間接差別
間接差別とは?
男女で異なる取り扱いをする「直接差別」に対して、一見、性別に関係のない取り扱いであっても、運用した結果、いずれかの性に不利益を与えることを「間接差別」といいます。男女雇用機会均等法では、以下の三つを合理的な理由がなく講じた場合は間接差別にあたるとして禁止しています。
(1)募集や採用にあたって、身長、体重、または体力を要件とするもの
(2)募集、採用、昇進、職種変更にあたって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とするもの
(3)昇進にあたって、転勤経験があることを要件とするもの
支社はないのに「全国転勤」が条件。
過去の慣習、もしかして間接差別かも?
正社員とアルバイトの賃金差は、性差別とは言えません。しかし実態は、男性は正規雇用、女性は非正規雇用の割合が多く、結果として男女の取り扱いに差が生まれています。また、「住宅手当ては世帯主のみ」という場合、世帯主は夫である場合がほとんどなので、妻である女性には手当てが支給されないことになります。このように、性別に関係のない中立的な取り扱いや制度であっても、結果として男女間に不均衡を生じさせている状況が「間接差別」です。
現在は、男女雇用機会均等法において間接差別の可能性がある措置は禁止されていますが、同法が施行された1986年には、間接差別について明示されていませんでした。1997年の改正時にも概念がはっきりしないとして先送りされましたが、2006年の再改正では、間接差別の可能性がある例として、いくつかの事例が記載されました。
そして、2014年の改正では、「総合職を募集・採用」する際の転勤要件の設定を禁止する文言から、「すべての労働者の募集・採用・昇進・職種変更」する際の合理的な理由のない転勤要件の設定を禁止する文言へと、対象範囲が拡大しました。「合理的な理由がない」ことが間接差別となるため、たとえば東京にしかオフィスがないにもかかわらず全国転勤を条件にしている場合は、間接的に女性を排除していると判断され、男女雇用機会均等法違反になる可能性があります。
男女雇用機会均等法における間接差別に関する禁止措置は前述の三つとなりますが、ここに記載のないものであっても、裁判で間接差別として違法と判断されることがあります。人事担当者は性別間の不均衡に無意識のうちに加担することのないよう、間接差別についての知識を身に着けることが重要です。
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