企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】ピー エム アイ PMI

「PMI」とは、Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略で、M&A(企業の合併・買収)成立後の統合プロセスのことです。新しい組織体制の下で当初企図した経営統合によるシナジーを具現化するために、企業価値の向上と長期的成長を支えるマネジメントのしくみを構築、推進するプロセスの全体を指します。M&Aが企業活動にもたらす成果の度合いは、このPMIの巧拙によって決まるといわれます。
(2012/10/5掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

PMIのケーススタディ

M&Aの“成立”を“成功”へと導く
組織の文化・風土の融合がポイントに

M&Aは、すでに日本企業においても、経営戦略上の重要な選択肢として定着した感があります。確かにM&A成立が発表されると、その時点では投資家の注目を集め、株価が上がるなどの効果が現れます。そのためメディアなどの関心も、交渉から合意成立までの過程にとかく集中しがちですがM&Aの“成立”は、イコールM&Aの“成功”を意味するものではありません。むしろ合意してから後のマネジメントが問題で、必ずしも当初期待された統合の成果を早期に、かつ持続して出せるとは限らないのです。

デロイト トーマツ コンサルティング株式会社が2010年に行った日本企業のM&Aに関する実態調査では、2000年以降にM&Aを実施した経験のある企業のうち、当初の戦略目標を80%以上達成できたと回答した「M&A成功企業」は、前回(2008年)、前々回(2007年)の調査時と同じく、全体の3割弱にとどまっていることが明らかになりました。M&Aが一般化しつつあるとはいえ、依然としてM&Aにおける成功は容易ではありません。

また同調査によると、目標達成度が40%を下回ると回答したM&Aの「非成功企業」ほど、社内事情(推進体制の不備、経営層の決断力不足など)がM&Aを推進する上での障壁になっているとのこと。統合直後の新体制はただでさえ混乱しがちですから、準備が十分でないと、業務上の重大なミスやシステム障害などの発生リスクが高まります。ひいては顧客離れや優れた人材の離職、内部対立の顕在化を招くなど、経営統合がシナジーを生むどころか、かえって企業価値を損ないかねません。M&Aを成立から成功へと導くには、PMIの重要性を認識する必要があるのです。

一般的にPMIは、(1)経営統合(理念や戦略、マネジメント手法の統合)、(2)業務統合(業務管理システムや人材・組織・インフラの統合)、(3)意識統合(企業風土や組織文化の統合)の3段階からなります。これらの要素を分けて検討し、限られた時間のなかで、何をどういう順番で、いつまでにどこまで統合するかを決定して遂行していくのがPMIのプロセスです。

M&Aは異なる歴史を歩んできた組織と組織の統合ですから、とりわけその歴史を背景とする両社の企業文化や風土の違いをどうマネジメントするかがPMIの大きなテーマとなります。文化の融合には時間がかかりますが、社員の意欲や能力を引き出し、統合によるシナジーを持続的に最大化していく効果があります。社員の離職やモチベーション低下を防ぐためにも、PMIでは、両社が歴史的に尊重してきた価値観を振り返りつつ、なぜ自分たちが一つのグループになったのか、新会社として共有すべき新しい価値観は何なのかについて、掘り下げて議論する取り組みをプロセスに含めるべきでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

組織社会化
組織研究において、新しく組織に加わったメンバーが、組織の目標を達成するために求められる役割や知識、規範、価値観などを獲得して、組織に適応していくプロセスのことを「組織社会化」といいます。個人が組織に参入するときは、必ずこの組織社会化の過程を通過しなければならないと考えられています。 (2012/5...
組織の成功循環モデル
「組織の成功循環モデル」とは、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱している理論で、組織が成果を上げ続け、成功に向かう過程やしくみを明らかにしたものです。組織の成功循環モデルでは、成功や成果といった組織としての“結果の質”を高めるためには、一見遠回りに思えても、組織に所属するメンバー相互...
エンプロイメンタビリティ
「エンプロイメンタビリティ」(employmentability)とは、「企業の雇用能力」を意味する用語です。雇用される側からみて魅力的な企業か、継続的に雇用されたいかといった価値に関する概念で、雇用主としての能力や優秀な人材をひきつける吸引力を表します。単に高報酬を保障できればいいということでは...

関連する記事

人事マネジメント「解体新書」第42回 ベンチャー企業に学ぶ人材戦略(前編:解説) ~組織を“ベンチャー化”することで、人は成長していく
バブル崩壊後、日本を牽引してきた大企業が成長戦略を描き切れなくなっている。一方、成長著しいベンチャー企業は元気だ。何より、働く人のモチベーションと行動力が段違いだ。いったい、この違いを生むものは何なのか?
2010/10/25掲載人事マネジメント解体新書
女性活躍推進が成果を「上げている」企業は約半数。 「上げていない」と答えた企業では、女性従業員の「昇進意欲」や「モチベーション向上」が課題
多くの企業が女性活躍推進に取り組んでいる。その成果については、「上げている」(8.9%)「どちらかといえば上げている」(36.6%)が合わせて45.5%と、半数近くが手ごたえを実感している。女性活躍推進の成果を「上げていない」「どちらかといえば上げていない」と...
2018/08/02掲載人事白書 調査レポート
社宅管理の最新実態──3割が今後、社有社宅を減少・廃止する意向
労務行政研究所では、「社宅・寮、住宅融資制度に関する実態調査」を実施しました。本記事では、そのうち、保有の寮・社宅の動向に関する集計結果を中心に取り上げています。社宅については、隔年で調査しているものです。
2008/12/01掲載人事・労務実態調査

関連するQ&A

08年賃上げ
お疲れ様です。 08年度の全国平均昇給額と昇給率のデーターをお持ちでしたら、教えて頂きたくお願い申し上げます。 大企業・中企業・小企業別にあれば、なお幸でございます。
企業合併
地域毎の100%子会社3社の統合を考えておりますが、現状は地場での競争力を保持するための地域に合わせた労働条件で運営して来ております。その3社を完全統合して1社となった後でも、地域別(統合後はブランチ)別の3つ労働条件を残すことは可能でしょうか。
組織マネジメントの評価項目
お世話になっております。 人事考課の評価項目の一つに、管理職者に対して、組織マネジメントの評価を考えております。 一般的な組織マネジメント能力に関する評価項目をご教授いただけますでしょうか。 宜しくお願い致します。
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

新卒採用向けの「採用管理システム」を比較する4つのポイントを解説! 特長や料金も一覧で検討できます

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

シェアNo.1採用管理システムi-web

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


新卒採用向け「採用管理システム」導入のポイント~競争力を持った採用活動の実現に向けて~

新卒採用向けの「採用管理システム」。導入する際に押さえておくべきポイントと選び方のヒントを解説


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


学び慣れていない人に“考えるチカラ”を<br />
 サービスの現場にも転用できるアスリート向け教育プログラムとは

学び慣れていない人に“考えるチカラ”を
サービスの現場にも転用できるアスリート向け教育プログラムとは

“自分で考える力”や“自立・自律性”の不足は、人の能力に依存するサービ...


戦略人事の基盤となる「人事給与システム」<br />
導入を成功させるためのポイントとは?

戦略人事の基盤となる「人事給与システム」
導入を成功させるためのポイントとは?

給与計算業務や社会保険手続きなどの労務管理から、採用・異動・評価といっ...