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ニュース
人事サービス 人事労務・管理
掲載日:2025/12/03

ファーストキャリア調査(勤続意向編)

4年目社員の勤続意向は、1年目に比べ10ポイント以上低下。
経営方針を伝達している企業の若手は勤続意向が高い

累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り🄬」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所🄬は、2025年8月1~27日の期間で、社会人1~4年目の若手社員1,793人に対し意識調査を実施しました。本リリースでは、若手社員の勤続意向の実態を調査・分析します。

背景

近年、若手社員の早期離職やモチベーション低下に悩む企業が増える中、「定着」と「活躍」を両立させる人材育成のあり方が、改めて注目されています。特に、若手社員が組織に対して前向きな気持ちを持ち続けられるかどうかは、企業の持続的な成長に直結する重要なテーマです。 若手社員の定着を促すためには、待遇の納得感や勤務環境の柔軟性だけでなく、仲間との目的意識の共有や組織との一体感が鍵を握ります。本調査では、若手社員の「勤続意向」に着目し、その実態と背景要因を探ることで、若手社員の意欲を引き出す育成のヒントをデータに基づいて提供します。

調査結果の概要

  • 今の会社で「働き続けたい」割合、社会人歴が長いほど低下。社会人1年目は6割超も、4年目で約半数
  • 経営陣から経営方針等の明示がある若手社員、「働き続けたいと思う」と約9割が回答
  • リーダーから方針・戦略の落とし込みがある若手社員、「働き続けたいと思う」と9割以上が回答
  • アサイン時に業務の目的・意義が伝達される若手社員、「働き続けたいと思う」9割超が回答
  • 上司・先輩による丁寧なレクチャーがある若手社員の勤続意向は8割超、ない層の10倍以上
  • 上司と良好な関係が築けている若手社員、8割超が勤続意向あり。良好でない層は1割未満 考察「若手の信頼感を醸成する、企業の支援」

調査結果の詳細

1.今の会社で「働き続けたい」割合、社会人歴が長いほど低下。
      社会人1年目は6割超も、4年目で約半数

まず初めに、社会人1~4年目の若手社員に対して、勤務先企業で働き続けたいと思うかを質問しました。結果、「思う」と回答した割合は18.7%、「どちらかといえば思う」と回答した割合は38.1%となり、56.8%の若手社員が勤務先企業で働き続けたいと思っていることがわかりました。

前述の勤務先企業で働き続けたいかという質問の回答結果を、社会人1~4年目の社会人歴別に分析しました。結果、働き続けたいと思う(「思う」「どちらかといえば思う」の合計)割合が、社会人1年目社員では64.8%、社会人2年目社員では57.2%、社会人3年目社員では57.0%、社会人4年目社員では51.6%となり、社会人歴が長くなるにつれて、勤務先企業で働き続けたいと感じる割合が低下することがわかりました。

2.経営陣から経営方針等の明示がある若手社員、「働き続けたいと思う」と約9割が回答

ここからは、会社や上司からの働きかけと勤続意向の関係性を分析しました。 まずは、経営陣による経営方針や戦略、ミッション・ビジョンなどの経営方針の明示と勤続意向の関係性を見ていきます。結果、経営陣が方針等を明示「している」と回答した層では、勤務先企業で働き続けたいと「思う」と回答した割合は53.7%となりました。「どちらかといえば思う」(35.6%)と回答した割合も含めると、経営陣が経営方針等を明示していると回答した若手社員のうち、89.3%が勤務先企業で働き続けたいと感じていることがわかりました。

一方、経営陣が経営方針等を明示「していない」と回答した若手社員のうち、70.2%が勤務先企業で働き続けたいと「思わない」と回答する結果となりました。

経営方針の明示を「ややしている」「あまりしていない」の結果も鑑みると、経営陣からの経営方針等の明示と、若手社員の勤続意向には、相関の関係があることがわかりました。

3.リーダーから方針・戦略の落とし込みがある若手社員、「働き続けたいと思う」と9割以上が回答

次に、リーダーからの方針・戦略の落とし込みと勤続意向の関係性を見ていきます。 所属部署のリーダーは方針や戦略などを、日々の業務と結びつけながら伝えているか、という質問に対して「している」と回答した人のうち、勤務先企業で働き続けたいと「思う」と回答した割合は59.1%となりました。「どちらかといえば思う」(32.2%)と回答した割合も含めると、所属部署のリーダーから経営方針の落とし込みがされている若手社員のうち、91.3%の若手社員が勤務先企業で働き続けたいと感じていることがわかりました。

一方、所属部署のリーダーが方針・戦略の落とし込みを「していない」と回答した若手社員のうち、勤務先企業で働き続けたいと「思わない」「どちらかといえば思わない」と回答した割合は、86.3%という結果となりました。

リーダーからの方針・戦略の落とし込みを「ややしている」「あまりしていない」の結果も鑑みると、方針・戦略の落とし込みと若手社員の勤続意向には、相関の関係があることがわかりました。

4.アサイン時に業務の目的・意義が伝達される若手社員、「働き続けたいと思う」9割超が回答

次に、業務の目的・意義の伝達と勤続意向の関係性を見ていきます。 上司や先輩から仕事の依頼を受ける際に、その業務の「目的や意義」が伝えられているか、という質問に対して「はい」と回答した人のうち、勤務先企業で働き続けたいと「思う」と回答した割合は57.1%となりました。「どちらかといえば思う」(33.2%)と回答した割合も含めると、業務アサイン時に上司や先輩から目的や意義を伝達されている90.3%の若手社員が、勤務先企業で働き続けたいと感じていることがわかりました。

一方、上司や先輩から仕事の依頼を受ける際に、その業務の「目的や意義」が伝えられているかという質問に対して、「いいえ」と回答した人のうち、勤務先企業で働き続けたいと「思わない」「どちらかといえば思わない」と回答した割合は、87.1%という結果となりました。

業務アサイン時の目的の伝達を「どちらかといえばはい」「どちらかといえばいいえ」の結果を鑑みると、業務付与時の目的・意義の伝達と、若手社員の勤続意向には、相関の関係があることがわかりました。

5.上司・先輩による丁寧なレクチャーがある若手社員の勤続意向は8割超、ない層の10倍以上

次に、上司・先輩による丁寧なレクチャーと勤続意向の関係性を見ていきます。 上司や先輩は、仕事を任せる際に、その目的や進め方を丁寧にレクチャーしてくれていると感じるか、という質問に対して「感じる」と回答した人のうち、勤務先企業で働き続けたいと「思う」と回答した割合は48.3%となりました。「どちらかといえば思う」(36.8%)と回答した割合も含めると、上司や先輩が丁寧なレクチャーをしていると感じる若手社員の85.1%が、勤務先企業で働き続けたいと感じていることがわかりました。

一方、仕事を任せる際に、その目的や進め方を丁寧にレクチャーしてくれていると感じますかという質問に対して、「感じない」と回答した人のうち、勤務先企業で働き続けたいと「思わない」「どちらかといえば思わない」と回答した割合は、86.2%となりました。

上司・先輩による丁寧なレクチャーを「やや感じる」「あまり感じない」の結果を鑑みると、丁寧なレクチャーと若手社員の勤続意向には、相関の関係があることがわかりました。

6.上司と良好な関係が築けている若手社員、8割超が勤続意向あり。良好でない層は1割未満

最後に、上司との人間関係と勤続意向の関係性を見ていきましょう。 あなたは、上司と良好な関係が築けているかという質問に対して、「良好な関係を築けている」と回答した人のうち、勤務先企業で働き続けたいと「思う」と回答した割合は45.9%となりました。「どちらかといえば思う」(37.9%)と回答した割合も含めると、上司と良好な関係が築けている若手社員の83.8%が、勤務先企業で働き続けたいと感じていることがわかりました。

では、上司と良好な関係を築く鍵はどこにあるのでしょうか。上司のマネジメントの頻度・粒度の違いを見ていきます。結果、「良好な関係を築けている」「やや良好な関係を築けている」「あまり良好な関係を築けていない」と回答した若手社員のうち4割前後が、上司から「適切なタイミングで関与がある」と回答しました。一方、「良好な関係ではない」と回答した人のうち、「適切なタイミングで関与がある」と回答した割合は16.9%でした。加えて、「良好な関係ではない」層の半数以上は「ほとんど任せきりで、必要な場面でも関与が少ないと感じる」と回答しました。

また、「良好な関係性を築けている」人のうち28.4%は「細かく管理されている」という結果となり、その割合は関係性が良好ではないほど低下することもわかりました。

まとめ

本調査では、若手社員の勤続意向と、会社や上司からの関わり方や情報の伝え方の関係性について調査しました。まず、社会人歴別に勤続意向を分析すると、社会人1年目社員では64.8%が「働き続けたい」と回答したのに対し、4年目社員では51.6%という結果となり、社会人歴が長くなるにつれて勤続意向は低下する傾向が見られました。これは、年次が上がるにつれ、職場への期待と現実のギャップが広がっている可能性を示唆しています。

一方で、企業の働きかけが勤続意向の差異を生むことも見られました。経営陣から経営方針の明示がある若手社員は、89.3%が「働き続けたい」と回答しており、明示がない場合は約9割が「働き続けたくない」と回答しています。また、所属部門のリーダーによる方針・戦略の落とし込みがある場合も、91.3%が「働き続けたい」と回答し、ない場合は13.7%にとどまりました。さらに、業務アサイン時に目的が伝えられている若手社員では90.3%、丁寧なレクチャーを受けている層では85.1%が勤続意向を示しており、いずれも高い割合となっています。

また、上司との関係性で、良好な関係を築けている層では83.8%が勤続意向を示す一方、関係が良好でない層ではわずか8.8%にとどまりました。

これらの結果から、若手社員の勤続意向の向上には経営からの目的意識の共有や上司からのサポートなど、多角的なコミュニケーションが重要であると考えられます。企業は、人事評価面談や1on1などの制度を設けるだけでなく、現場でのコミュニケーションの頻度や内容まで踏み込んだ支援をすることで、若手社員の定着と活躍を促す鍵となるでしょう。

考察「若手の信頼感を醸成する、企業の支援」

本調査では、経営陣・リーダーから経営方針が明確に示されていると感じている若手社員は、その企業で長く勤めたいと考える傾向が明らかになりました。また、経営方針が示されているだけでなく、上司から仕事の目的や意義を伝えられていることや、上司と良好な関係を築けていることも、若手社員の勤続意向密接な関係があることがわかりました。

経営方針の提示や上司との関係構築は、若手社員が組織に信頼感や安心感を抱き、長く勤めたいと感じる重要な要素であるといえます。企業としては以下の取り組みをすることが効果的です。

<経営層・リーダーによる方針の発信>
全社の方針を若手社員に理解・浸透させるには、経営層と部門のリーダーによる発信を組み合わせるとよいでしょう。経営層からは、期初の方針説明会のほか、全社ミーティングや社内広報などを通じて繰り返し伝えると、若手社員に方針が定着・浸透することにつながります。ただ、若手社員によっては全社方針を自分の業務や役割に結び付けて考えることが難しい場合があります。そこで、部門のリーダーが若手社員各自の仕事に当てはめるとどうなるかを伝えることが重要です。また、エンゲージメントサーベイを定期的に実施し、方針の浸透度合いを可視化するのもよいでしょう。

<上司と良好な関係の構築>
上司が部下である若手社員と良好な関係を築くために、まずは様々な形で「自分は尊重されている」と若手社員が思える取り組みをすることが重要です。日常的に若手社員の様子を見て声をかけたり、部下がしたことに感謝を意識的に伝えたりするとよいでしょう。また、業務を任せる際は、手順だけでなく、仕事の目的や意義を共有すると、若手社員は業務の背景を理解し、自律的に判断・行動できるようになります。自分の裁量で動ける環境は、「任されている」「信頼されている」という実感につながり、信頼関係の構築を後押しします。

若手社員の勤続意向を高めるには、組織の方向性を伝える姿勢と、日々の関わりの中で信頼を育む工夫が鍵になるといえるでしょう。


調査概要
調査対象者:社会人1~4年目の就労者
調査時期:2025年8月1~27日
調査方法:調査会社によるインターネット調査
サンプル数:1,793人(社会人1年目335人、2年目405人、3年目523人、4年目530人)
属性:
(1)業種
農業,林業 18人(1.0%) 漁業 8人(0.4%) 鉱業,採石業,砂利採取業 12人(0.7%)
建設業 93人(5.2%) 製造業 254人(14.2%)
電気・ガス・熱供給・水道業 74人(4.1%) 情報通信業 131人(7.3%)
運輸業,郵便業 60人(3.3%) 卸売業,小売業 117人(6.5%)
金融業,保険業 94人(5.2%) 不動産業,物品賃貸業 48人(2.7%)
学術研究,専門・技術サービス業 35人(2.0%) 宿泊業,飲食サービス業 33人(1.8%)
生活関連サービス業,娯楽業 30人(1.7%) 教育,学習支援業 97人(5.4%)
医療,福祉 270人(15.1%) 複合サービス事業 31人(1.7%)
サービス業(他に分類されないもの) 125人(7.0%) 公務 89人(5.0%)
その他 104人(5.8%) わからない 70人(3.9%)

(2)企業規模
50人以下:282人(15.7%)
51~100人:268人(14.9%)
101~300人:312人(17.4%)
301~1,000人:336人(18.7%)
1,001~5,000人:294人(16.4%)
5,001人以上:301人(16.8%)

◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。

(ALL DIFFERENT株式会社/2025年11月21日発表・同社プレスリリースより転載)

この記事ジャンル 雇用管理

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