科学的なメカニズムにより、
受講者が自立自走する状態を作る
英語学習プログラム「Wiz Heart」
株式会社WizWe 代表取締役社長
森谷 幸平さん
「継続は力なり」と言われますが、これは裏返せば物事をやり抜く難しさを表現した言葉。教育研修担当者の多くも、いかに受講者のモチベーションを維持し、プログラムの成果を導くかに頭を悩ませているのではないでしょうか。特に、語学のように日々の積み重ねが大切なものになるとなおさらです。どんなにコンテンツが優れていたとしても、ほとんどの受講者が途中で挫折してしまっては意味がありません。そうした課題解決に少しでも貢献したい、と英語学習の完走実現プログラム「WizHeart」を提供しているのが、株式会社WizWeです。開発の背景、サービスの特長、活用事例などを同社代表取締役社長の森谷 幸平さんにおうかがいしました。
自律的にモチベーションを維持する仕組みが求められている
近年の「人・組織」の分野で気にかけていることはありますか。
HRテクノロジーやピープル・アナリティクスの分野が注目されています。ピープル・アナリティクスでは、人間を科学的に捉え、しっかりとデータを取って最適な組織の形を探る。業務の効率化が図れ、より付加価値の高い仕事ができるようになっています。それ自体はとても良い傾向だと私は考えています。
ただ、課題もあります。人事総務の部署は新たな人材の補充がされず、アウトソーシングやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を進めていこうという潮流があるため、現場で働く方々は大変だと思います。人手が足りず、コストも削減されるのに、取るべきデータはますます増えています。それを解決するためにも、例えばデータを取られる対象者が情報を全て自分で入力するような、従業員が人事の手を離れて自律的に動く考え方や仕組みが必要とされているのです。
その課題から、貴社がサービスを開発するにいたった背景をお教えください。
人事には、人材を育成しないといけない領域、何かを実現させたり習慣化させたりする領域があります。教育研修もその一つです。そうした領域は特に、人材が拡充されないケースが多い。例えば英語力が不足している企業で、従業員が日々の学習を習慣づけて何とかするといっても、語学教育の専門スタッフが補充されることはなく、現場のスタッフが兼任で何とかさせるしかないという状態がずっと続いています。そして、育成の現場には疲労が溜まっていきます。
私が主に関わってきたのは、Ed Tech、特に語学の領域でした。今はすごく成果が上がるはずのプロダクトが世に出てきています。受講者が全課程を終えることさえできれば、目標の語学レベルに達するであろうという素晴らしいものが多数あります。しかし、実際には成果は出ず、状況は何も変わっていません。ツールが最強でも、使わないからです。人間はどれだけ最強の道具を持っていても、それだけでは学習を生活習慣にできない、と事業を通じて認識しました。その課題を解決したいというのが、このサービスのスタートラインになりました。
やり抜くプロセスを見える化し、高い学習完了率を導く
貴社サービス「Wiz Heart」の特長をお教えください。
「 Wiz Heart」は、英語コンテンツを最後までやり抜くことを目的とした英語学習プログラムです。その特長は、プログラム管理者が手をかけなくても受講者を自律自走する状態にできること。受講者が自ら目標を設定して、達成するための学習時間を確保してやり抜きます。普通、自主学習ベースになるとプログラムをやり抜く受講者は全体の20~30%です。我々はその割合を逆転させることができます。「Wiz Heart」は、90%という高い完了率を誇っています。
そのベースになっているのは、科学的な管理手法により営業活動を見える化する「セールスフォースオートメーション」という概念です。「Wiz Heart」は、その考え方を人材教育の領域に応用し、具現化しているものです。人が学び始めてからやり抜くまでのプロセスを分解し、それぞれのフェーズですべきことを標準化。どこの会社の誰がやっても成果が上がるようにしています。
こうした点をご評価いただき、「Wiz Heart」はこれまでハウス食品さま、サントリーホールディングスさま、村田製作所さま、アルプス物流さま、横河電機さまをはじめ50社ほどにご導入いただいています。
「やり抜くプラットフォーム」を構築
グローバルな事業展開も狙う
今後の目標・展望をお教えください。
英語に関する全ての課題を解決できるくらいのソリューション数をそろえたいと考えています。「成果を上げるのはWizWeである」という状態を作り出したいですね。そのためにも、出た成果に毎回しっかりと向き合い、もっと成果を出すために改善するというサイクルを高速で回していきたいと思います。それはまさに、HRテクノロジーとピープル・アナリティクスの領域です。ノウハウを積み上げたら、それらを人事の皆さんに使ってもらえるようにしたいですね。ほかにも、“やり抜くプラットフォーム”を構築して多くのコンテンツプロバイダーに参加を呼びかけたいです。
新しい取り組みとしては、出版社との連携を考えています。学習ログさえ取れれば、本の教材でもオンライン教材と同じように成果を上げることができると思い、プログラムの開発を進めているところです。
さらに、当社は「100億人に達成感を!」をヴィジョンに掲げているので、将来的にはグローバルに事業展開していきたいと思っています。今や世界の教育市場規模は400兆円。しかも、世界中でホワイトカラーの数が劇的に増加しており、企業の投資が教育に回りつつあります。ただ、世界レベルで質の高い教育を本当にリーズナブルな価格で提供できる会社は、まだ存在していません。その位置を取るのが私たちの目標です。
●対象企業規模:すべて ●対応エリア:全国 ●導入実績:50社
導入企業 | 大手電機メーカー |
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課題 | 管理職の昇格要件としてTOEICスコアが設定されている。しかし、自己啓発のみでは英語力の底上げが難しかった |
導入時の提案 | 同社の従業員は忙しい方々が多く、対面でのレッスンを受講するのは難しい。加えて、できるだけ低コストで成果を上げたいとのことで、オンライン英会話レッスンとTOEIC対策のeラーニング講座 を組み合わせて提案した |
成果 | 直近では38人が受講し、達成率はオンライン英会話で96%、eラーニングが92%。研修終了後のTOEICでは平均で124点アップした |