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【ヨミ】チイキゲンテイセイシャイン 地域限定正社員

「地域限定正社員」とは雇用形態のひとつで、一定の地域内での配属・異動を条件に契約する正社員のことです。勤務地が通勤可能な範囲内に限られるため、地域限定正社員には転居を伴う転勤の発令がありません。「地域限定社員」や「エリア総合職」「エリア限定社員」とも呼ばれます。
(2011/6/27掲載)

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地域限定正社員のケーススタディ

多様な働き方へのニーズを支援し
優秀な人材の確保・定着をねらう

少子高齢化を見据えた人材の確保、ワーク・ライフ・バランスへの関心の高まりなどを背景に、地域限定正社員制度に注目が集まっています。地域限定正社員は、転居を伴う異動の負荷やリスクがない分、全域型の社員より給与水準が低いケースが一般的ですが、それでも共働きや子育て・介護中の社員にとっては、働きやすさという点で賃金格差を補う十分なメリットが見込まれます。価値観やライフスタイルの多様化に応じた柔軟な働き方を認めることによって、優秀な人材の確保・定着と、それに伴う組織の成長促進をはかるのが同制度の大きなねらいです。

記憶に新しいところでは2007年にユニクロが、店頭販売の主力を担うフルタイムの非正社員の2割、5,000人を月給制で店長まで昇格可能な地域限定正社員に登用する、と発表して大きな話題を呼びました。同社ではそれ以前から、能力や仕事への意欲が高いパート社員に正社員登用の道を開いていましたが、優秀な人材の誰もが全国転勤のある正社員になりたいわけではなく、家庭と仕事との両立、プライベートの優先などを理由に、非正規社員を選ぶ人材も少なくありませんでした。同制度を導入して“非正社員の正社員化”に踏み切った結果、人件費負担は増えたものの、定着率が大幅に向上し、ベテラン社員の増加によって作業効率も改善されるなどの効果が表れたといいます。

働き手の勤務地ニーズに対応するため、身分は同じ正社員でも、転居を伴う転勤の有無で職制を区分するコース別人事を実施している企業は少なくありません。昨年5月に発表された労務行政研究所の「人事労務諸制度実施状況調査」によると、複線型人事管理制度を導入する企業のうち、3割以上が「全国転勤あり/勤務地限定のコース別」を採用しています。たとえば野村証券には、全域型社員と地域型社員という採用区分がありますが、人材活用のしくみとしての両者の違いは転居を伴う異動の有無のみ。業務範囲や評価基準は同じで、相互間のコース転換も可能です。またスーパーマーケットチェーンの平和堂は02年から、育児、介護、地域・学校活動、通院などの理由で本人が希望すれば、異動範囲を片道90分以内の通勤圏に限定する「限定勤務地制度」を導入しました。給与水準は原則として通常の正社員の9割程度、ただし育児・介護が理由の場合は減額の対象としません。

勤務地にもとづくコース区分を導入・実施するにあたっては、地域の生計格差や転勤にともなう負荷などを考慮した処遇体系が設計されるべきです。同じ職場で全域型の正社員と地域限定型正社員が働くケースもあるわけですから、賃金格差が合理性、公平性を欠くと、社員間にモラールダウンを引き起こす懸念があります。コース別人事制度の内容を社内に向けて明確に開示し、それに則った適切な運用を行うことが重要です。

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