平成23年度「能力開発基本調査」の結果公表(厚生労働省)
~「労働者全体の能力を高める」ことを重視する企業が昨年に引き続き増加~
厚生労働省では、このほど、平成23年度「能力開発基本調査」の結果を取りまとめましたので公表します。
「能力開発基本調査」は、国内の企業・事業所と労働者の能力開発の実態を、正社員注1、正社員以外注2別に明らかにすることを目的としています。本調査は、企業の能力開発の方針などを調べる「企業調査」、事業所の教育訓練の実施状況などを調べる「事業所調査」、労働者の教育訓練の実施状況などを調べる「個人調査」で構成しています。「企業調査」、「事業所調査」は、常用労働者30人以上を雇用している企業・事業所を対象に、約7,000企業、7,000事業所を、また「個人調査」は、調査対象事業所に属している労働者約20,000人を、それぞれ抽出して行っています。
本調査は、平成18年以来毎年実施しており、今回の実施期間は、「企業調査」、「事業所調査」が平成23年10月1日から同年11月4日、「個人調査」が平成23年10月1日から同年11月30日です。
なお、平成23年度調査は、東日本大震災の影響により、岩手県、宮城県、福島県を調査対象地域から除外しています。
【 調査結果のポイント 】
1 労働者に対する能力開発の方針(企業調査) 〈別添調査概況P.1~3〉
・能力開発の方針を決定する主体は、昨年に引き続き、正社員、正社員以外とも労働者 個人よりも企業を主体とすべき、とする割合が高くなっている。今後の意向についての回答も同様の傾向。
・重視する教育訓練対象者の範囲は、昨年に引き続き、「選抜した労働者」よりも「労働者全体」の能力を高めることを重視する企業が半数を超えた(正社員56.1%/正社員以外52.1%)。今後の意向も同様の傾向。
・企業が重視する教育訓練は、正社員、正社員以外とも「OJT」注3が多くなっている。この傾向は、調査開始以来変化がない。しかし、今後については、正社員、正社員以外とも「OFF-JT」注4を重視する、との回答の割合がやや高くなる。
2 教育訓練の実施状況(事業所調査) 〈同P.4~9〉
・「OFF-JT」を実施した事業所は、正社員では71.4%と前回(67.1%)より増加した。正社員以外も32.9%と前回(31.4%)より増加したが、正社員に比べて低い水準にある。
・「計画的なOJT」注5を実施した事業所は、正社員では63.0%と調査開始以来最高の割合であった。正社員以外は30.8%と前回(27.7%)より増加したが、正社員に比べて低い水準にある。
3 労働者の教育訓練受講状況(個人調査) 〈同P.9~13〉
・自己啓発を行った労働者は、正社員では43.8%(前回41.7%)、正社員以外では19.3%(前回18.4%)。
・自己啓発を行う上で問題があると感じる労働者は、正社員で80.4%、正社員以外が 74.2%と、ともに高い水準。
・自己啓発の問題点については、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」との回答が、正社員(57.3%)、正社員以外(37.6%)ともに最も多く、「費用がかかりすぎる」(正社員33.6%/正社員以外33.2%)が続く。正社員以外では、この他「家事・育児が忙しい」を挙げる人もほぼ同数(32.5%)いる。
詳細は別添「調査概況」および「参考1、2」をご覧ください。
注1 パートタイム労働者などを除く、雇用期間の定めのない労働者。
注2 「嘱託」、「契約社員」、「パートタイム労働者」などの名称で呼ばれている人。派遣労働者と請負労働者は含まない。
注3 日常の仕事に就きながら行われる教育訓練。
注4 業務命令に基づき、日常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練。
注5 日常の仕事に就きながら行われる教育訓練だが、教育訓練計画書などを基に段階的・継続的に行われるもの。
◆ 詳しくはこちらをご覧下さい。
(厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/ /3月28日発表・報道発表より転載)