電通、ヘルスケア・コミッティー、日本政策投資銀行
従業員への積極的な健康増進策で、生産性・収益性の向上を図る
「健康経営」の実態を調査
― 東証1部上場企業では、認知はサービス業で高く、
実際の取り組みは製造業で高い傾向に ―
株式会社電通(本社:東京都港区、社長:石井 直、以下「電通」)とヘルスケア・コミッティー株式会社(本社:東京都文京区、社長:古井 祐司、以下「HCC」)、株式会社日本政策投資銀行(本社:東京都千代田区、社長:橋本 徹、以下「DBJ」)は、従業員への積極的な健康増進策により生産性低下の防止や医療費の抑制を図り、企業の収益性向上を目指す「健康経営」(※)に関する調査を実施しました。東証1部上場企業を対象に行ったこの「健康経営センサス調査」の目的は、「健康経営」に対する各社の現状理解と評価、また各社が推進している健康増進施策の現状およびその効果を把握することにありました。
電通、HCC、DBJの3社はコンソーシアムを組み、平成22年度より経済産業省「医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出調査研究事業(医療・介護周辺サービス産業創出調査事業)」において実施の個別事業のうちの1事業として、「『健康経営』による健康・医療の産業化調査事業」を進めており、「健康経営」というコンセプトのもと、経営施策の一環として企業の健康増進活動を活性化する事業スキームを検討しています。本リリースでは、本年1月に実施した「健康経営センサス調査」(全1,695社中226社が回答)から得られた調査結果のポイントをお知らせします。
※ 「健康経営」とは
従業員や生活者の健康が企業および社会に不可欠な資本であることを認識し、従業員への健康情報の提供や健康投資を促すしくみを構築することで、生産性の低下を防ぎ、医療費を抑えて、企業の収益性向上を目指す取り組みを指す。1980年代に米国の経営心理学者のロバート・ローゼン氏によって「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という思想が提唱され、これが「健康経営」の概念の基盤となっている。具体的な取り組みの例としては、企業が従業員の健康状態の把握、健康増進に向けた取り組みを推進する上での体制整備、生活習慣病対策やメンタルヘルス対策、長時間残業対策などの実施・運営などが挙げられる。
【調査結果のポイント】
1.健康経営の認知と取り組み実態について
「健康経営」という概念の認知度(内容認知)は全体で31%。
業種別でみた場合、内容認知はサービス業で最も高いが、取り組み実態を見ると、製造業の方が取り組んでいる割合が高くなっている。
■ 「健康経営」という概念の認知度
・「健康経営」について、内容まで理解している割合はサービス業では41.3%に上るが、製造業では29.1%にとどまっている。
■ 「健康経営」の取り組み度合い
・しかし、「健康経営」の取り組みの実態を見ると、製造業は「すでに取り組んでいる」が46.5%にまで達しているのに対し、サービス業は34.9%にとどまっている。ただし、各業種とも「今後取り組みたい」を含めた割合は8~9 割となっており、「健康経営」に関して前向きな企業姿勢が伺える。
2.健康経営の取り組み状況について
「健康経営」の取り組みが進んでいる企業は、全社的視点からPDCA(Plan→Do→Check→Action)による健康増進活動の管理を進めており、社員のみならず社外での健康づくり活動にも取り組んでいる。また、製造業では「有害物質・危険業務対策」、サービス業では「長時間労働対策」や「メンタルヘルス対策」など、業種による特徴が明らかになった。
■ 「健康経営」の現状の取り組み状況(評価項目別)
・「健康経営」に“すでに取り組んでいる企業”は全業種で90社(有効回答数は226社)であったのに対し、“今後積極的に取り組みたいとする企業”は112社であった。前者と後者の企業における「健康経営」に対する見方を評価項目別で見てみると、特に「従業員の健康増進に関する中長期目標の明文化(前者76%、後者30%)」、「健康増進活動の振り返りと改善(同90%、59%)」、「(CSR活動など)社外における健康づくり活動への参加(同57%、26%)」といった項目で差が大きくなっていることが分かった
■ 「健康経営」に関する現状の取り組み状況(評価項目別)
・業種別に見ると、取り組みが進んでいる製造業では「従業員の健康増進に関する中長期目標の明文化(58%)」、「有害物質・危険業務対策(95%)」の項目が他の業種より大幅に高いスコアとなっている。またサービス業では、企業にとって喫緊の課題である「長時間労働対策(97%)」、「メンタルヘルス対策(95%)」の取り組み度合い、小売・卸売業では「本業を通じた商品開発・サービス提供(59%)」が他の業種より高い傾向にある。
3.「健康経営」に取り組むメリットについて
「健康経営」評価が高評価の場合にメリットとして受け止められている事項は、「法人税制優遇措置」や「割引団体医療保険」といった“金銭的インセンティブ”と、「ブランドイメージ」や「企業競争力」といった“経営的・社会的インセンティブ”に分別される。業種別に見ると、製造業は「ブランドイメージ(82.7%)」や「企業競争力(84.3%)」など経営的・社会的インセンティブが特に高く、小売・卸売業は「法人税制優遇措置(85.3%)」や「割引団体医療保険(85.3%)」など金銭的インセンティブが高い傾向にある。
4.今後「健康経営」を推進する上で必要なこと
今後「健康経営」を推進する上では、「トップのビジョン掲出」や「メリットの見える化」が必要になると認識されている。また、製造業では「社としてのインセンティブ(58.3%)」、小売・卸売業では「具体的推進手法(70.6%)」が必要事項として多く挙げられた。
【 健康経営センサス調査 実施概要 】
・調査対象社数:東証1部上場企業 全1,695社 (2012年12月末現在/外国企業除く)
・有効回答数:226社
(製造業127社、小売・卸売業34社、サービス業63社、無回答2社)
・調査方法:郵送調査
・質問数:全10問
・調査期間:2013年1月9日(水)~2013年1月25日(金)
・調査主体:ヘルスケア・コミッティー株式会社、株式会社日本政策投資銀行、株式会社電通
・調査機関:株式会社電通マーケティングインサイト
◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください(PDF)。
(株式会社 電通 http://www.dentsu.co.jp/、ヘルスケア・コミッティー株式会社 http://www.hcc-jp.com/、株式会社日本政策投資銀行 http://www.dbj.jp//3月8日発表・同社プレスリリースより転載)