2025年 退職に関する意識調査
同僚の転職が影響7割 “大転職時代”実感も「3年以内」に賛否
~”心理ハードル下がった”20代で顕著 人材育成に懸念の声~
転職サービス「doda」などを提供するパーソルキャリア株式会社が運営する調査機関『Job総研』は、585人の社会人男女を対象に「2025年 退職に関する意識調査」を実施しました。本調査は、退職への心理ハードルや入社後3年在籍への賛否、また職場を辞められなかった経験とその理由、同僚の退職に対する印象や今後の転職周期予想、そして早期離職とその影響などを年代別に調査したものです。
【退職の早期化】
若者の退職代行利用も目立つ中、『JobQ Town』の調査では、普段から仕事を辞めたいと思っている社会人が7割いることがわかっています。スキル取得や業務理解をするために”転職は在籍3年以降が良い”という考え方もある中、厚生労働省によると大企業の新卒3年以内の離職率が上昇傾向となるなど、転職周期が変化していると考えられます。このような状況で、退職や転職周期に対して社会人はどのような意識を持っているのでしょうか。
Job総研では585人の社会人男女を対象に、退職への心理ハードルや入社後3年在籍への賛否、また職場を辞められなかった経験とその理由、同僚の退職に対する印象や今後の転職周期予想、そして早期離職とその影響などを年代別に調査した「2025年 退職に関する意識調査」を実施しました。
【TOPICS】
・全体の94.3%が退職への心理的ハードルが下がっていると回答 理由は「一般的な選択肢となっている」
・全体の59.2%が「入社後3年は在籍した方が良い」 全体の54.9%が職場を辞められなかった「経験あり」
・全体の68.1%が同僚の退職で「転職意欲が上がる」 ポジティブな印象を持つ同僚の退職平均年数は4.2年
・全体の71.2%が”3年は在籍”の意識がないと「退職しやすい」 今後の転職の平均周期予想は3.2年以内
・全体の77.8%が早期離職は「当たり前」 転職周期が早まることで「人材・管理職が育成されない」
【退職への心理的ハードル】
回答者全体の585人に、退職に対する心理的ハードルを聞くと、「下がっていると思う派」が94.3%で過半数を占め、内訳は「とても下がっていると思う」27.7%、「下がっていると思う」41.8%、「どちらかといえば下がっていると思う」24.8%でした。「下がっていると思う派」の年代別では、20代と40代が96.5%、50代が91.9%、30代は91.0%となりました。
【ハードルが下がっている理由と入社後3年在籍への賛否】
退職への心理的ハードルが下がっていると回答した552人にその理由を聞くと、「一般的な選択肢となっている」が79.3%で最多となり、次いで「無理に長く勤める必要性がない」が51.4%、「自己成長に前向きな風潮がある」が48.7%となりました。また、回答者全体の585人に、入社後3年は在籍した方がいいかを聞くと、「そう思う派」が59.2%と過半数を占め、「とてもそう思う」が8.4%、「そう思う」が19.3%、「どちらかといえばそう思う」が31.5%となりました。
【辞められなかった経験】
回答者全体の585人に、職場を辞めようと思っても辞められなかった経験を聞くと、「ある派」が54.9%で過半数を占め、内訳は「とてもある」10.1%、「ある」21.4%、「どちらかといえばある」23.4%でした。辞められなかった経験ありと回答した321人にその理由を聞くと、「転職先が見つかるか不安」が76.9%で最多となり、次いで「一時的に収入が減る不安」が38.6%、「現職より悪い環境になる不安」が34.0%となりました。
【同僚の退職に対する印象】
回答者全体の585人に同僚の退職による転職意欲への影響を聞くと、「転職意欲が上がる派」が68.1%と過半数を占め、「とても転職意欲が上がる」が10.6%、「転職意欲が上がる」が19.0%、「どちらかといえば転職意欲が上がる」が38.5%となりました。また、同僚の退職でネガティブな印象を持つ年数を聞くと、平均が1.2年以内、中央値が1.0年以内、最頻値が1.0年以内となりました。一方、同僚の退職でポジティブな印象を持つ年数を聞くと、平均が4.2年以降、中央値が3.0年以降、最頻値が3.0年以降となりました。
【今後の転職周期予想】
回答者全体の585人に”3年は在籍した方が良い”という意識がない場合の退職のしやすさを聞くと、「退職しやすいと思う派」が71.2%で、内訳は「とても退職しやすいと思う」16.9%、「退職しやすいと思う」21.5%、「どちらかといえば退職しやすいと思う」32.8%でした。また、今後の転職周期予想を聞くと、平均が3.2年、中央値が3.0年、最頻値が3.0年となりました。
【早期離職とその影響】
回答者全体の585人に、今の時代早期離職は当たり前かを聞くと、「当たり前だと思う派」が77.8%で、内訳は「とても当たり前だと思う」15.6%、「当たり前だと思う」25.6%、「どちらかといえば当たり前だと思う」36.6%でした。また、転職周期が早まることによる影響を聞くと、「人材が育成されない」が60.9%で最多となり、次いで「管理職が減る」が35.4%、「企業の賃上げが必須になる」が32.8%となりました。
【調査まとめ】
今回実施した「2025年 退職に関する意識調査」では、昨今のJob型雇用や退職代行がもたらす風潮の影響から、全体の9割が退職に対する心理的ハードルは下がっており、特に20代と40代で顕著な結果となりました。心理ハードルは下がっているものの、全体の半数以上が「3年は在籍した方が良い」と考えていたり、職場を辞めようと思っても辞められなかった経験があったりするなど、心理と実態には乖離がある状況です。転職先や給与減少への不安から退職に踏み切れなかったとの回答から、物価高に賃上げが追いつかない経済状況も関係していると考えられます。
また、同僚の退職は自身の転職意欲にも影響がある回答が多数となり、同僚が1年以内に退職する場合はネガティブに、4年以降の場合はポジティブに感じることもわかっています。今の時代早期離職は当たり前であり、今後の転職周期も3年との回答が多数であることから、”3年”を区切りに転職する風潮は今後も続くと考えられます。しかし「人材や管理職が育成されない」「企業の待遇アップが必須になる」など、転職周期の早期化による懸念の声も挙がっています。人材育成や賃上げの観点で、企業側の逼迫状況を避けるためにも、従業員が”3年以内”に退職することを見据えた採用や育成をするか、あるいは3年以上勤める人材を増やしていくための育成強化など、人材確保の対策の必要性が見える調査結果となりました。
【調査概要】
調査対象者:現在職を持つJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
調査条件 :全国/男女/20~50代
調査期間 :2025年3月5日〜3月10日
有効回答数:585人
調査方法 :インターネット調査
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルキャリア株式会社 /3月24日発表・同社プレスリリースより転載)