「労災保険財政検討会」最終報告書取りまとめ(厚生労働省)
厚生労働省の「労災保険財政検討会」(座長:岩村正彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、本日、労災保険の保険料率を設定している業種について、どのような仕組みや考え方で区分するべきかについて、最終報告書を取りまとめました。
労災保険では、業種によって、労働災害が発生する率(災害率)が異なることを前提として、労働災害の防止を促進する観点から、55の業種に区分して、3/1,000(最低)~103/1,000(最高)の保険料率を設定しています。
本検討会では、55の業種のうち、「その他の各種事業」に区分している業種の労働者数が、約1,786万人と全産業(5,279万人)の1/3を占め、最大の規模となっていることから、その業種の細分化を中心に検討しました。
【 最終報告書の主な内容 】
○ 平成18年度に、「その他の各種事業」から、3業種(1「通信業、放送業、新聞業又は出版業」、2「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」、3「金融業、保険業又は不動産業」)を分離・独立しているが、適用事業場数、単純収支率、事務従事者割合等に大きな変化がないので、現時点では、業種区分の統合や、さらなる分離・
独立の必要はない。
○ 平成18年度に分離・独立した3業種のうち、「通信業、放送業、新聞業又は出版業」、「金融業、保険業又は不動産業」の保険料率は、「その他の各種事業」の3/1,000と同一であり、労災保険制度をなるべく簡便な仕組みとするため、今後とも災害率が同水準ならば、統合について検討が必要である。
○ 「その他の各種事業」のうち、「情報サービス業」、「医療保健業」、「洗たく、洗張又は染物の事業」については、災害の発生状況等を踏まえ、分離・独立させる観点からデータ収集や実態調査等が必要がある。
○ 一般に、保険集団が小さいほど、労働災害の発生等により、保険料率の変動が激しくなるので、安定的な運営には、保険集団が大きいことが望ましい。
○ 業種区分の分離・独立に当たっては、業界全体で労働災害防止への取り組みができることが重要であるので、業界団体の組織状況を考慮する必要がある。
【参考】 労災保険財政検討会の開催経緯及び過去の検討状況
1.開催経緯
就業構造や産業構造の急激な変化、金利の低下などを背景に労災保険財政の運営環境はこれまでと大きく変化している。
こうした中で、平成22年6月の厚生労働省省内事業仕分けにおける指摘を受け、平成24年度に次期労災保険率の改定をひかえ、積立金やメリット制を含む労災保険財政等に関する外部有識者による本検討会を開催することとした。
2.過去の検討状況
第1回(平成22年10月12日) 積立金の意義、算定方法等
第2回(平成22年12月7日) 積立金の開示のあり方、メリット制の現状等
第3回(平成23年1月19日) メリット制が財政に及ぼす影響等
第4回(平成23年2月24日) 中間報告(案)について
第5回(平成23年5月24日) 業種区分
第6回(平成23年6月23日) 最終報告書(案)について
○ (別添)「労災保険財政検討会」最終報告書(原本)(PDF:KB)
○ (別添)検討会開催要綱(PDF:KB)
◆ 詳細はこちらをご覧ください。
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/ /6月28日発表・報道発表より転載