2016年「ホワイト企業」認定がスタート!日本次世代企業普及機構(JWS)が取り組む、次世代に残したい良い会社の基準とは?

一般財団法人日本次世代企業普及機構(Japan White Spread:以下、JWS)は、将来性やビジョン、働きがいといった要素において、これからの時代に残すべき素晴らしい中堅中小企業を発掘し、「ホワイト企業」として認定・表彰を行うことを目的に誕生しました。現在、大学生や働く人たちの会社選びの基準は、あまりにもブランド企業に偏っていて、日本全国に数多く存在する素晴らしい会社=ホワイト企業にはなかなか目が向けられていないのが実情です。この状況は、日本社会全体の活力を削ぐだけでなく、一人ひとりの能力を活かす会社選びにもつながらないと、JWSでは考えているそうです。では、JWSの考えるホワイト企業とは、そもそもどういう基準によって認定されるのでしょうか。また、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。理事・事務局長を務める江本亮さんに、詳しいお話を伺いました。また、評議員である株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役の小室淑恵さんから、メッセージをいただきました。

プロフィール
江本亮氏 プロフィールPhoto
一般財団法人日本次世代企業普及機構(JWS) 理事・事務局長
江本 亮さん
えもと・りょう/株式会社学生援護会(現インテリジェンス)出身。2010年よりeラーニングサービスを手掛ける株式会社プロシーズの取締役就任。 大学生の就職支援活動から資格取得を大幅に促進する資格スクール「Livoo!」の活動など就職支援事業に主に従事。
小室淑恵氏 プロフィールPhoto
株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長
小室 淑恵さん
こむろ・よしえ/残業を減らして業績を上げる「働き方見直しコンサルティング」に定評がある。これまで900社以上に導入。2児の母として子育てをしながら効率の良い働き方を実践。『6時に帰るチーム術』など著書多数。産業競争力会議、中央教育審議会、内閣府「子ども・子育て会議」他複数公務を兼務。金沢工業大学客員教授。

皆が知りたがっているのは「ブラック企業」ではなく「ホワイト企業」

――まず、JWSを設立された経緯についてお聞かせください。

2年半ほど前に厚生労働省が「若者応援企業宣言」をスタートしたのですが、行政の立場ゆえに法令遵守に重きが置かれ、世の中に広く存在する良い企業を紹介するというよりも、非ブラック企業宣言止まりの取り組みが中心になっています。それよりも、中立的でオフィシャルな存在として一般財団法人を設立し、誰もが納得できる基準を作り、次世代に残したい良い企業を「ホワイト企業」として認定してはどうかと考えたのが、JWS設立のきっかけです。

このような問題意識を持ったのは、数年前から「ブラック企業」問題が大きな社会話題となっていたからです。2012年から「ブラック企業大賞」が始まりましたが、ブラック企業として認定されると、その企業の業績は悪化し、採用も難しくなるという状況が起きています。さらに、厚生労働省も法律を守らない企業に対する罰則として企業名を公表するなど、ブラック企業に対する社会的な圧力は非常に強くなっています。しかし、ブラック企業の存在を世に伝えることだけで、本当にいいのでしょうか。ブラック企業に対して、法的な側面から順守できない企業を公表していく必要性はあるかもしれませんが、それよりも、就職・転職する人が知りたいのは、「良い企業=ホワイト企業はどこなのか?」ということです。これは人材紹介で転職希望者の皆さまの声をお聞きしていて、この2年痛切に私が感じたことです。

――ブラック企業は過重労働、違法労働などで働く人を使いつぶし、離職やメンタル不全に追い込んでいく企業というイメージですが、その対極にあるホワイト企業とは、そもそもどういう要件を有する企業なのでしょうか。

その質問こそが今回の取り組みの「肝」となる部分なのですが、今回の取り組みを弊財団ではいわゆる世の中でいうブラック企業と対局であるとは捉えていません。一般にブラック企業といえば長時間労働、ノルマが厳しい、離職率が高い、未払い残業が常態化しているといったイメージですが、逆を言えば、労働時間が短い、ノルマが緩い、定着率が良い、残業代をきちんと支払っている、といった要件を整えている企業がホワイト企業なのでしょうか? それは違うと思います。それをホワイト企業=良い企業としてしまうと、今後成長を図ろうとしているベンチャー企業は競争力を失いますし、またそこで働きたいという人の意向を否定することにもなります。

では、どんな企業をホワイト企業とすべきなのかをJWSの評議員・理事などと1年半にわたる議論を重ねた結果、「適正な利益・成長」「お客様からの信頼」「従業員満足度」の三つの要件、もう一段階ブレイクしますと「事業計画」「収益の黒字」「売上規模」「継続性」「ワークライフバランス」「法令順守」「人事制度」この七つと定義づけました。事実、就職を控えた学生や転職を考えている社会人は、このような要件が揃っている会社が具体的にどこにあるのか、とても知りたがっています。

もちろん、ホワイト企業を紹介する動きは他の機関にもあるのですが、その多くは大企業に偏っている状況です。その社名を聞いても、多くの人は“今さら”と感じるので、あまり実利的・有益な情報とは思えません。かえって、大企業志向が蔓延する傾向を助長することになってしまいます。そこで私たちは、中堅・中小企業のホワイト企業にも積極的にスポットライトをあてていこうと考えています。

インタビューの様子

中堅・中小企業でも、先ほどお話した七つの要件を満たしている企業は多くあります。ただ、そのほとんどが世の中に名前を知られていません。そのため、然るべき基準を設けることが大切だと考えました。基準が明確になれば、それに合致するホワイト企業はどこなのかという情報を、皆が欲しいと思うようになります。また、経営者にとっても、ホワイト企業経営をしていればその情報が広く発信され、採用活動などで良い結果が出ることは間違いありません。当然、収益にもつながっていくはずです。ホワイト企業として存在を認められることは、ブラック企業として世に知られることの、まさに真逆の状況になるのです。

――JWSはどのような方々で構成されているのですか。

JWSの評議員・理事の構成メンバーには、労働や人材問題などに見識があり、「ホワイト企業」を世に広めていこうという思いを持った、さまざまな分野の方々に集まっていただきました。中心となるメンバーは、次の四人です。まず理事長は、NPO法人ICT利活用力推進機構理事長の明野欣市さんです。経済産業省・近畿経済産業局の出身で関西地域の活性化をライフワークとし、人材育成、企業支援、地域支援の活動を積極的に進めている方で、ホワイト企業の4要件である「成長」「やりがい」のある企業に、深い造詣とネットワークを持っています。そして、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵さんは「ワーク・ライフバランス」「時間生産性の向上」のある企業取組に非常に詳しく、「働き方見直しコンサルティング」の手法に定評があることで知られていますが、JWSに評議員として参画していただいています。さらに、ソビア社会保険労務士事務所所長である五味田匡功さんが監事を担当しています。五味田さんは社会保険労務士として人事・労務に対しての支援を行いながら、中小企業診断士として事業計画の作成等も手掛けており、成長企業を評価するという意味で賛同してもらい参画してもらっています。そして世の中に新しい採用の価値観を作り上げようとしている株式会社アドヴァンテージ中野社長にも評議員としてご参加いただいています。この他にも、経営コンサルタント等の評議員・理事がいて、今後、ホワイト企業の存在を世の中に広げていくためにも、志を同じくするメンバーを募っていきたいと考えています。財団として閉じた形ではなく、できるだけオープンにJWSの活動を展開していきたいと思っています。

「ホワイト企業認定基準ver0.5」がスタート、
4月に第1回「ホワイト企業アワード」を開催

――JWSとして、具体的にはどのような活動を行っていくのですか。

ホワイト企業を認定して、その中から年に1回「ホワイト企業部門賞」を選出し、表彰を行うことになりました。そのため、まずはホワイト企業と想定される100社ほどから、データの収集と分析を行いました。その結果を理事会、評議会で検討し、2015年12月2日には「ホワイト企業認定基準(ver.0.5)」を策定しました。

ホワイト企業認定基準のボーダー(最低ライン)として、「労働法の順守」「直近3期のうち、2期で黒字を達成」「事業計画の立案と社内での公開」という三つの要件を置いています。その上で、「女性活躍」「長時間労働削減」「休暇取得促進」「育児介護休業制度充実」「多様な勤務形態導入」という五つの部門で、それぞれ加点要件を設けています。

「ホワイト企業部門賞」の表彰は、「女性活躍分野」「ワーク・ライフバランス分野」「ダイバーシティ分野」「CSR分野」の4分野で東日本、西日本地域ごとにカテゴリー分けし、大賞を決定します。第1回となる2016年は、発表は3月31日、表彰式は4月25日(関西地域)、26日(関東地域)に行います。

江本亮さんphot

さらに、表彰された企業の中からユニークで、トピック性の高い数社は、5月に行われる「HRカンファレンス2016-春-」(『日本の人事部』主催)に招き、トークセッションを実施する予定です。ちなみに、「ホワイト企業アワード」の受け付けは現在行っていますので(2016年3月まで)、ぜひ多くの企業にノミネートしていただきたいと考えています。

ホワイト企業の認定そのものの事業は、2016年5月からスタートします。「第1回ホワイト企業アワード」の応募社数は500~1000社程度を見込んでいますが、ここで新たに認定基準のプラス加点要件を見い出すことができると思います。その上で、最終的な「ホワイト企業認定基準(ver.1.0)」を定め、認定を進めていきます。第2回以降の「ホワイト企業アワード」では、ホワイト企業認定を受けた企業の中から選考を進め、表彰していく予定です。

――では今後、JWSとしてどのような計画や展開をお考えになっていますか。

今回、ホワイト企業認定基準ができたので、中堅・中小企業がその基準に到達するためにはどのような社内制度にしていけばいいのか、管理職研修をどう行うかなど、JWSとしてキメ細かな人事教育サービスを提供し、コンサルティングを行っていきたいと考えています。

また、ホワイト企業認定基準に基づいて、企業を評価する「ホワイト企業診断士」の育成も予定しています。国家資格である社会保険労務士、中小企業診断士の方々と提携し、ホワイト企業診断士となるための資格制度をスタートさせ、全国にホワイト企業診断士のネットワークを構築していこうというものです。地方に行くと良い会社があっても公に評価されることがなく、まさに「知る人ぞ知る」という状況です。しかし、ホワイト企業認定基準がスタンダードな「指標」となり、全国のホワイト企業診断士が認定すれば、地方の優良な中堅中小企業がスポットライトを浴びることになります。また、ホワイト企業アワードやホワイト企業認定の取り組みの規模が大きくなれば、世の中での影響力がより増すことになると思います。

第1回目の「ホワイト企業アワード」の表彰式は、東京と大阪の2ヵ所での開催ですが、今後は、全国各地での開催を進めていきたいと考えています。例えば、「宮城県のホワイト企業のトップ20社」を表彰する、というように。実際、宮城県在住の方は、首都圏にある大企業よりも、地元のホワイト企業について知りたいのではないでしょうか。一部の市区町村では地元の優良企業を表彰する取り組みを行っていますが、そうした市区町村とタッグを組んで、ホワイト企業認定基準の下、全国の素晴らしい企業の名を広めていくことができればいいと考えています。

――こうした取り組みが日本全国に広がっていけば、本当の意味で、地方が元気になりますね。

今後、人口の東京一極集中が進むと予想される中、JWSの取り組みが地方の活性化につながっていけば、とてもうれしく思います。結局、大学生の就職活動のあり方が変わらないのは、アプローチ先が首都圏などにある大企業や有名企業に集中しているからです。その動きを変えるためには、全国には自分を活かせる良い会社がたくさんあるということを認知してもらい、本当に良い企業とは何なのかを的確に評価する「見識眼」を持ってもらうことが大切です。

就職サイトで検索条件によって企業を絞り込んでも、必ずしも良い会社が見つかるわけではありません。現在のシステムでは、良い会社に行きたいと思っている求職側のニーズと、求人情報から提供される内容とで、あまりにもギャップが大きい。ホワイト企業基準という指標がクロスされることで、自分にとって本当に良い会社が見つかる可能性が一気に高まると思います。

「ホワイト企業」で活躍できる
「ホワイト人材」の育成にも力を入れていく

――そのほかに、今後予定されている取り組みなどはありますか。

今後は「ホワイト人材」の育成にも注力したいと考えています。つまり、個人に対する教育事業です。新卒で良い会社に行きたい、あるいは今の会社を辞めてより良い会社に行きたい、という願望は、多くの方が持っていることでしょう。しかし一方で、自分は本当に良い会社に入るだけの価値があるか、成果を出せる人材なのか、という問題があると思います。

人材紹介でキャリアカウンセリングを行っていて感じるのは、「世の中には良い会社という箱があって、そこにうまく入ることができれば、一生安泰な生活が送れる」と思っている求職者が相変わらず多いということです。そういう人たちは、会社組織で成果を上げよう、という考え方を残念ながらしていません。

江本亮さんPhoto

ホワイト企業で活躍できる人材には、それに見合った能力が求められます。ホワイト企業認定基準を明確化する一方で、ホワイト企業で必要とされるホワイト人材とはどういう人材なのか。どのようにしていけば、そのような人材が育っていくのか。それを教え、研修していく事業をJWSとして進めていきたいと考えています。

――人を採ることはとても大事ですが、長い社会人生活を考えると、人を育てることはもっと大事ですね。ところでホワイト人材の要件として、どんなイメージをお持ちですか。

現在、ホワイト人材とは何かについて、皆で議論を進めている最中なのですが、要件の一つとして「楽しんで働ける人かどうか」「働く事=楽しい事、と考える思考があるか」があります。つまり、楽しんで働くことができない、そういう思考特性がないと、ホワイト企業に就職することは難しいということです。

例えば、短時間労働の中でも最大限の成果を出せれば、ワーク・ライフバランスは実現するわけです。それができなければ、そもそもホワイト企業に属するのは難しいのではないでしょうか。その際、「楽しんで働ける人かどうか」が、非常に重要なポイントになると思うのです。突き詰めて言うと、貢献することに喜びを感じられるかどうか、ということかも知れません。結果的に、こういったことが仕事の成果を出す上でも、大きな違いとなってくるでしょう。

今後、ダイバーシティやワーク・ライフバランスの考え方が進んでいく中、一人ひとりにとって良い会社とは何なのかが、さらには重要なテーマとなっていくと思います。そこで、ホワイト企業という「指標」は、より大きな意味を持つようになるでしょう。現代のネットワーク社会においては、その評判がいろいろな人の口コミによって、一気に広がっていきます。その影響力は、計り知れないものがあります。だからこそ、次世代に残すべき素晴らしい会社を知ってもらい、その数を増やしていくこと。そこにJWSとしての信念があります。

株式会社ワーク・ライフバランス 小室淑恵さんからのメッセージ

小室淑恵さんphoto

このたび、ついに、JWS第1回ホワイト企業アワードのエントリーが公開されました。昨今、長時間労働などの問題が新聞をにぎわせ、ブラック企業への批判が高まっています。一方、今後の日本の未来を視野に入れ、労働環境を整え、多様な人材が働き続けられる組織を作ることに真剣に取り組む企業も増えてきています。私たちはこうした「ホワイト企業」を応援することで、日本の経済の未来を支えていきたい、そう考えています。

今、日本は大きな転換期を迎えています。かつて人口ボーナス期といわれるように、労働力人口の割合が多く、高齢者の割合が小さい時期が90年代半ばまでありました。筋肉量の多い男性が主に働き、労働力人口の多さから人件費は安く抑えられたため長時間労働をさせても経営を圧迫することなく、転勤・出張・残業でふるいにかけてもまだ多くの労働者が働けるだけの人口を抱えていた時代です。

時が流れ、今は人口オーナス期。少子高齢化が進むなか、労働力人口の割合はどんどん小さくなっています。これからは、男女ともに、短時間で効率的に成果を出せる働き方を実現し、学びの時間はもちろん、育児や介護、怪我や病気などを抱えても働き続けられる組織を作っていかなければ、企業としても経済としても立ち行かなくなってしまいます。

かつてのような長時間労働・夜討ち朝駆けで仕事を取る方法から、顧客に新しい価値を提供するためにも決められた時間内で成果を出し、余暇には新しい情報や人脈をインプットする、そんな新しい働き方に変えていくことが求められます。

今回の第1回ホワイト企業アワードにエントリーいただく際、改めて自社の状況を確認いただくことになります。一部に人口ボーナス期の働き方や状況が残っている企業もあるかもしれません。ぜひ、これからの日本社会全体の変化をみすえつつ、みなさんの組織がよりよい状態になるために勇気をもって働き方の変革に取り組んでいただければ幸いです。

一緒に、日本の働き方を変えていきましょう!

株式会社ワーク・ライフバランス
代表取締役社長 小室淑恵

協賛企業
一般財団法人 日本次世代企業普及機構  ロゴ

次世代に残すべき組織・企業に発展するための指標を作り、提示し、また支援をしていくことで素晴らしい組織・企業を増やしていきます。 ワークライフバランス経営等の目指すべき経営指標が樹立されていない中堅中小企業に対して次世代企業経営をご提案していきます。 ホワイト指標、基準が大企業対象のものと思われがちなのが2015年の現状ですが、2020年には多くの中堅中小企業にもホワイト企業経営が身近になる、そんな世の中を目指します。


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