セルフ・ハンディキャッピング
セルフ・ハンディキャッピングとは?
「セルフ・ハンディキャッピング」とは、あらかじめ自分に対して不利な条件を与えることで、自尊心を守ろうとする心理状態のこと。アメリカの心理学者スティーブン・ベルグラス氏とエドワード・ジョーンズ氏によって提唱されました。何かに挑戦するときの言い訳としてよく用いられ、失敗してもプライドが傷つかなくて済み、成功すれば快感を得られたり、より自尊心が高まったりします。プライドは守られますが、他者にネガティブな印象形成をしてしまうデメリットもあるため、注意が必要です。
自尊心の低さからくる言い訳
セルフ・ハンディキャッピングを克服するには?
「最近は遊んでばかりで、今日のプレゼンの準備が全然できていないんだ」
こういう“言い訳”、つまりセルフ・ハンディキャッピングは、いつの時代も変わらないもの。周囲の同僚や上司の中に、まるで武勇伝のように不真面目さを語りたがる人はいないでしょうか。あなた自身も、一度や二度はこういう言い訳をしたことがあるかもしれません。そのときの心情を思い返してみると、失敗したときに立つ瀬がなくならないよう、プライドを守ろうとしていたのではないでしょうか。
セルフ・ハンディキャッピングは、「獲得的セルフ・ハンディキャッピング」と「主張的セルフ・ハンディキャッピング」の二種類に分類することができます。努力を放棄したり遊んでしまったりと、実際の行動によるものが獲得的ハンディキャッピング。一方、「体調が悪くて」「準備する時間がなかった」など言葉によるものが、主張的ハンディキャッピングです。
セルフ・ハンディキャッピングを行うと、結果がどちらに転んでも、本人が傷つくことは回避できるかもしれません。その反面、目標を達成することよりも、自我を守ることに意識が向いてしまうため、挑戦に対する成功確率が低下してしまうといいます。また、言い訳じみた言動をすることから、周囲に悪印象を持たれてしまう可能性もあります。
このような傾向が強い人は、もともと自尊心が低いと考えられます。周囲の反応が気になるがゆえ、予防線を張ってしまうのです。これを克服するためには、セルフ・ハンディキャッピングを否定的に捉えているコミュニティに属することが一つの策です。結果にシビアな集団は、言い訳を歓迎しません。失敗を恐れず、全力で挑戦できる勇気を持つことができれば、セルフ・ハンディキャッピングは自ずと減っていくでしょう。
・参考
伊藤忠弘(1994)「セルフ・ハンディキャッピングの統制可能性・安定性および形態が観察者の印象に及ぼす影響」(社会心理学研究)
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