オンラインアシスタントサービス市場に関する調査を実施(2025年)
人材不足による需要の増加を背景に2024年度のオンラインアシスタントサービスの市場規模は前年度比20.1%増と高成長
株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越 孝)は、国内のオンラインアシスタントサービスについて調査を実施し、現況、参入事業者の動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2024年度のオンラインアシスタントサービス市場規模(11分野計)は事業者売上高ベースで425億1,500万円で、前年度比20.1%増と高い成長率を示した。人材採用が全般的に難しくなるなか、企業における人材不足は深刻化しており、オンラインアシスタントサービスといった人的資源を外部委託する企業が増加したことが背景にある。
また、新型コロナウイルス禍でリモートワークが一般化したことで、オンライン経由で業務を委託することに対する企業の抵抗感が緩和されたことも市場の成長にプラスに働いた。加えて、新型コロナウイルス禍を契機に在宅勤務が一般化し、必ずしも出社を求められず、場所を選ばずにオンライン経由で業務を遂行することを選択する働き手が増えたことで、オンラインアシスタントサービスは人材派遣などの人材サービスと比較して、働き手を集めやすかったこともサービスの普及を下支えした。
2.注目トピック
オンラインアシスタントサービスにおいて規模が最も大きく、成長率も最も高い対象業務は経理業務
2024年度のオンラインアシスタントサービスを業務別でみると、経理業務が最大の規模であった。上述したように、企業は人材確保が困難になる中で、必要な業務を外部人材に委託する動きを強めているが、経理業務においても外部の専門人材を活用するケースが増えている。経理業務においては、すでにクラウドサービスやSaaSを活用した実務が普及していることから、オンラインアシスタントサービスは、それらのデジタルサービスとの親和性が高い。そのため、クラウドサービスやSaaSの利用拡大に合わせて、今後も経理業務におけるオンラインアシスタントサービスの利用は拡大していくと見込む。
3.将来展望
2025年度のオンラインアシスタントサービス市場規模(11分野計)は事業者売上高ベースで、前年度比19.2%増の506億7,000万円の見込み、2029年度には895億円に達すると予測する。
今後人材不足が深刻化していく中で、2025年度以降も場所を選ばずに働くことができるオンラインアシスタントサービスは働き手を集めやすく、人材の供給源として欠かせない存在となっていく可能性が高いと考える。
これまでのアウトソーシングサービスは、一定以上の業務量がないとコスト削減効果を見込めないため、主に大企業における利用が多く、中堅・中小企業の利用が少なかったが、オンラインアシスタントサービスは必要な時に必要な業務量だけを依頼できるため、中堅・中小企業をはじめ、個人事業主でも利用しやすく、今後多様な事業者に普及していくとみる。
また、オンラインアシスタントサービスは、地域を限定せずに専門人材を利用できるため、今後認知度が高まっていけば、これまでアウトソーシングサービスの利用の少なかったとされる地方の中堅・中小企業においても普及していく可能性がある。
加えて、デジタルサービスとの親和性が高いため、SaaSやAI等のデジタルサービスの普及に伴い、様々な業務分野において利用が増加していくと考える。
調査要綱
1.調査期間: 2025年6月~9月
2.調査対象: オンラインアシスタントサービス提供事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)ならびに文献調査を併用
<オンラインアシスタントサービスとは>
本調査における「オンラインアシスタントサービス」とは、通常企業内で行われる定常業務を外部の人材がオンライン経由でサポートしてくれるアウトソーシングサービスをさす。対象業務は人事業務、経理業務、総務業務、秘書業務、営業事務、マーケティング・広告運用業務、Web サイト・EC サイト・SNS 運用業務、デザイン・画像・動画制作業務、電話代行、カスタマーサポート、その他業務(リサーチや翻訳業務等)の11分野である。市場規模はオンラインアシスタントサービス提供事業者売上高ベースで算出している。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社矢野経済研究所 /10月21日発表・同社プレスリリースより転載)
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