RGF Hong Kong Limited、『中国・ASEAN・インド労働レポート』
(2015年1月~3月分)
株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区 代表取締役社長 兼 CEO:峰岸真澄)の100%子会社である RGF Hong Kong Limited(本社:香港 President:葛原孝司)は、日系企業のアジアにおける採用活動状況を明らかにするため、求人・求職者動向をまとめましたので、ご報告いたします。
≪中国≫
1~3月の求人数は順調に推移。円安影響から戦略転換を図る日系企業の周辺で求人に動き
1~2月の求人数実績は前年同月比+9%で推移。3月も増勢で推移しており、1 ~ 3月トータルでは前年同期比増で落ち着く見通し。求人数の伸びを牽引したのは製造業企業。円安と人件費の上昇により日本向け輸出事業の成長が伸び悩むなか、製造業企業の求人が増加しているのは、中国国内での製品販売を強化しようとする企業が人員補強を強めていることの表れであると考えられる。
中国人求職者の転職動向は、例年春節休暇前に落ち着き、休暇後に急激に高まる動きを見せるが、今期も2月の総登録者数に対して、3月は10営業日時点で既に2月の7割近くに達しており、トレンドは例年同様に推移している様子。
日本人求職者は、円安影響によりコールセンター事業の縮小を進めるBPO企業からの転職相談が増えつつある傾向。
<コンサルタント:中下 真(なかした まこと)>
○転職事例:営業(現地人)/製造業/37歳/約131,300元(年収)
≪シンガポール≫
ASEAN地域統括機能としての注目は引き続き上昇。他国の進出も相次ぎ人材獲得競争は熾烈に
例年に比べ春節が後ろ倒しになった影響で、シンガポールでも年初から各企業とも採用を積極的に開始。全体求人数は業界を横断して増加傾向。職種でみると、営業職に加えて財務・経理、法務、人事、社内IT等の管理機能の求人が増加。ASEANにおけるシンガポールの地域統括機能を強める大手各社の戦略が求人内容にも反映されてきている。
また、先日韓国系企業の営業求人に対して弊社から4名一気に採用いただいた。まさに欧米や韓国のアジアシフト加速を示しており、人材獲得競争は更に熾烈な状況に。
日本人求職者の動きはほぼ横ばい。日系企業からの求人が専門職ORアシスタント職に二分化されてきているため専門職の場合には英語力プラスアルファの要求が強くなってきている。
<コンサルタント:岡部 雅仁(おかべ まさひと)>
○転職事例:内部監査アシスタントマネージャー(日本人)/大手金融/30歳/約52,000 SGD(年収)
≪ベトナム≫
ベトナムの平均年齢の若さから管理職不足が課題に。インフラ整備関連に日本人技術者
日系企業動向としては、新規進出企業からの堅調な需要に加え、進出済みの企業が自社内の現地人リーダーおよびマネジメント層の薄さを懸念し、中途採用を強化する動きが増加。その一方、ベトナムの平均年齢が20代ということもあり人材が市場に少なく獲得競争が激しくなりつつある。
日本人転職者動向としては、労働ビザ取得が厳しい状況は変わりないが、20代~シニアまでべトナム勤務希望者は一定数存在。日本在住からの転職成功例も多い。地域的には、ハノイやその他の地方になると就職難易度が上がることもありホーチミンが人気。
その他のトピックスとして、ホーチミン初の地下鉄工事などの各種インフラ整備関連で、日本人・ベトナム人技術者の採用が進んでいる。
<コンサルタント:辻 貴秀 (つじ たかひで)>
○転職事例:総務人事(日本人)/製造業/30~40歳/約692百万VND(年収)
≪香港≫
デモや汚職取締強化の影響で成長鈍化。一方、円安効果から日本への不動産投資等が人気
企業側では、昨年末に起きた大規模な学生デモや中国政府の汚職取締強化などの影響もあり、中国本土からの投資に陰りが見え不動産業・金融業、小売業を中心に成長が鈍化。旧正月前のボーナスは各業種で昨年、一昨年を下回る結果となり、上がり続けてきた人件費も落ち着いてきた印象。特に小売業界ではレイオフを実施した企業も多い。
求職者側では、旧正月前後から転職市場が一気に活性化。例年と比べると金融関連職種の募集が落ち着いているものの、求人件数・転職希望者ともに増加している。
また、円安の影響で日本の不動産投資が香港人や中国人に大人気。また日本への買い物客も増加。現地人を対象にした日本マーケット担当の営業ポジションが増加している。
<コンサルタント:高山 典久(たかやま のりひさ)>
○転職事例:営業マネージャー(日本人)/不動産仲介/40歳/450,000HKD (年収)
≪インドネシア≫
物流業界の事業拡張を受け求人増加。ビザ厳格化影響はあるがミドル層の転職意欲は引き続き高い
年始以降、求人総数は増加傾向にある。新規進出企業数は一昨年を境に減少傾向にあるが、進出済企業の事業拡張による増員募集が全体を押し上げている印象。顕著なのは物流業界。新しい倉庫や物流センターの建設が相次ぎ、現場・バックオフィス双方の採用が活発化。
日本人求人は、年始以降ビザ要件が厳格化傾向であることから語学・実務両面において企業の要求水準が上昇。加えて当局の認可プロセス変更に伴う現場の混乱も大きく、外国人就労を取り巻く環境は依然として不透明。
日本人求職者は、依然30代~50代がボリュームゾーン。職種も営業職~技術職と多岐にわたる。インドネシア在住者の転職についても増加気味。
<コンサルタント:土肥 幸之助(どい こうのすけ)>
○転職事例:営業(日本人)/IT業/40代前半/約273百万IDR(年収)
≪インド≫
現地化が進む一方、管理職としての日本人採用ニーズが上昇。中国から転職する日本人も増加
管理職での日本人採用が増加傾向。人材のローカル化を進めたい企業が多い一方で、複数部門をマネジメントできるゼネラリストをインド人で確保することが難しいことに起因。専門職の確保は難しくないが、マルチタスク人材が多くないインド特有の事情と思われる。
一方、現地人求人では引き続き日本語人材が増加中だが、通訳→営業・セールスエンジニア・アドミ二など職種が拡大。日本人が対応していた業務の現地人材への権限移譲が進んでいることが背景。
日本人求職者は中国からの転職希望者、特に建築系や製造系のシニア人材が増加。ビザ取得難易度や日系企業の脱中国の影響に起因しているものと思われる。全体の傾向としては、引き続き女性比率が高い状況が続くが、緩やかに男性からの転職希望者が増加。
<コンサルタント:新谷雄司(しんや ゆうじ)>
○転職事例:ゼネラルマネージャー(日本人)/製造業/30代前半/約300万ルピー(年収)
≪タイ≫
訪日タイ人観光客の増加を受けて、日系旅行各社のインバウンド部門の採用が増加
企業の現地人求人意欲は業界問わず増加傾向。12月の賞与支払い後に離職するケースが多く、その補充を目的とした募集も多い。また業界別では旅行業界からの求人が増加。背景は、年々増加している訪日タイ人観光客対応で、各日系旅行会社がインバウンド部門の採用を強化していることがある。
日本人採用に関しては、サービス関連の新規進出企業からの募集が多い。特にIT業界が多く営業やSEといった職種が人気。
日本人転職者側の動向としては、東南アジア各国と比較するとビザ取得要件が低いため、常に一定数の方が転職活動を行っている印象。一方、転職回数の多い求職者は日本人でも避けられる傾向があるため要注意。
<コンサルタント:八源寺 誠(やげんじ まこと)>
○転職事例:事業企画(日本人)/サービス業/43歳/約121万バーツ(年収)
参考:各国通貨レート
1現地通貨あたりの日本円※
中国元:19.19円
SGD:86.99円
VND:0.006円
HKD:15.37円
IDR:0.01円
ルピー:1.90円
タイ:3.66円
※2015年3月27日現在
本件の詳細はこちらよりご覧ください
中国・ASEAN・インド労働レポート 2015年1月~3月分(589 KB)
◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社リクルートホールディングス http://www.recruit.jp/ /3月31日発表・同社プレスリリースより転載)