【ヨミ】モラルハラスメント モラルハラスメント
モラルハラスメント(モラハラ=Moral harassment)とは、言葉や態度などによって人の心を傷つける、精神的な暴力や嫌がらせのこと。職場上の力関係を背景に行われる、パワーハラスメント(パワハラ=Power harassment)、性的な嫌がらせであるセクシャルハラスメント(セクハラ=Sexual harassment)も、モラルハラスメントの一種です。
(2008/6/23掲載)
モラルハラスメントのケーススタディ
強い自尊心が部下や同僚を傷つける
加害者には自覚がなく、是正が困難
モラルハラスメント(以下、モラハラ)は、フランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌが提唱した造語。その著書の中で、「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせる」と定義しています。
職場においては、上司が部下を攻撃する、または、部下が上司を攻撃したり、同僚が同僚を攻撃したりするなどの行為が該当します。「精一杯努力しているのに上司や同僚から認めてもらえない」「身に覚えがないのにひどく責められる」など、肉体的な暴力と違って、顕在化しにくいので深刻な問題になるケースが増えています。
加害者になりやすいのは、自分の事にしか関心がなく、自分を特別な存在だと思い込む傾向がある人物といわれています。精神的な暴力を振るっている自覚がないため、是正が難しいのが実情です。
一方、被害者は、真面目で責任感が強く、周りに気を使う人が多いのが特徴です。攻撃を受けると、「自分に問題があるのではないか」といった罪悪感を持ちやすく、結果として、相手の支配に屈し、大きな精神的苦痛を抱えてしまいます。
モラハラの具体的な行為としては、「無視をする」「わざと咳払いをする」「見下すしぐさをする」「話や行動を否定する」などがあります。他者から見れば些細な行為でも、繰り返し行われることで、想像以上の精神的苦痛をもたらします。何をしても何を言っても、加害者から否定される状況が続くと、被害者の多くは、いつのまにか自分に自信が持てなくなります。そうした状態が長期にわたると、心身のバランスを崩し、「不眠症」「胃痛」「生理不順」「過食」「食欲不振」「精力減退」「円形脱毛症」などの心身症、そして、「うつ病」や「神経症」などのメンタル疾患の発症につながるケースもあります。