女性の就労環境と将来の予想についての調査
Indeed、「女性の就労環境と将来の予想についての調査」を11カ国で実施
日本で働く女性の8割以上が「男女間に賃金格差がある」と感じ、「今後5~10年で女性管理職が増える」と思う割合は3割以下ににとどまる
役職が高いほど、将来の「賃金格差解消」「女性管理職増加」への期待は高まる傾向
世界No.1求人サイト*「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、以下Indeed)は、3月8日(金)の「国際女性デー」を前に11カ国で実施した「女性の就労環境と将来の予想についての調査」の結果から、日本における女性の賃金・給与や男女賃金格差、管理職への昇進等に関する結果をご紹介いたします。
*出典:Comscore 2023 年 6 月総訪問数
調査は、Indeedが、女性が就労環境で直面する不平等と活躍の機会を明らかにするため、11カ国(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、オランダ、シンガポール、イギリス、アメリカ)の18歳以上の有職女性計14,677名を対象に実施したものです。日本では、有職女性1,506名を対象として調査を実施しました。
■ 日本の調査結果 主要ポイント
- 日本で働く女性の4割以上(44.2%)が、賃金・給与が「十分に支払われていない」と感じている
- 特に非管理職(課長職よりも下の役職)の正社員女性(791名)で「賃金・給与が十分に支払われていない」と感じている割合が高く、半数以上(52.6%)にのぼる。
- 日本で働く女性の8割以上(81.0%)が「(自国に)男女賃金格差がある」と感じている
- 日本に男女賃金格差があると感じている働く女性(1,219名)のうち約6割(58.0%)は、今後5年間で賃金格差が解消する「可能性が低い」と考えており、「可能性が高い」と考える人の約5.5倍。また、役職が高いほど、将来的な男女賃金格差解消への期待が高まる傾向あり。
- 日本で働く女性の約4割(41.7%)が「女性よりも男性の方が簡単に昇進できる」と感じている
- 日本で働く女性のうち「今後5〜10年で女性管理職が増える」と思う割合は3割以下(27.8%)
- 役職が高いほど、女性管理職増加に対する期待が高まる傾向あり。「今後5〜10年間で女性管理職が増える」と思う割合は、課長職以上の役職(98名)では4割以上にのぼる。
■ 調査実施の背景
あらゆる国や業界に広く存在する従業員間の男女格差は、依然として解消されていません。過去10年間を振り返ると男女格差は是正されてきていますが、新型コロナウイルスの感染拡大は、世界規模でジェンダーパリティ(ジェンダーの公正を実現するための、統計的な尺度)がさらに低下するきっかけにもなりました。2022年から2023年の間に、労働参加率のジェンダーパリティは63%から64%に上昇する※2など、最新のデータでは進捗が見られますが、今後も男女格差の解消に向けた努力は必要であると言えるでしょう。
<本プレスリリースにおける、日本の調査結果の分析について>
日本は先進国の中でも男女の賃金格差が大きい状況にあります。2022年の男女賃金格差指数は、OECD平均12.1%に対し日本は21.3%と高く、OECD加盟国38カ国の中では4番目に格差が大きい状況※3です。日本の男女賃金格差が大きい要因のひとつとして、「女性の管理職比率の低さ」が指摘されています※4。全就業者に占める女性就業者の割合は2022年10月時点で45.1%※5、正規雇用者における女性の割合は34.8%※5ですが、それに対して、管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合は12.7%※6にとどまっています。
そこで本プレスリリースでは、女性の管理職割合が低い日本の職場環境をふまえ、役職によって職場の就労環境や将来予想に対する意識の違いがあるのかを、調査結果をもとに集計・分析しました。
※2:(出典)World Economic Forum「Global Gender Gap Report 2023」
※3:(出典)経済協力開発機構(OECD)「男女間賃金格差(Gender wage gap)」2022年
※4:(出典)株式会社日本総合研究所 山田 久「男女間賃金格差の要因と解消に向けた課題」2022年
※5:(出典)総務省「労働力調査(基本集計)」2022年10月の就業者数(季節調整値)および、正規雇用者数(季節調整値)より算出
※6:(出典)厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」2022年10月時点で、従業員が10人以上いる全国の企業6000社を対象に調査
■ 日本の調査結果詳細
11カ国で実施した「女性の就労環境と将来の予想についての調査」のうち、日本の有職女性(1,506名)を対象とした調査結果を、A.日本全体の傾向(11カ国比較を含む) B.役職による傾向、の2つの軸で集計・分析した結果をご紹介します。なお、役職による傾向は、「経営層(経営者・経営責任者)」、正規雇用者である「課長職以上社員(課長、部長、本部長、執行役員)」「主任・係長層(係長、主任、リーダー)」「一般社員」、そして「アルバイト・パート」の5カテゴリーで比較を行なっています。
1. 仕事に関連する要素に対する意識
1-1. 働く女性の仕事に関連する要素に対する「重要度」と「現在の職場における満足度」
A. 日本全体の傾向:仕事に関連する12要素※7のうち、「賃金・給与・賞与」が最も重要視されている(88.4%)が、現在の職場における「賃金・給与・賞与」の満足度の高さは12要素中6番目(27.6%)
働き方や制度、職場環境など仕事に関連する12の要素※7について、自身にとってどの程度重要であるかを、「極めて重要」「非常に重要」「ある程度重要」「全く重要ではない」の4スケールで尋ねたところ、重要である(「極めて重要」「非常に重要」「ある程度重要」の合計)と回答した割合が最も高かったのは「賃金・給与・賞与」で88.4%にのぼりました。
また、現在の勤務先における12要素について満足しているかどうかを、「非常に満足」「ある程度満足」「どちらともいえない」「やや不満」「非常に不満」の5スケールで尋ねたところ、満足している(「非常に満足」「ある程度満足」の合計)と回答した割合は12要素※7全てで半数以下であり、満足している人の割合が最も高かった「ワークライフバランス」でも46.2%という結果でした。最も重要度が高かった「賃金・給与・賞与」については、満足している割合は12要素中6番目(27.6%)にとどまりました。
※7:12要素・・・「賃金・給与・賞与」「福利厚生・各種制度(休暇制度など)」「ワークライフバランス」「研修と自己開発の機会」「昇進の機会」「雇用の安定」「柔軟な時間帯で勤務できる」「勤務地を柔軟に選べる制度」「勤務先の企業のパーパスやミッション」「優れた環境への貢献(グリーン企業)」「育児休業/育児休暇制度」「ポジティブな職場のカルチャー」
2. 賃金格差に対する意識
2-1. 働く女性の自身の賃金・給与に対する意識
A. 日本全体の傾向:働く女性の4割以上(44.2%)が、賃金・給与が「十分に支払われていない」と感じている
現在の役職・仕事に対して、十分な賃金・給与が支払われているか否かを尋ねたところ、4割以上(44.2%)が「十分に支払われていない」と回答し、「適切な賃金・給与が支払われている」(35.7 %)および「多すぎる賃金・給与を支払われている」(1.7%)の合計(37.4%)を上回る結果となりました。11カ国中10カ国で、「十分に支払われていない」の回答割合が「適切に支払われている」と「多すぎる」の合計を上回っており、「十分に支払われていない」と思う割合は、11カ国全体で55.8%にのぼります。
B. 役職による傾向:正社員の非管理職(課長職よりも下の役職)の女性の半数以上(52.6%)が、自分は「十分な賃金・給与を支払われていない」と感じている
日本の結果を役職別で確認しました。特に賃金・給与が「十分に支払われていない」と感じる割合が高かったのは、正社員女性のうち非管理職(課長職よりも下の役職)の女性で、52.6%(一般社員:51.9%、主任・係長層:55.4%)にのぼりました。一方で、課長職以上の役職につく女性では3割未満(課長職以上社員:29.8%、経営層:28.9%)となり、さらに「適切に支払われている」の割合が半数以上(課長職以上社員:59.4%、経営層:50.9%)の結果でした。正社員女性のうち非管理職(課長職よりも下の役職)の女性が特に、給与に対する納得感が低い傾向にありそうです。
2-2. 働く女性の男女賃金格差に対する意識
A. 日本全体の傾向:日本で働く女性の81.0%が「(自国に)男女賃金格差がある」と感じている。そのうち、約6割(58.0%)は「今後5年間で賃金格差が解消する可能性が低い」と考えており、「解消する可能性が高い」と考える人の約5.5倍にのぼる。
自国全体で男女の賃金格差が大きいと思うかを「非常に格差が大きい」「かなり格差が大きい」「少し格差がある」「格差はない」の4スケールで尋ねました。その結果、日本では81.0%が「格差がある」(「非常に格差が大きい」「かなり格差が大きい」「少し格差がある」の合計)と回答しました。「格差がある」と回答した割合は、11カ国全体で77.4%であり、最も多かったのはイタリアで83.8%、次いでイギリス81.0%(81.01%)でした。日本は81.0%(80.98%)で11カ国中3番目に多い結果となりました。
働く女性のうち「自国に男女賃金格差がある」と感じている方に対して、将来的に男女賃金格差が解消される可能性が高いと思うか、低いと思うかを尋ねました。日本では、今後5年間で男女賃金格差が解消される可能性が低い(「非常に低い」「やや低い」の合計)と思う割合は約6割(58.0%)で、可能性が高い(「非常に高い」「やや高い」の合計)と思う人(10.6%)の約5.5倍でした。今後25年間では、男女賃金格差が解消される割合が低いと思う人は29.5%で、解消される可能性が高いと思う人は26.5%とほぼ同水準となりました。
B. 役職による傾向:「男女賃金格差がある」と感じる割合は、特に「主任・係長層」「課長職以上社員」で高く9割以上にのぼる。一方で、そのうち「今後5年間で賃金格差が解消される可能性が高いと思う」割合は「課長職以上社員」「経営層」で高く3割以上に。役職が高いほど賃金格差解消への期待が高まる傾向
日本の結果を役職別で確認しました。アルバイト・パート女性では比較的、男女賃金格差を感じている割合が低いですが、それでも75.1%にのぼります。一方、正社員女性全体(一般社員、主任・係長層、課長職以上社員の合計)では84.9%が「男女賃金格差がある」と感じていました。特に、主任・係長層では93.9%、課長職以上社員では94.1%が、男女賃金格差があると感じており、経営層(88.3%)よりも高い割合となりました。正社員女性で役職が高くなるほど、男女賃金格差を感じる傾向が高くなることがわかります。
さらに、日本に男女賃金格差があると考える働く女性(1,219名)に、将来男女賃金格差が解消される可能性があると思うかを尋ねました。今後5年間で「解消される可能性が高い」と思う割合(「非常に高い」、「やや高い」の合計)は、アルバイト・パート女性では7.5%、正社員女性全体(一般社員、主任・係長層、課長職以上社員の合計)では11.5%でしたが、課長職以上社員、および、経営層で他の役職の女性よりも顕著に高い傾向となり、課長職以上社員で30.3%、経営層で34.3%でした。これは日本平均のそれぞれ2.9倍、3.2倍にあたります。役職が高いほど、将来の日本の男女賃金格差の解消に対して期待が高まる傾向にあることがわかります。
3. 女性の昇進や管理職増加に対する意識
3-1. 昇進のしやすさにおける男女格差
A. 日本全体の傾向:日本で働く女性の4割以上(41.7%)が「女性よりも男性の方が簡単に昇進できる」と感じている
勤務先の企業における昇進のしやすさに男女差があるかを尋ねたところ、日本の働く女性の41.7%が「女性よりも男性の方が簡単に昇進できる」と回答しました。11カ国全体は46.4%で、オランダが最も低く38.3%、イタリアが最も高く55.4%でした。世界的に「女性よりも男性の方が簡単に昇進できる」と感じている女性は4〜5割程度存在していることがわかります。
B. 役職による傾向:「女性よりも男性の方が簡単に昇進できる」と感じる割合は、主任・係長層の女性で特に高く、約6割(57.6%)にのぼる
日本の結果を役職別で確認しました。特に主任・係長層で、女性よりも男性の方が簡単に昇進できると感じる割合が高く57.6%にのぼる結果でした。一方で、実際に自分が管理職(課長職以上)に昇進した経験があると考えられる課長職以上社員や経営層になると、その割合が下がっています。
3-2. 今後5~10年間で女性管理職が増えると思う割合
A. 日本全体の傾向:今後5〜10年間で「女性管理職が増える」と思う割合は日本は3割以下(27.8%)
今後5〜10年間で、管理職に就いている女性の人数が増えると思う割合は、日本では3割未満(27.8%)で、最も低かったフランス(27.7%)と0.1ポイント差でほぼ同等の割合でした。
B. 役職による傾向:課長職以上の正社員・経営層女性の4割以上が、今後5~10年間で女性管理職が増えると予想
日本の結果を役職別で確認しました。今後5〜10年間で女性管理職が増えると思う割合は、課長職以上社員で最も高く44.1%にのぼりました。また、経営層でも同様に高く41.7%にのぼりました。実際に管理職(課長職以上)に就いている女性や経営に携わる女性ほど、将来的な女性管理職の増加を予想している様子がうかがえます。
■ 「職場における女性の将来に対する意識調査」概要
調査主体:Indeedの委託によりYouGovが実施
調査対象:オーストラリア(1,013名)、カナダ(1,504名)、フランス(1,336名)、ドイツ(1,377名)、インド(1,193名)、イタリア(1,343名)、日本(1,506名)、オランダ(1,467名)、シンガポール(1,196名)、イギリス(1,398名)、アメリカ(1,344名)でフルタイムまたはパートタイムで働く14,677 名の女性
補正:各国の労働人口構成比にあわせて補正。日本は総務省「労働力調査」2023年(令和5年)を基に補正。
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年11月14日~11月23日
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(Indeed Japan株式会社 / 3月7日発表・同社プレスリリースより転載)