2024年問題
2024年問題とは?
「2024年問題」とは、2024年4月1日に施行される働き方改革関連法によって、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで発生する問題で、「物流の2024年問題」とも呼ばれます。宅配便の取り扱い個数は、EC市場の急成長やコロナ禍に伴う巣ごもり需要により、増加の一途をたどっています。今回の法制定により、長時間労働を余儀なくされていたトラックドライバーの労働環境の改善が期待されます。一方、運送事業者では不足分の労働力を確保できる見込みが乏しく、国内全体の輸送能力が縮小することが懸念されています。
「最速」か「安い送料」か
企業と消費者に求められる意識の転換
あなたは、宅配便を週にどれくらい受け取っていますか。今や宅配便は、なくてはならないサービス。国土交通省の調査によれば、2021年度の日本の宅配便取り扱い個数は49 億5323 万個で、前年度と比較して1 億1676 万個(約2.4%)増加しました。国民一人あたり、年間約40個の宅配便を受け取っている計算になります。
その便利さはトラックドライバーの長時間労働によって支えられています。しかし、その便利さの裏では、多くのトラックドライバーが長時間労働を余儀なくされ、運送業界は人手不足が慢性化。事業者の29%は、時間外労働の上限時間を超えたドライバーを抱えているといいます。
実は、今回施行される働き方改革関連法は、他の業界では2019年にすでに適用されていました(中小企業は2020年から施行)。しかし、トラックドライバーなど自動車運転業務の従事者は、長時間労働が常態化していることから急激な労働時間削減が難しく、5年間の猶予期間が設けられました。その猶予が切れるのが、2024年の4月です。
ドライバー不足になることで、国内全体の輸送能力が落ち、物流業務の遅延や品質の低下が懸念されています。商品を購入してもこれまでのように期日までに届かなかったり、発送する際に断られたりするかもしれません。2024年問題の解決のためには、運送事業者、荷主、消費者が一丸となって取り組む必要があるのです。
トラックドライバーの労働時間削減のため、運送事業者には「荷待ち時間を減らす」「DXによって業務効率化を進める」「多様な人材が働けるように労働環境を整備する」といった改善が求められます。消費者が再配達を減らすように努力したり、まとめ買いをしたりすることも、トラックドライバーの労働時間削減につながるでしょう。
2024年問題に向けて、改善を進める企業もあります。EC事業の当日配送をやめて翌日配送に変更したり、配達希望日を遅らせた消費者に対しポイントを付与したりするなど、新たな仕組みを模索する企業が散見されます。2024年問題は、宅配のあり方を見直す転機となるかもしれません。
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