社内ベンチャー
社内ベンチャーとは?
「社内ベンチャー」とは、新規事業などの創出を目的に独立した企業のような組織を企業内に作り、本社が支援しながら育てていく制度のことをいいます。一般的なベンチャー企業やスタートアップとは違い、社内ベンチャーは本社の資産を利用できることや、安定的に給与をもらいながら新規事業に取り組むことができます。また社内ベンチャーは挑戦的でポジティブな社内風土を育むことができ、起業家精神を持つ人材の流出防止にもつながります。
成功率の低い社内ベンチャー
メリットとデメリットは表裏一体
社内ベンチャーは、新規事業に挑戦する側にとってはリスクが低く、夢のような仕組みに聞こえるかもしれません。しかし一般的には、社内ベンチャーの成功率は低いと言われています。それはなぜでしょうか。社内ベンチャーの成功は結局のところ、「個人」に依存するところが大きくなるからです。
社内ベンチャー制度を導入している企業の多くは、社内公募でアイデアを募るところから始まります。事業テーマを個人の意欲やひらめきに依存せざるをえず、芽が出るビジネスを生み出せるかどうかは個人の能力に大きく左右されます。
また、人的リソースが不足しがちという側面もあります。利益を生み出さない新規事業部門に、優秀な人材を複数送り込めるほど余裕がある企業は多くありません。社内だからこそ短期間での成果を求められることもあり、「起業と比べてリスクが少ない」というメリットがデメリットになることもあります。自身の資産を投資しない分、一般的なスタートアップと社内ベンチャーでは熱量が大きく異なることも考えられます。
しかし、私たちが日常のなかで接しているお店やサービスの中には、実は社内ベンチャーから生まれた成功例も少なくありません。例えば、スープ専門店「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」は、もともとは三菱商事に勤務していた遠山正道氏が社内ベンチャーとして立ち上げ、その1年後に1号店がオープン。その後、MBOで独立を果たし、今では全国に展開するまで成長しています。また、2016年にリリースされたスマートフォン向け位置情報ゲームアプリ「ポケモンGO」を開発・運営する米Niantic社も、米Googleの社内ベンチャーとして立ち上がった企業です。
社内ベンチャーを成功させるには、「後戻りできない」という覚悟を持つこと、社内外のさまざまなリソースをうまく活用すること、ビジョン・ミッションを明確にして仲間を増やすことなどが求められます。社内ベンチャーであっても、ベンチャー企業やスタートアップ企業と同様の意識を持つことが必要なのです
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