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ピンチをチャンスに。 新型コロナウイルス対策を機に中小企業も時代を見据えた働き方へ

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働き方改革が進むなか、2020年4月から施行された中小企業の時間外労働上限規制は人事担当者が対策を講じるべき大きなテーマであった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により状況は一変。在宅勤務にいかに対応するかに追われている。ただ、大企業に比べて中小企業では、在宅勤務やリモートワークといった多様な働き方を推進することのハードルが高い。現在置かれている環境に対応し、組織の生産性向上を実現させるためには、何をすればいいのか。株式会社ヒューマンテクノロジーズの馬場氏と森氏、ワークスモバイルジャパン株式会社の福山氏に、不測の事態を乗り切るための視点と有益なツールなどについてうかがった。

テレワークで働ける土壌を作るには、時間管理の可視化が不可欠

現在の企業の環境についてお聞かせください。まずは、2020年4月から時間外労働上限規制が始まりました。

馬場:厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和元年の日本の全労働者ベースでの平均年間総労働時間は1669時間。全体として減少傾向にあり、平成27年度と比較すると3.7%の減少となります。一方、正規従業員の労働時間は同比較で2.4%の減少にとどまっており、非正規従業員の6.5%減と比較すると減少幅が小さいのが分かります。少子化で労働力人口が減少する中、働き方そのものを見直さなければ、将来的に国際競争力についていけなくなる可能性があります。働き方について見直す契機にしたいという狙いがあり、今回の法改正につながったといえるでしょう。36協定の特別条項に上限規制が加えられたことと、休日労働を含めた労働時間で処罰の対象に範囲を拡大したことが大きな特徴です。求められる観点は、正しい時間管理とその管理に基づいた賃金の支払い、その上での労働時間削減(短縮)。国が一番やりたかったのは時間管理です。時間管理がオーバーすると罰則が付きます。

馬場 栄氏()株式会社ヒューマンテクノロジーズ 特定社会保険労務士馬場 栄氏

法対応の観点でいうと、既に大企業で始まっている同一労働同一賃金の運用が、2021年4月から中小企業でも始まります。

馬場:新型コロナウイルス対策を行う前まで、大企業が人事領域の法対応の課題のなかで最も力を入れていたのが、同一労働同一賃金でした。同じような働き方をしている人に対して同じような処遇をする必要があります。ただ、多くの中小企業は、ほとんど対応できていないのが実状でしょう。

一方、新型コロナウイルスのまん延により、人事が対応すべき課題の優先順位が変わってきています。もはや従来の環境では、従業員が仕事をできない状況になっています。

馬場:新型コロナウイルス感染防止のため、企業は在宅勤務や時差出勤を迫られるようになりました。当初は数週間の対応をどうするかという議論で、自宅待機や有休消化で対応する企業も少なくありませんでした。しかし、今や数ヵ月にも及ぶと予想されており、自宅待機のような対処では済まなくなってきます。家にいても働けるという土壌づくりが中小企業にも必要になってきました。

テレワークを実施するにあたり、最も大事なことは仕事の棚卸しをすることです。職務分析をして自社にはどんな業務があるのか、特定の人しかできないのか、条件が整えば複数人でできるかなど、業務とその性質を表にまとめて整理するのです。これまでは、何がテレワークでできる業務なのかと考えたこともない企業は多かったはず。職務分析・棚卸しをして、在宅や職場外での業務の向き・不向きを確かめることが大事です。すると、今回の新型コロナウイルス対策だけでなく、中小企業であれば2021年4月の同一労働同一賃金の運用にも生かすことができます。今起こっている在宅勤務の対応だけでなく、先々を見据えて早急に準備、対応するべきです。

今後、テレワークも含め、中小企業においても多様な働き方が定着していくと思われます。現在、中小企業の運用体制やルールはどのような状況にあるのでしょうか。

馬場:新型コロナウイルスの問題を機に、急遽、在宅勤務を導入した会社もあります。そのような会社の中には労働時間は9時から18時まで働いたことにして、実態を正確に把握していない、ということも少なからずあると思います。実際には業務が定時に終わるわけではなく、早くなることもあれば遅くなることもあります。

それともう一つ、テレワークは本来、会社にルールがなければ実施できません。就業規則を定め、その通りに運用する必要があります。しかし緊急対応で、仕方なく在宅勤務をスタートさせてしまっているケースも多いでしょう。在宅勤務を含めた多様な働き方は、今回を機に続くことが予想されます。形式も運用も併せて検討しなければいけない時期に来ているといえます。

出勤形態の多様化、テレワーク・リモートワークの導入、勤務場所の分散などさまざまな施策を考える必要があります。何から着手すればいいのでしょうか。

馬場:まずは、現状を把握することです。特に従業員一人ひとりが働いた時間を管理する仕組みを整えることから始めてください。定めがあっての運用なのですが、こうした状況下であれば、運用した後に規定を修正していくという手順が現実的かと思います。

最初は時間管理の可視化からということでしょうか。

馬場:先ほど申し上げたように、在宅勤務だと時間管理があいまいになりやすい。特に、中小企業の多くは時間管理については不十分だと思っています。例えば、時間管理をするのにタイムカードを利用している場合、職場に行ったときにしか証跡を残すことができません。しかし在宅勤務の場合、いつどの程度勤務しているのか、実態がわからないという話になりがちです。一方、従業員にしても、本当に働いた分だけ出勤したことになるのかという不安感があります。このように、労働時間管理は解消しなければいけない課題です。時間外労働上限規制の主目的が、正しい時間管理であるという国からの要望を踏まえても、時間管理の可視化は最優先にした方が、会社側も働く側も良い関係を作れると思います。

時間管理の可視化方法には、どのようなものがありますか。

福山:例えば、ヒューマンテクノロジーズ社が提供しているKING OF TIMEのようなツールです。どこからでも時間を打刻でき、指紋認証によって本人しか打刻できないなど不正も防げるものだと、シンプルかつ安全に運用ができると思います。また、当社が提供するLINE WORKSとKING OF TIMEは、システム連携しています。LINE WORKSのチャットボット上で、企業側で指定した出退勤打刻に必要なキーワードを入力し送信すると、KING OF TIME側で情報を受け取り、シームレスに勤怠打刻情報として反映し、労働時間集計を行うことができます。より手軽に出退勤打刻が行えるようになったことで、現場作業が多い業種や職種だけでなく、在宅勤務での活用も期待できます。

LINE WORKSから「おはよう」「退勤」など指定された文字やスタンプを送信するだけで、KING OF TIMEに打刻データが自動登録される

LINE WORKSから「おはよう」「退勤」など指定された文字やスタンプを送信するだけで、
KING OF TIMEに打刻データが自動登録される

多様な働き方を進める上で、社員のコミュニケーションの取り方も重要

多様な働き方で生産性を上げるには、コミュニケーションに関する課題もあると思います。具体的にどのような課題があるとお考えですか。

馬場:コミュニケーションをいかにストレスなく、しかも安心・安全に行えるかが重要です。物理的な距離が発生することで、対面で気軽にできたコミュニケーションがとりづらくなります。結果、コミュニケーションロスやコミュニケーションの手間などによる生産性の低下が起こります。また、スムーズなコミュニケーションだけを意識すると機密情報などを扱う手前、安全性が担保できないなどの問題も発生します。特に多くの中小企業ではコミュニケーションの課題を解決できないまま、在宅勤務などがスタートしているところが多いように感じます。

森:対面でのコミュニケーションができなくなり、メールではやり取りに時間がかかるし、わざわざ電話するほどのことでもない、というケースなど。実際、戸惑っている方も多いようですね。

このようなコミュニケーションに関する課題の解決策をお聞かせください。

森:最近では、チャットを使う企業が増えてきました。チャットツールは工夫すれば、対面で話すよりも気軽で友好的に使え、コミュニケーションロスや手間が生じづらいツールだと思います。

福山 耕介氏()ワークスモバイルジャパン株式会社 執行役員 法人ビジネス事業部長福山 耕介氏

福山:LINE WORKSは、ビジネス組織用のLINEのようなものですが、私は在宅やリモートでのやりとりの際、LINE WORKSのトーク(チャット)で雑談も交えながら気軽な雰囲気を作っています。実際にご利用いただいている企業様からも、トークルームの雰囲気で部署やチームの状態が可視化されるとお聞きします。メールや電話では構えてしまい、聞くことや相談することが難しくても、チャットだと不思議とできてしまう。特にLINE WORKSはスタンプも活用でき自然と明るいコミュニケーションになりやすいため、これから崩壊していくかもしれないエモーショナルな部分を支えられるのではないかと思います。

LINEWORKSによるコミュニケーションや情報共有

LINEWORKSによるコミュニケーションや情報共有

人事担当者が先を読んだ上で、新たな働き方に合った施策を提案していく時代

今回のコロナショックは中小企業にとっては不測の事態と言えます。こうした局面に対応し、生産性の高い組織になるために人事の立場としてできることは何でしょうか。また、経営者の巻き込み方も含めて、多様な働き方に対応するための会社の仕組みづくりをどう進めていけば良いのでしょうか。

馬場:多様な働き方を支援する環境を整えるにあたって、例えばテレワークの必要性という切り口だけでは、経営者からの理解をなかなか得られないかもしれません。2021年4月には、中小企業も同一労働同一賃金の対応が求められることになりました。先にも述べた通り、まずは全ての業務内容とその性質を把握する必要があります。その結果、どの業務がテレワークで実施できて、どの業務は出社しないとできないのかが明らかになります。在宅勤務のためだけではなく、法改正の動きもにらんで、人事から積極的な対策を打ち出すことが重要ではないでしょうか。

森 信二郎氏()株式会社ヒューマンテクノロジーズ チャネル開発部 主任森 信二郎氏

改めて、こうした厳しい状況下において、KING OF TIMEやLINE WORKSがどういうところで力を発揮するのかをお聞かせください。

森:昨今は働き方改革が実践され、法改正も進んでいるので、企業のなかで働き方が複雑化しています。業種・職種で勤務や労働条件が異なるので、一元管理することもなかなか難しいと思います。弊社のサービスは、ローンチからすでに16年が経過しているので、在宅勤務やフレックスタイム、リモートワーク、変形労働時間など、いろいろな働き方に対応できます。さまざまな就業条件・規則に対応する要素もそろっているので、ぜひご活用ください。

福山:LINE WORKSは、経営者や従業員の感情を取りこぼさずにどう事業を回していくか、というところに寄与できるコミュニケーションツールです。ビジネス用ツールとして導入側もセキュリティー管理や情報漏えい対策ができる一方で、教育の手間なく誰でもすぐに使えることが大きな特徴です。業種にかかわらず離れて働く状況が増える中で、意識的に気持ちが伝わるコミュニケーションを行い、組織の活性化を図っていくことが重要だと思います。

感情を取りこぼさないコミュニケーションが実現できるということですね。

福山:はい、従業員の感情は、事業を推進する上で大変重要です。
現場で働かなければいけない人もいるなかで、在宅勤務でもリモートワークでも、個人のITリテラシーの差を受けることなく、すべての感情とコミュニケーションをつなげられるのがLINE WORKSの大きな特長です。当然、スマホアプリとしても使いやすいので、PC支給のないメンバーや、現場の声を拾うのにも適しています。有事の際の連絡インフラとしても安心です。「テレワークはよくわからない」「生産性が落ちるのでは」という不安や懸念がある方も、コミュニケーションツールと勤怠管理がしっかりしてさえいれば、むしろ生産性が上がるとお伝えしたいですね。

最後に、専門家の立場から人事担当者へのメッセージをお願いします。

馬場:中小企業は今まさに、多様な働き方にどう対応するのかという課題に直面しています。人事担当者が、多様な働き方に対応する会社の仕組み作りをどうやっていくかはとても大切です。単純に目の前の事象に対処するだけではなく、数歩先を見据え、国や自社が考えていることや方向性を踏まえて、これから行うべきことを考えてみてください。人事担当者が先を読んだ上で、多様な働き方に合った提案をしていくべき時代だと思います。

企業概要
ワークスモバイルジャパン株式会社

“「仕事、楽しい」を広げる。47都道府県ではたらくすべての人に” をミッションに、スマートフォンでもPCでも使えるビジネス版LINE「LINE WORKS」を提供。LINEを踏襲したチャット機能に加え、予定やファイル共有といったグループウェア機能を搭載。ITスキルを問わない圧倒的な使いやすさと、企業に最適な管理・セキュリティ機能を実装し、2年連続で有料ビジネスチャット国内シェアNo.1(※)を獲得しています。
※1出典:富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2019年版」

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