リボルビングドア(回転ドア)
リボルビングドア(回転ドア)とは?
「リボルビングドア(回転ドア)」とは、官公庁と民間企業との間で、人材が流動的に行き来する仕組みのことをいいます。回転ドアを通るように人材が官民を自由に出入りすることで、官公庁は民間が持つ最先端の技術やトレンドを知ることができ、民間は官公庁とのつながりにより事業運営が円滑になります。しかし、官民に限らず、日本は欧米と比べて人材の流動性が低いのが現状です。2021年9月に設置されるデジタル庁は民間から人材を広く募集しており、初の大規模なリボルビングドア事例として注目されています。
デジタル庁は回転ドアを開けるか
2021年9月、デジタル庁が発足します。対面主義や「はんこ文化」など、デジタル化で遅れをとってきた官公庁で、ついにデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた動きが活発化しそうです。これまでは組織ごとの縦割りが目立っていましたが、ITを活用することで、国と自治体のシステム統一、マイナンバーの普及、行政手続きのオンライン化など、さまざまな分野においてDXを目指します。
デジタル庁にとって最初の関門は人材採用でした。人員構成は500人規模といわれていますが、数百人単位の民間人を採用する必要があったのです。生え抜きの人材を中心とする官公庁では、異例の大規模採用といえます。2021年4月には、発足に先行して民間から採用した職員約30人に辞令が交付されました。応募倍率は約40倍で、企業経営者や大手企業の社員、スタートアップ企業の社員など、多様な人材が集まりました。
平井卓也デジタル改革担当相は、会見の中で「役人の方が民間からまた戻ってくるのも大歓迎」と発言しており、リボルビングドアの仕組みを整える考えを示しています。
しかし、官民の人材の流動性を高めるには、越えなければならない課題もあります。まずは、官公庁の人事や待遇。新卒採用を前提に人材を育てることを主流としてきた官公庁では、民間での経験は評価されにくく、「出戻り組」がかつてと同じポジションで復帰することは難しいとの声もあります。収入面でも、転身した先の民間企業より低くなることが予想されるため、出戻りを思いとどまる人も少なくありません。そのためデジタル庁では、非常勤職員には兼業・副業を認めることとしています。
デジタル庁の設立を機に民間と官公庁の間で人材の流動性は高まるのか。今後の成り行きが注目されます。
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デジタルトランスフォーメーション
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