとする動きが、競争の激しい分野や人材難の業種を中心に広がり始めています。

(2015/1/22掲載)

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アスリート社員のケーススタディ

体力以上に期待されるのは精神力の強さ
特別扱いなしで競技と仕事の両立を支援

一つの競技に打ち込み、優秀な成績を収めてきた現役のスポーツ選手を、企業が「アスリート社員」として採用し、ビジネス面での戦力化を前提に、仕事と競技との両立を支援する取り組みが注目されています。

とび・土工事業などを手がける深谷組(さいたま市)は、2007年から「アスリート採用」をスタート。いわゆる体育会系の学生にターゲットを絞った採用活動を積極化し、入社後も社内外のクラブチームで競技生活を続けられるように、活動費や休暇取得をサポートしています。アスリート採用を始める前の同社は、若手の離職率が高く、毎年新卒で10人以上採っても、その大半が辞めていくという状況が続いていました。そこで会社に残っている若手の経歴を調べたところ、学生時代にスポーツに打ち込んでいた社員が多く、特に野球部出身者の定着率が高いことが明らかに。人手不足が深刻な建設業の担い手を発掘し確保・定着を図るには、体育会学生の採用に力を入れ、競技と仕事との両立を支援しながら活用していくことが必要と判断したのが、アスリート社員導入のきっかけでした。14年度までに20人程度が同採用枠で入社しています(日経コンストラクション2014年8月11日号より)。

飲食店運営や酒類・飲料の卸売業などを営む阪神酒販(神戸市)でも、三段跳びやレスリング、セパタクローといった競技の日本代表クラスの選手がアスリート社員として活躍しています。海外遠征などの際の勤務融通を除けば、原則特別扱いはなし。フルタイムで働く総合職社員としての採用です。練習量は限られるものの、短時間に集中する工夫と生活の安定が奏功し、競技でも本業でも着実に成績を伸ばしているといいます。

キャリアやスキルでの差別化が困難な新卒採用では、もともと体育会系の人材は人気が高く、就職人気ランキングの上位を占める大企業、有名企業では新卒採用の30%以上が体育会の出身者だというデータもあるほどです。なぜ、彼らはそうした企業に選ばれるのでしょうか。もちろん“体力”は大きな要素ですが、体の強さ以上に大切なのは心の強さ。体育会出身者の採用・就職支援を専門に手がけるアスリートプランニングの山崎秀人社長によると、企業が体育会学生に求めるのは「先輩・後輩のタテ社会や組織の中で揉まれた経験であり、そこから生まれるメンタルの強さ」です。先述の深谷組もアスリート社員に期待する点として、「フォア・ザ・チーム(チームのため)の気持ちや練習で鍛えた強い精神力は仕事にもプラスになる」と分析しています。

かつて自社PRや社員の一体感の醸成、社会貢献などを目的にスポーツを支援していた企業は、バブル崩壊後、目的に対する費用対効果を見出せず、続々とスポーツから離れていきました。しかし、一流のアスリートがビジネスパーソンとしても有能であるならば、厳しい企業間競争を勝ち抜くために、彼らを戦力化しない手はありません。スポーツだけやっていればいいという特別扱いを排し、フルタイム勤務を前提に、仕事と競技の両立をどこまで支援できるかがポイントでしょう。2020年東京オリンピック開催に向けて、アスリート人口は拡大必至。新たな有望人材の宝庫から目が離せません。

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