本質的なインクルーシブコミュニケーションのすすめ
多くの企業で「インクルーシブなコミュニケーション」が注目されていますが、現場では単なる配慮や形式的な平等にとどまり、十分な成果につながらないことも少なくありません。
その重要性は、社会的な流行や要請だけで語れるものではなく、組織の成長に直結する本質的なテーマです。
【なぜ今、本質的なコミュニケーションが必要なのか】
- 多様性の拡大と価値観の複雑化
働く人々の価値観やバックグラウンドは、かつてないほど多様になっています。従来の「暗黙の了解」や「多数派の常識」だけでは、組織の力を最大限に引き出すことが難しくなっています。 - 変化のスピードと不確実性
ビジネス環境は日々変化し、正解のない課題に取り組む場面も増えています。多様な経験や視点を持つメンバーが、安心して意見を出し合える環境こそ、新しいアイデアや迅速な意思決定を生み出します。 - “あるべき姿”から“成果を出すための必須条件”へ
インクルーシブなコミュニケーションは理想論ではなく、成果を生む組織にとって必須の基盤です。
【本質的なインクルーシブコミュニケーションの要素】
中心にあるのは「尊重(Respect)」です。以下の要素が組み合わさることで、現場で成果につながるコミュニケーションが生まれます。
- 尊重(Respect)
相手の価値観・経験・背景を「違い」として受け入れ、否定せず認める姿勢 - 対等性・自然体
誰もが“対等な一員”として扱われること - 傾聴と受容
話を最後まで遮らずに聴き、意見や感情を受け止める - 多様性の活用
違いを“強み”としてチームや組織の成果に結びつける - 心理的安全性の確保
安心して発言できる雰囲気をつくり、ミスや異論も歓迎する文化
【現場で起こりがちな“惜しい”コミュニケーションと例】
惜しいコミュニケーションは、善意や慣習、形式的なルールの盲点などから生まれます。
- 過度な気遣いで逆効果に
相手を守ろうとする善意が行き過ぎると、意欲や専門性が正当に評価されないことがあります。
例:女性社員に「無理しなくていいよ」と声をかけすぎる場合 - 多様性の強調で距離が生まれる
異なる背景を意識するあまり、特別扱いや遠慮が先立ち、自然な関係構築が妨げられることがあります。
例:外国籍社員や障がいのある社員に対して、必要以上に配慮しすぎる場合 - 形式的な平等で本音が出ない
制度やルールを優先して発言機会を均等に割り振っても、実質的な議論が進まないことがあります。
例:会議で順番に発言を求めても、深い意見交換につながらない場合 - 尊重のつもりが否定になってしまう
無意識の偏見や多数派の常識に引きずられ、少数派の意見を流してしまうことがあります。
例:新しい視点を「現実的ではない」と軽く流してしまう場合
【現場ですぐに取り入れられる実践ポイント】
次のような行動を意識すると、より本質的なインクルーシブコミュニケーションにつながります。
- 会話のはじめ方・雰囲気づくり
「どんな意見でも歓迎です」
「違う視点や経験をぜひ聞かせてください」
「この場は安心して話せる場です」 - 相手の意見を受け止める
「その視点は新鮮ですね」
「教えてくださってありがとうございます」
「そういう考え方もあるんですね」 - 多様性を活かす姿勢
「違いを活かして、より良いチームにしていきましょう」
「どんな意見も大切にしています」 - 会話を広げ、巻き込む
「他の方はどう思いますか?」
「話しづらいことがあれば、個別でも大丈夫です」 - 傾聴・受容・心理的安全性を意識する
「最後までお話を聞かせてください」
「どんな意見も否定しませんので安心してください」
「失敗やミスも学びのチャンスとして一緒に考えましょう」
本質的なインクルーシブコミュニケーションは、尊重・対等性・傾聴・多様性・心理的安全性が組み合わさった、現場で成果につながるコミュニケーションです。
単なる配慮や形式的な平等にとどまらず、組織の力を最大限に引き出すために――一歩ずつ実践していきましょう。
このコラムを書いたプロフェッショナル
LHH 人材育成・組織開発チーム
アデコ株式会社LHH人材育成・組織開発チーム
人材育成・組織開発の分野において60年以上の実績をもつLHHは、リーダーの育成、女性活躍、多様性の推進、人材の定着、組織風土改革といったプログラムの提供により、Fortune 500に代表される世界のトップ企業からも高い信頼を得ています。
LHH 人材育成・組織開発チーム
アデコ株式会社LHH人材育成・組織開発チーム
人材育成・組織開発の分野において60年以上の実績をもつLHHは、リーダーの育成、女性活躍、多様性の推進、人材の定着、組織風土改革といったプログラムの提供により、Fortune 500に代表される世界のトップ企業からも高い信頼を得ています。
人材育成・組織開発の分野において60年以上の実績をもつLHHは、リーダーの育成、女性活躍、多様性の推進、人材の定着、組織風土改革といったプログラムの提供により、Fortune 500に代表される世界のトップ企業からも高い信頼を得ています。
| 得意分野 | モチベーション・組織活性化、リーダーシップ、コーチング・ファシリテーション |
|---|---|
| 対応エリア | 全国 |
| 所在地 | 千代田区 |
このプロフェッショナルの関連情報
- サービス・製品資料
- 組織開発
- リーダーシップ
- チームビルディング
DE&Iプログラム概要_多様性が拓く組織の未来と人材育成
- 参考になった0
- 共感できる0
- 実践したい0
- 考えさせられる0
- 理解しやすい0
無料会員登録
記事のオススメには『日本の人事部』への会員登録が必要です。